ソニーは7日、近接無線転送技術「TransferJet」を開発したと発表した。通信したい機器同士をかざすだけで通信でき、物理層の転送レートは560Mbpsまで対応。デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯電話、PC、テレビなどに搭載することで、それらの機器間で写真や映像などの大容量ファイルを高速転送できる。
TransferJetが使用する中心周波数は4.48GHz帯。送信電力は-70dBm/MHz以下(平均電力)で、国内では微弱無線局の規定に準拠する。通信距離は3cm以内を想定。微弱出力による近接専用の無線システムのため、多数のユーザーが同時に使用しても性能が低下せず、他の無線システムへの干渉もほとんどないとしている。
具体的には、放射電磁界を用いた従来の無線アンテナではなく、誘導電界による新方式のカプラを開発。近距離では高い利得を得ながら、離れると急激に減衰する特徴を利用している。また、偏波を持たないため、機器同士の角度を意識しないで接触させても利得を落とさずに通信可能だとしている。
転送レートは、エラー訂正やプロトコルのオーバーヘッドを考慮した実効レートでも375Mbpsを達成。ラスベガスで7日に開幕する「2008 International CES」にも参考展示し、45枚の静止画(45MB相当)を数秒で転送するデモを披露する。
ソニーによれば、従来の無線システムのような複雑な接続設定やアクセスポイントは不要で使えるが、通信機器の事前登録も可能。例えば自宅の機器のみを登録すれば、第三者へのデータの漏洩を防止できるとしている。ソニーでは今後、TransferJetの採用を広く業界に働きかけていく考えだ。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200801/08-002/index.html
( 永沢 茂 )
2008/01/07 19:07
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