WIDEプロジェクトは4月29日、自由民主党において検討されている“青少年インターネット規制法案”に対して、反対する声明文を発表した。
WIDEプロジェクトでは、自由民主党において検討されてきた「青少年の健全な育成のためのインターネットの利用による青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案」が、今国会で提出されようとしており、法案では有害情報から青少年を保護するため、1)内閣府委員会での有害基準の策定と主務大臣の行政命令、2)Webサイト管理者に対する有害情報の削除義務、3)携帯電話会社に対する未成年フィルタリングの義務化――の措置を講ずることとしていると説明。それぞれの点について、問題点を指摘。法案については「断固反対する」としている。
法案については、政府が何が有害な情報であるかの基準を設け、行政命令権を持つことは、情報空間における多様な可能性を排除することにつながり、情報社会の健全な発展を阻むものだと指摘。有害情報の削除義務を設けることについても、国民が有害と言われる情報に関して例を挙げることすらままならない状況を生むことになり、セキュリティ管理の観点からは、攻撃対象となるサイトに執拗に「有害情報」を書き込むなど、新たな攻撃手段を攻撃者に与えることになるとしている。
また、サービスプロバイダーにフィルタリングが義務付けられることについては、フィルタリングはユーザーによる柔軟な操作を可能にしなければならないと説明。現在のフィルタリング技術は、自然言語に完全に対応できるほどには高度ではなく、ユーザーの手元でフィルタリングの有無を状況に応じて切り換えたり、フィルタリングされた情報に適宜アクセスすることを許さなければ、いざ問題が起こったときに適切に対応できないとしている。
WIDEプロジェクトでは、インターネットは工学的にも社会的にも分散したシステムとして発展してきており、もし中央が一様なやり方で事に当たるとすれば、デジタル技術や分散システムの利点自体が失われることにつながりかねないと指摘。分散システムで起きている社会的な問題に対し、デジタル技術の基盤性を高度に応用し、分散的に解決する手段を行使、それを実施していくことに関しては、WIDEプロジェクトは全面的に協力することを惜しまないとしている。
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■URL
ニュースリリース
http://www.wide.ad.jp/news/press/20080429-j.html
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( 三柳英樹 )
2008/05/01 16:21
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