国家公安委員会、総務省、経済産業省は29日、不正アクセス行為の発生状況を公表した。2007年に報告のあった不正アクセス行為の認知件数は1,818件で、2006年からほぼ倍増。不正アクセス禁止法違反事件としては、86件、126人が検挙された。
1999年に成立した不正アクセス禁止法では、不正アクセス行為の発生状況とアクセス制御機能に関する技術の研究開発状況を、年1回公表することが定められている。2007年に、全国の都道府県警察から警察庁に報告のあった不正アクセス行為の認知件数は1,818件で、2006年の946件からほぼ倍増。内訳は、海外からのアクセスが79件、国内からのアクセスが1,684件、アクセス元不明が55件となっている。
被害を受けたマシンの管理者別の分類は、プロバイダーが1,372件、一般企業が437件、大学・研究機関等が1件、その他が8件(うち行政機関が5件)。認知の端緒は、警察活動が1,326件、利用権者からの届出が415件、アクセス管理者からの届出が61件、発見者からの通報が2件、その他が14件。
不正アクセス行為後の行為としては、ネットオークションの不正操作が1,347件、オンラインゲームの不正操作が246件、ネットバンキングの不正送金が113件、情報の不正入手が55件、ホームページの改竄・消去が25件、不正ファイルの蔵置が1件、その他が31件。2006年と比較すると、ネットオークションやネットバンキングの不正操作が増加する一方、オンラインゲームの不正操作はやや減少している。
2007年の不正アクセス禁止法違反による検挙件数は1,442件、検挙事件数は86件で、検挙人員は126人。検挙された不正アクセス行為の様態は、すべて識別符号盗用型で、セキュリティホール攻撃型の事件は1件も無かった。
識別符号の入手方法は、フィッシングサイトにより入手したものが1,157件と圧倒的に多く、2006年の220件から急増している。その他の方法は、利用者のパスワード設定・管理の甘さにつけ込んだものが139件、スパイウェア等のプログラムを利用したものが55件、識別符号を知り得る立場にあった元従業員や知人によるものが39件、言葉巧みに利用権者から聞き出したまたは覗き見たものが31件など。
被疑者の年齢は、10代が39人、20代が39人、30代が34人、40代が12人、50代が2人。2004年以降、10代の被疑者が30%前後を占めている。不正アクセス行為の動機は、「不正に金を得るため」が1,186件と多数を占め、以下は「オンラインゲームで不正操作を行なうため」が133件、「嫌がらせや仕返しのため」が62件、「好奇心を満たすため」が55件、「料金の請求を免れるため」が2件などとなっている。
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■URL
ニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080229_6.html
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( 三柳英樹 )
2008/02/29 18:14
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