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日立など4社、無線ICタグを使った「著作物の複写利用管理システム」


 日立製作所、日立システム九州、リコー、ゼンリンの4社は、無線ICタグを用いた「著作物の複写利用管理システム」の実証実験に成功したと発表した。実用化すれば、出版物で複写利用に応じた著作権料の受領が可能になるという。

 「著作物の複写利用管理システム」は、書籍など出版物の複写利用に応じた著作権料の支払いを可能にするもの。出版物に、固体識別が可能な日立製作所の小型無線ICタグ「ミューチップ」(縦0.4×横0.4mm)を装着し、複写の際には、ミューチップの読み取り装置(ミューチップリーダー)を装備したリコーのデジタル複合機によって複写利用記録を取得。そのデータを日立システム九州が開発した「複写利用料管理システム」で管理する。ミューチップにより1次複写物の管理ができ、出力した複写物には地紋に牽制文字を埋め込むことで不適切な2次複写による利用を抑止する。

 今回の実証実験は、2007年11月20日から2008年1月21日まで、西日本シティ銀行の北九州営業部と、三井住友銀行の北九州法人営業部に、それぞれ複写利用管理システムを設置して実施した。実際の業務の中で、ゼンリン住宅地図帳を複写利用する際に、同システムによる著作権管理が有効に機能するかなどを検証。あわせて、住宅地図の複写利用状況把握やデータ回収処理などを実施することで、実務に必要な情報処理システムやデジタル複合機の操作性の確認や改善要望など、実用化に向けた情報収集を行なった。

 日立らは、今回の実証実験により、詳細な複写利用状況の把握や複写利用料管理システムの処理が有効に機能したことなどが確認できたとしている。今後4社は実証実験で得た成果に加え、著作権者や著作権管理団体の意見を取り入れた製品・システムの開発やその標準規格についての策定を行なうとともに、著作権者や著作権管理団体に対し、同システムを活用したビジネスモデルへの参加を働きかけるなど、実用化を目指す。

 実用化すれば、著作権者は複写利用に応じた著作権料を受領することが可能となる。また、複写利用者は従来の「複写許諾契約」などに基づく概算見積り支払いから利用状況に応じた複写利用料を支払うことが可能となる。


実証実験の概要

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/02/0215.html
  ミューチップ
  http://www.hitachi.co.jp/Prod/mu-chip/jp/index.html


( 野津 誠 )
2008/02/15 14:55

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