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マルウェアは局地化の傾向、日本の暴露ウイルスは世界的に見て特殊

McAfee Avert LabsのDave Marcus氏が解説

McAfee Avert Labsのシニアマネージャーを務めるDave Marcus氏
 マカフィーは12日、同社のセキュリティ研究組織「McAfee Avert Labs」が2月19日に公開を予定している年次研究報告書「Sage Vol.3」の内容に関する説明会を開催した。説明会では、McAfee Avert Labsのシニアマネージャーを務めるDave Marcus氏が、世界と日本のマルウェアの最新状況について解説した。

 McAfee Avert Labsの年次研究報告書「Sage」は、一般ユーザーに向けて、その時々のセキュリティ課題について広く情報発信と問題提起を行ない、オープンな議論を促すことで、セキュリティへの理解促進やセキュリティコミュニティの情報共有を目指す目的で2006年6月に創刊。2月19日に公開予定の第3号では、マルウェアのグローバライゼーションについて、McAfee Avert Labsの各国の研究者が論考を寄せている。

 Marcus氏は、世界的なマルウェアの傾向としては、検知される亜種の数がさらに激増しており、2007年だけでも135,885以上のマルウェアを確認し、1日に5万以上のサンプルを解析しているが、この傾向が2008年も続くと説明。2008年末には、1日に750種以上の新しいマルウェアが登場することになるだろうとの予測を語った。

 マルウェアの全体的な傾向としては、2005年以降に流行したボットの脅威はやや減少し、代わってユーザーのパスワードを盗むタイプのトロイの木馬が最も大きな脅威となっていると説明。こうしたトロイの木馬は、銀行やオンラインゲームのパスワードを主なターゲットとしており、盗み出したパスワードを金銭に換える手法が確立しているため、この手法の流行は続くだろうとした。

 一方、日本における脅威としては、ファイル共有ソフト「Winny」のユーザーを狙ったマルウェアの流行が、世界的に見ても特徴的なものだと説明。プライバシー情報の暴露や、感染者を嘲笑うかのようなメッセージの表示、ファイルの破壊といった挙動を示すマルウェアの流行は他国にはあまり例が無いと語った。また、ワープロソフト「一太郎」を狙ったマルウェアなど、主に日本だけをターゲットにした攻撃も多数確認されており、世界的にも各国でマルウェアの流行に局地化の傾向が見られるとした。

 Marcus氏は今後のマルウェアの傾向について、かつてのように世界中に大流行するウイルスは見られなくなっているが、ここ数年ではインスタントメッセンジャーについての脆弱性が数多く報告されており、自動的に感染するワームが広がれば壊滅的な結果になると予測。また、仮想化技術やVoIP技術などについても脆弱性の報告が多数あり、こうした企業が今後導入を予定している技術については、攻撃者側も狙うための準備を進めているとして、注意を呼びかけた。


マルウェアの亜種は激増。ウイルス検査機関「Av-Test.org」が2007年に収集したサンプル数は500万種類以上に マルウェアの主流はボットからウイルスを盗み出すトロイの木馬に

日本の特徴としてはWinnyユーザーを狙った暴露ウイルスの流行を挙げた 2007年にはインスタントメッセンジャーの脆弱性が多く報告されており、今後警戒が必要だと説明

関連情報

URL
  マカフィー
  http://www.mcafee.com/jp/
  マカフィー 研究機関による調査報告書
  http://www.mcafee.com/japan/security/publication.asp


( 三柳英樹 )
2008/02/12 16:16

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