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EU、ネット放送のためのP2P技術開発に1,500万ユーロ拠出


 21の企業や大学研究機関からなる汎欧州コンソーシアム「P2P-Next」は19日、EUから1,500万ユーロ(約24億円)の資金供与を研究開発資金として受けたと発表した。

 P2P-Nextではこの資金を受けて、次世代インターネットテレビ放送のためのP2P技術を開発する。将来的にこの技術は、ビデオオンデマンドサービスに利用され、メジャーなテレビイベントで使用される計画もあるという。

 P2P-Nextコンソーシアムプロジェクトは4年間にわたって進められ、PC、セットトップボックスや他のさまざまなコンシューマデバイスでテストが行なわれる。P2P-Nextが行なう技術開発は、インターネットを使ったコンテンツ配信技術から、法的規制、セキュリティ、ビジネス、商業利用などさまざまな分野の問題にまたがっている。このコンソーシアムで開発された技術はオープンソースで公開されるため、他のビジネスに使用することも可能になる。

 このコンソーシアムに参加しているのは、放送局の英BBC、欧州放送連合、Delft University of Technology、Lancaster University、Markenfilm、Pioneer Digital Design Centre Limited、VTT Technical Research Centre of Finlandなど、欧州全体にわたっている。

 長年にわたりP2Pアプリケーションを開発してきた参加企業の1つであるTriblerによると、このコンソーシアムにはEUが拠出する1,500万ユーロだけでなく、参加する企業などからも400万ユーロ(約6億3,000万円)が寄附されるとしている。

 このグループでは、1年以内にRSSフィードのP2Pバージョンといえる「Live Playlist」、Wikiに似たモデレーション機能、スパム対策のためのレピュテーションシステム、ファイルの共有比率強制機能などが公開される予定だとしている。さらに、P2P-Nextのアーキテクチャは純粋な分散P2Pであり、中央サーバーを必要としないとしている。また、BitTorrentプロトコルと後方互換性がある。

 このP2P-Nextプロジェクトについて、EUのUnit of Network Media長のLuis Rodriguez-Rosello氏は、「この野心的なプロジェクトは、P2Pパラダイムを使ってビデオを配信する新しい方法を模索しており、誰もが、どこからでも、世界中のどれだけの人に対しても、ビデオ配信できることを可能にしたいと考えている。これは、我々が描いている未来のメディアインターネットの実地試験といえる」とコメントしている。


関連情報

URL
  P2P-Next(英文)
  http://www.p2p-next.org/
  Triblerのニュースリリース(英文)
  http://www.tribler.org/P2P-Next/19Million-for-P2P


( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/02/21 12:05

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