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字幕送出ソフトの画面と実際のテレビ画面
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NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、生放送ニュース番組の字幕を自動で制作する「全自動リアルタイム字幕制作システム」を22日より提供開始する。放送局向けに販売するもので、ソフトウェア一式の価格は300万円。
全自動リアルタイム字幕制作システムでは、簡単な事前準備だけで、放送中の運用人員も必要なく、ニュース番組に字幕を付与できる。放送用原稿を字幕テキストに自動変換しておき、システムに入力。放送中、アナウンサーの発言を音声認識ソフトでテキスト化し、字幕テキストと照合。アナウンサーの発話タイミングに合わせて、字幕を自動で送出する。
従来、ニュース番組に字幕を出す方法としては、リスピーク音声認識方式や字幕テキスト手動送出方式などがあり、いずれも放送中に専用の作業員が必要となるほか、事前準備に時間がかかったり、字幕表示までにタイムロスが生じている。NTT Comでは、字幕放送のニーズ、および放送局のコスト面の問題を解決する策として、全自動リアルタイム字幕制作システムを開発した。なお、従来では字幕が出るまでに、5~10秒の遅延があったが、同システムでは1~2秒に短縮されるという。
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システム概要
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放送用原稿(左)、字幕テキスト(右)
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音声認識ソフトの画面(左)、字幕テキスト自動変換・送出ソフトの画面(右)
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NTT Comの先端IPアーキテクチャセンターの原隆一所長は、「今回のシステムは、我々が開発した音声認識およびテキスト変換技術をベースにしたもの。昨年、地域放送局と実証実験を行ない、放送品質であると評価を受けたことから、商用化するに至った」と説明。また、同センター情報変換チームの吉川博担当課長は、「放送のデジタル化に伴い、手軽に字幕放送が見られるようになった。字幕放送は難聴者の方だけでなく、音を出せない場所でもテレビ視聴を楽しめる手段になった」と述べた。
NTT Com先端IPアーキテクチャセンター情報変換チームの粟田定樹氏は、字幕ニーズの社会的背景や、放送局の問題点を説明。「デジタル化に伴う設備投資で、字幕制作のため人員を増やすことは、1名であってもコスト的に困難というのが地域放送局の現状」とした。全自動リアルタイム字幕制作システムの特徴として、「放送用原稿の字幕テキスト自動変換により、従来、事前準備に1~2時間かかっていたものが、最短10秒に短縮される。放送中のシステム運用人員がいらない」とアピールした。
全自動リアルタイム字幕制作システムが対応している番組は、5分程度のストレートニュースだが、今後は夕方放送しているニュース番組にも対応するという。さらに、NTT Comのネットワークサービスと連携し、ASPでの提供も検討する。このほか、「作成した字幕テキストはインターネットの動画配信へ2次利用できる。また、映像だけでなく、音声、音楽に同期した新たなコンテンツ制作にも応用可能」(粟田氏)とした。NTT Comでは、全自動リアルタイム字幕制作システムについて、今後1年で20~30の放送局へ導入し、1~2億円の売上を目指す。
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難聴者の増加と総務省の指針
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放送局の現状
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動画配信での応用例
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NTT Com先端IPアーキテクチャセンターの原隆一所長
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.ntt.com/release/monthNEWS/detail/20080121.html
( 野津 誠 )
2008/01/21 18:57
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