総務省の「デジタル・ディバイド解消戦略会議」は28日、第一次報告書を公表した。デジタル・ディバイドの解消に向けた基本的視点や具体的施策についてとりまとめている。
総務省は、2010年度までに全国の“ブロードバンド・ゼロ地域”を解消することなどを目標に掲げた「次世代ブロードバンド戦略2010」を2006年8月に発表。携帯電話の不感地帯の解消もあわせ、具体的施策を検討するためのデジタル・ディバイド解消戦略会議を2007年10月から開催している。今回の第一次報告書は、6月にとりまとめる最終報告に先立って作成されたものだ。
第一次報告書によると、目標期限の2010年度まで残り3年となったが、ブロードバンドサービスエリアの世帯カバー率の推計では約4.2%が残っているという。また、携帯電話のカバーエリアは人口比で99.7%を達成しているが、残り0.3%ある。これらについての整備が急務だとし、それに向けた基本的視点として「合わせ技」プロジェクトを挙げている。
条件不利地域におけるブロードバンド基盤の整備・維持には採算面で困難を伴うことが多い一方、地上放送のデジタル化対応や携帯電話のエリア整備、防災情報基盤の整備が地域における優先的課題だとして、これらを一体的に整備したいとの要望が存在するという。そこで、インフラごとの個別整備を中心とした従来の支援に加えて、光ファイバや携帯電話基地局の整備などを一体的に行なうことにより、地域の多様なニーズに応えることが容易になると指摘している。
なお、「合わせ技」プロジェクトを推進するにあたっては、防災、福祉、遠隔医療、テレワーク、環境問題など、公共的アプリケーションの整備との連携により、地域住民にとって効果の見えやすい形での基盤整備を図ることが必要だとしている。
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「合わせ技」のイメージ(報告書の参考資料より)
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報告書では、2007年9月末現在でブロードバンド・ゼロ地域に居住すると推計される約220万世帯について、ブロードバンド環境を整備するために必要な費用も試算。一定の前提条件の下で整備費用を試算した結果、約2,906億円~5,674億円となっている。
このほか報告書では、ユニバーサルサービス制度の見直しについても言及。ブロードバンド・ゼロ地域の解消を図った2010年度以降のブロードバンド基盤の維持などについて、ブロードバンドサービスの普及状況を踏まえ、ユニバーサルサービス制度の見直しと関連して、国民のコンセンサスを得つつ議論を具体化していく必要があるとしている。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080331_13.html
デジタル・ディバイド解消戦略会議
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/ddcon/index.html
■関連記事
・ 総務省、「デジタル・ディバイド解消戦略会議」を設置(2007/09/11)
・ 総務省、「次世代ブロードバンド戦略2010」についての意見募集を開始(2006/06/27)
( 永沢 茂 )
2008/03/31 17:05
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