日経・朝日・読売インターネット事業組合は30日、ニュースサイト「新s(あらたにす)」に関する記者発表会を都内で開催した。
● 新聞社のコンテンツをネットでも広める
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登壇者一同
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日本経済新聞社、朝日新聞社、読売新聞グループ本社は、インターネット分野における共同事業と販売事業の業務提携を2007年10月1日に発表しており、あらたにすは共同事業の第1弾となる。
日経・朝日・読売インターネット事業組合の長田公平理事長(日本経済新聞デジタルメディア代表取締役社長)は、「インターネットの普及をはじめ、メディアの多様性が進んでいるが、我々3社は新聞こそが最も信頼性の高いメディアであり、今後もそうあり続けたい」と話す。
「現在、ネットに配信されている一般ニュースの大半は、新聞社の記者が取材をして記事にしたもの。ニュースにかける陣容や層の厚さは、他のメディアと比較しても我々が有力。新聞社が発信する報道、解説、論評をネットでも広めるため、各社単独ではできないサービスを3社共同で提供していきたい」(長田理事長)。
● 読み比べることで、物事を多角的にとらえられる
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名称の由来
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あらたにすでは、日経・朝日・読売の3紙のWebサイトから、一面、社会面、社説の一部を掲載する。全文を読むには各紙サイトへ移動する。どの記事を掲載するかは3紙編集部の判断になるという。「同じ事件でも各社で書き方が違う。読み比べることで、事件を多角的にとらえることができる」(長田理事長)。
また、当日の3紙の編集コンセプトを解説するコーナー「編集局から」や、世間で話題の出来事に関する3紙の記事をまとめた「注目テーマ」、3紙サイトの最新更新記事がわかる「最新ニュース」を用意。さらに、各紙が掲載している「書評」「イベント」「おすすめ企画」なども、あらたにすで読むことが可能だ。
あらたにす独自のコンテンツとしては、各界の著名人が新聞記事を評論・解説する「新聞案内人」がある。開始当初は、東京大学名誉教の安井至氏をはじめ、学者、財界人、文化人、ジャーナリスト、3紙OBなど10人がコメンテーターとなる。「2日に1回は更新したい。案内人の人数も増やしたい」(長田理事長)とのこと。
新聞案内人の1人、在日米国商工会議所のチャールズ・レイク会長は、「自分の経験から、新聞は読み比べ、読み込んでいくことが重要。グローバルな視点からコメントをしていきたい」と抱負を語った。同じく新聞案内人で、関西大学政策創造学部の白石真澄教授は、「私たちが生きている時代は物事を多面的に見ることが重要。あらたにすは、読者にとって新しい新聞の見方を提供するもの」と話した。
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各紙サイトからの誘導
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新s(あらたにす)
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● 政治面、経済面、国際面の掲載も検討
あらたにす開始に伴い、「3社論説トップ鼎談」も行なった。鼎談は31日の3紙朝刊に掲載されるほか、あらたにすで動画と発言全文を公開する。今後も、3社でさまざまなテーマに基づき討論する機会を随時設け、あらたにすと新聞紙面で展開するという。さらに、読者の意見をサイト上で紹介するコーナーや、3紙の記事横断検索サービス、3紙の記事をPCデスクトップ上で閲覧できるガジェットなども検討する。
あらたにすでは、月間400万PVを目指し、3年目で広告モデルによる収益を見込む。「各紙サイトは毎日1,500万~2,000万PVあるが、あらたにすは記事をクリックして各紙サイトに移動するために滞留ながく、そこまでのPV数は見込んでいない」(長田理事長)。
長田理事長は、「今後は一面、社会面、社説以外にも、政治面、経済面、国際面も検討している。RSSについては3社の取り組みが若干違うので、今後協議していきたい」とした。最後に、「3社の共同事業がようやくスタートラインに立った。3社の知恵を結集して新しいコンテンツを加えていきたい。また、皆様の意見を集めて、サービスの向上に努めたい」と意気込みを語った。
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日経・朝日・読売インターネット事業組合の長田公平理事長
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日経・朝日・読売インターネット事業組合の概要
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関連情報
■URL
新s(あらたにす)
http://allatanys.jp/
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( 野津 誠 )
2008/01/30 20:13
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