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「本人確認せず単位付与」は事実誤認、サイバー大学の吉村学長が会見

読売新聞社には法的手段も検討

21日付の読売新聞を手に取り「事実誤認」と語気を強めるサイバー大学の吉村作治学長
 サイバー大学は21日、同大学が学生の本人確認をせずに単位を認定していたと報じた読売新聞の記事に対して、単位認定の事実を否定した。同日に開かれた会見で学長の吉村作治氏は、本人確認が遅れている事実は認めたものの、「記事の内容は全くの事実誤認」と強調。記事による風評被害で入学者が減ることも想定されるとして、読売新聞社に法的手段を検討する考えを示した。

 サイバー大学は、すべての講義をインターネットによる通信教育で行なう4年制大学。PCとインターネットにつながる環境があれば、24時間どこでも授業を受けることが可能で、一度も通学せずに大卒資格を取得できることが特徴としている。

 21日付の読売新聞朝刊では、サイバー大学の在学生620人のうち約200人に本人確認をせず、この中には大卒資格の取得に必要な単位を与えていたと報じていた。また、他人に講義や試験を受けさせて、大卒資格を取ることも可能としており、文部科学省が改善指導に乗り出すことを決めたと記載されている。

 この記事に対してサイバー大学は21日付のプレスリリースで、在学生の本人確認を進めており、在学生620人のうち440人の本人確認が終了したと報告。さらに、本人確認が済んでいない生徒には単位を認定しておらず、現時点では、文部科学省からの改善指導も受けていないと反論した。

 また、本人確認が済んでいない180人に対しては、全国各地で開催している大学説明会のほか、Webカメラや携帯電話のカメラ機能で本人確認を行ない、2008年1月末までに本人確認を終了するとした。1月末までに確認できない学生に対しては大学職員が個別訪問し、2月末までに確認できない生徒には単位を与えず、その後も確認できない生徒には退学勧告を行なうという。サイバー大学の広報部によれば、本人確認の方法は、カメラで撮影した学生の動画と、その学生の入学願書の写真と照らし合わせ、目視で確認するとしている。

 なお、文部科学省の大学設置・学校法人審議会では2006年11月、サイバー大学の設置を認可するにあたり、学生の本人確認を厳密にすることなどを留意事項として挙げていた。文部科学省では2007年11月、当時210人しか本人確認が済んでいなかったサイバー大学に苦言を呈し、これを受けたサイバー大学は学生に対し、2007年12月から本人確認を済ませるようメールで通達していたという。


吉村学長が「怒りの会見」、本人確認の遅れを認めつつも読売新聞社を非難

「怒りの会見と言っていただいて結構」と語る吉村氏は、会見で終始険しい表情を見せた
 会見では、記者団からサイバー大学側が本人確認を怠っていたことが本質的な問題ではと指摘する声が相次いだ。これに対して吉村氏は、入学式や説明会での対面による本人確認を重視していたため、本人確認が進まなかったと釈明。「私の判断が甘かった」として対応の不備を認め、1月末までにはWebカメラや携帯電話のカメラ機能を用いて本人確認を終了したいと述べた。また、次年度に入学する学生に対しては、本人確認ができなければ入学を認めない方針を示した。

 なお、サイバー大学の授業では、入学時に付与されるIDとパスワードを入力して学生専用ページにログインする。授業の出欠は、教員が講義を行なう動画を閲覧することで、出席と見なされる。会見では、「替え玉の受講も可能では」という質問が寄せられたが、吉村氏は「通学制の大学でも代返はあるが、勉強しなければ答えられない試験を身代わりで受けるような酔狂な人はいない」と回答。Webカメラや指紋認証による授業毎の本人確認も検討するとしたが、「教育は相手を信じるもの」との持論を述べた。

 「怒りの会見と言っていただいて結構」と語気を強める吉村作治学長は、今回の記事が掲載された経緯は、読売新聞の記者が、事務局長である渡邊開也氏に取材したと説明。「責任を持たない人間に質問を投げかけ、都合のよい部分だけを書いている」と非難した。サイバー大学では近日中に読売新聞で広告を出す予定だが、「そのフォローの取材だと思っていた。詐欺にあったような気持ち。水戸黄門が欲しい」と憤りをあらわにした。

 「公正な監査を受けずに税金を逃れる大学法人や宗教法人がある中、株式会社立のサイバー大学では決算報告書を公開し、しかるべき利益が上がれば税金を納めるべきと考えている。このように大学改革を一生懸命やっている人間に対して、何の利益があってこのような記事を書くのか。我々には謝る理由はないので、法的対応も検討する。(経営に関与する)ソフトバンクには優秀な弁護士がいるので、読売新聞社は覚悟して欲しい。」(吉村氏)


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.cyber-u.ac.jp/outline/release/2008/080121_0001.html

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( 増田 覚 )
2008/01/21 20:38

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