米Amazonが提供しているユーティリティコンピューティングサービスの1つ「Amazon S3」において15日、3時間以上にわたって障害が発生し、このサービスを利用しているネット企業のサービスに影響を与えた。
Amazon S3は、Webサービスを使ってストレージ容量の多寡にかかわらず適度な料金で提供するサービスで、多くのスタートアップ企業がデータの格納などに使用している。今回、Amazon S3がダウンしたことによって、TwitterやThe New York Timesのアーカイブサービスなど、有名なネット企業の一部サービスにも影響が見られた。
Amazon Web Serviceではサポートのためのユーザー掲示板が用意されているが、この問題について話し合うためのスレッドは返信数が100を超えた。通常のスレッドでは多くても二桁の前半台にとどまることが多い。また、この問題が報じられた影響もあり、このスレッドの閲覧数も7万を超えており、問題の影響の大きさをうかがわせている。
Amazon Web Serviceチームはこれを受けて原因の説明を行なった。それによると、2月15日20時30分(日本時間)に、ある特定のユーザーから多数の認証リクエストが行なわれた。認証リクエストは、他のリクエストに比べて多くのリソースを必要とする。21時少し前から、この認証リクエストの数が著しく増え始め、限界を超えてしまった。その結果、21時31分には、他のすべてのリクエストを処理することができなくなってしまったという。Amazonで対策を行なった結果、23時48分には問題を解決することができたと説明している。
同社では今後、認証リクエストの割合を常時モニターし、認証サービスの処理能力を増強し、同様の問題が生じないように備えると説明している。
Amazonでは、インターネットによるWebサービスを、スケーラブルに丸ごと提供できるだけのWebサービスを提供している。その結果、スタートアップ企業がサーバーの維持・管理などの余分な事柄に煩わされることなく、サービスの提供に専念できるとして話題になっている。今回のサービスダウンは、Amazonのネットインフラとしての影響の大きさを示すと同時に、ユーティリティコンピューティング利用時に注意しなければならない問題点を明らかにした格好だ。
関連情報
■URL
Amazon Web Service掲示板の該当部分(英文)
http://developer.amazonwebservices.com/connect/message.jspa?messageID=79978#79978
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・ 米Amazon、容量無制限・高速スケーラブルなストレージのWebサービス(2006/03/15)
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/02/18 12:56
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