マイクロソフトは10日、オンラインサービス事業における2008年度下半期の事業展開について記者説明会を開始した。「MSN」の新サービスや「Windows Live」の現状などを説明した。
● 動画共有サービス「Soapbox」日本語版を開始
マイクロソフトのオンラインサービス事業部でMSNを担当するエグゼクティブプロデューサーのショーン・チュー氏は、「2008年度はMSN主力サービスのリニューアルに注力している」と話す。「2007年10月に開始した『MSN産経ニュース』が好調」という。
2月5日には、「MSNビデオ」をリニューアルした。インターフェイスの変更やコミュニティ機能、広告表示に新機能を追加した。また、動画検索には力を入れているという。「MSN内だけでなく、ユーザーが投稿したコンテンツや他社の動画サイトにあるコンテンツも検索でき、視聴ニーズが満たされる」(チュー氏)。
動画共有サービス「Soapbox」の日本語版を3月12日から開始する。米国では、2007年9月にMSNビデオとSoapboxの統合が行なわれたが、日本ではMSNビデオの新機能としてSoapboxを開始するかたちになる。同時に日本独自となるSoapboxオリジナルのコンテンツも提供。ショートフィルム映画祭やお笑い動画投稿企画などを実施する。
4月には、MSNホームをリニューアル。デザインとレイアウトを一新し、3ペイン化する。Hotmailやメッセンジャーなどの機能、および主要コンテンツをヘッダ部分にアイコンとしてまとめる。左ペインには、MSNユーザーに人気があるという株価情報を上部に配置。中央ペインには、ニュースや編集部推薦コンテンツ。右ペインには、気象情報などを配置する。
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強化されたビデオ検索
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Soapbox日本語版がMSNビデオに登場
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MSNトップページの刷新
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● SkyDriveが予想以上に好調
オンラインサービス事業部プロダクトマネージメントグループの小野田哲也氏(Windows Liveチームディレクター)は、2007年11月に公開した新世代Windows Liveの現状を説明。「新世代Windows Liveの戦略はユーザーエンゲージメントの強化とパートナーシップによる普及拡大」とした。
「Liveサービスを複数使うほど、ユーザーの利用時間が長くなる傾向がある。そこで、1つのLive IDでいかに多くのサービスを利用できるかに注目した開発を行なった。具体的にはLiveサービスのシングルサインインと一括ダウンロード。また、パートナーとの連携もユーザー拡大の戦略と位置付けている」(小野田氏)。
メッセンジャーでLiveサービスの情報を提供する会話ロボット「Windows Live Agent」の「まいこ」が好評だという。サービス開始以来、80,000ユーザー以上がまいこをメンバー追加したほか、国内メッセンジャーのトラフィックのうち0.4%がまいことの会話になるという。「Agentがパートナーの商品を告知するような広告も検討したい」(小野田氏)。
このほか、オンラインストレージサービス「Windows Live SkyDrive」は、「予想以上の反響」だという。「利用者数は、先にベータから公開していた米国が多いが、個人が扱うファイルの送受信トラフィックは日本の方が多い。ブロードバンド環境が整っている日本向きのサービスと言える。1回のアップロードで扱える容量(50MB)を上げてほしいという要望もあるので、今後検討したい」(小野田氏)。
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ユーザーエンゲージメントの強化
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パートナーシップによるユーザー拡大
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メッセンジャーの会話ロボットまいこ
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● Yahoo!買収提案はオンライン事業強化の現われ
オンラインサービス事業部マイクロソフトデジタルアドバタイジングソリューションズの福徳俊弘常務執行役員は、広告販売の現状について説明した。リッチコンテンツを利用した広告が好調としたほか、自動車や家電、通信など大手企業からの出稿が約1年間で急拡大しているという。「企業は、広告展開する中で、Webを他のメディアと同じようにメインとして考えている。しばらくは、ロングテールよりも、大手の広告主に満足してもらえるような広告を扱いたい」との考えを示した。
オンラインサービス事業部長の笹本裕執行役常務は、現職就任1年の事業活動を総括した。「まず、ユーザーに支持される媒体(MSN)を基礎から作ることに注力し、売上が上がった。さらに、Windows Liveでは事業開発に注力し、パートナーシップも拡大した。今後は、長期的な戦略の策定が重要になる。本社との関係も強化し、日本を優先すべき市場と位置付け、投資するようになった」と話す。
また、米Microsoftの米Yahoo!買収提案についても言及した。「より多くのユーザーにマイクロソフト製品を使ってほしいという考えのもと買収を提案している」と述べたほか、「買収額約4兆7,000億円は、Yahoo!が持つユーザーの資産に対する提案額。Yahoo!の持つ広告システムと我々のテクノロジーも融合できる。いずれにしても、Yahoo!との提携はプラスに転じるもの。あれだけの投資を行なうことは、オンラインビジネスを強化したいことの現われでもある」とした。
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オンライン戦略へのコミットメント
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ナショナルクライアントによる出稿が急増
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広告新商品
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アドネットワークを展開
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関連情報
■URL
Windows Liveホーム
http://www.live.com/
MSN
http://jp.msn.com/
■関連記事
・ Windows LiveおよびMSNを強化し、ソフトとサービスの融合を本格化(2007/08/02)
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( 野津 誠 )
2008/03/10 18:12
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