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コミュニティFM局がネット配信の連合発足、地上波放送の同時配信


6月2日に開設する予定のポータルサイト
 地域密着型のコミュニティFM局の番組をインターネット配信するための連合「Community SimulRadio Alliance(CSRA)」が27日に発足した。各放送局の番組は、ポータルサイト経由で地上波放送と同時配信する。多くのコミュニティFMには電波が届かない難視聴地域があるが、インターネット配信で難視聴地域の解消を図る。

 CSRAの代表には、ジャーナリストで逗子・葉山コミュニティ放送(湘南ビーチFM)代表取締役社長を務める木村太郎氏が就任。現時点では湘南ビーチFMのほか、北海道の三角山放送局、埼玉県のフラワーラジオなど19局がCSRAに参加している。

 6月2日に開設予定のポータルサイトで、北海道、関東、北陸、関西エリア10局が順次、インターネット配信を開始する。サービス名称は、地上波放送と同一の番組を異なるメディアで配信するサイマル放送と、ラジオを組み合わせた「SimulRadio」(サイマルラジオ)。

 番組のインターネット配信で音楽を活用する際の音楽著作物使用料については、作詞者・作曲家の著作権を管理する日本音楽著作権協会(JASRAC)、歌手・演奏家の著作隣接権を管理する著作権隣接権センター(CPRA)、レコード会社の著作隣接権を管理する日本レコード協会(RIAJ)と、CSRAがそれぞれ協議。音楽をインターネット配信する際に適用する「自動公衆送信権」に基づいて、使用料を取り決めたという。

 各コミュニティFM局がJASRAC側に支払う使用料は年額5万円。また、CPRAおよびRIAJに対しては、各局が難視聴地域へ情報を届ける「放送の補完目的」という条件のもとに協議した結果、地上波放送の二次使用料と同額にあたる、年額最低5万円、上限24万円という使用料で締結した。


フリービット提供の「デジタル放送パッケージ」でサイマル放送を実現

「デジタル放送パッケージ for SimulRadio」の概要
 サイマル放送の仕組みについては、フリービットが提供する「デジタル放送パッケージ for SimulRadio」を採用した。同パッケージでは、フリービット子会社のDTIが手がけるインターネット接続サービス、音声をエンコードするためのPC、ストリーミング配信用のサーバー、サポートサービスをパッケージとして提供する。

 エンコード用PCには、ソニーの円形デスクトップPC「VAIO TP-1」を採用し、フリービット側で必要なソフト・設定をセットアップしてから配送する。また、ストリーミングサーバーは、2台のWindows Server 2003で構成され、24kbpsの音声で3,000件以上の同時ストリーミング配信に耐えられるとしている。サポートは、佐賀県唐津市にある同社のコールセンターに専用窓口を設置。不具合が生じた場合には、リモートでエンコード用PCを直接操作することが可能という。

 各コミュニティFM局が支払うデジタル放送パッケージ for SimulRadioの料金は、月額5,000円。フリービット代表取締役の石田宏樹氏によれば、同パッケージの通常料金は、「20局以上が導入する前提でも70,000円程度」。しかし、各コミュニティFM局から80秒のCM枠を1日2本提供してもらうという条件で、今回の料金を実現したとしている。フリービットでは、CM再生回数に応じて広告料金を徴収する広告ネットワークを構築して収益を得る。



電波にこだわらなければラジオの将来は開ける

CSRA代表を務めるジャーナリストの木村太郎氏
 27日には、CSRA代表の木村太郎氏、JASRAC常務理事の菅原瑞夫氏、フリービット代表取締役の石田宏樹氏が記者会見を開催。FMコミュニティ局をまとめる連合を発足した理由について木村氏が、ラジオを新しいメディアとして展開するためと説明した。

 「番組をデジタル化することで、音声のエンコード方法を変えれば携帯電話にも展開できるなど、コンテンツの出口が広がる。PCでラジオを聞きたくないという人は多いと思うが、『3,000円くらいでネットラジオ放送チューナーを作れないか』と、石田さんに宿題を出しているところ。電波にこだわらなくなれば、ラジオの将来は開ける。私たちは宝の山に入りつつある状況だ」。

 CSRAによれば、コミュニティ放送局は現在200局以上。事業収入の中心は、地元企業の広告出稿や地域密着のイベント事業運営などで、年間売上高は約3,000〜5,000万円という小規模企業が大半だという。今回のインターネット配信による収益については、「ほとんど期待していません」と自嘲するが、難視聴地域が解消されて地域全体に災害情報を提供できるようになることで、地方自治体からの補助金が増える可能性があるとしている。

 今後の展開については、FMコミュニティ局のほかに広告代理店や携帯関連企業など幅広い業態にCSRA参加を呼びかけ、年末までに現在の2倍、将来的には100社以上の参加企業を見込んでいるという。


ラジオのネット配信が進まない理由

JASRAC常務理事の菅原瑞夫氏
 「放送全般、特にラジオでは音楽が重要な位置づけ」と語る菅原氏は、木村氏から使用料に関する相談を受けたときから応援団として話をしていたという。今回の連合については、「コミュニティ放送局がグループ化することで、権利者との話し合いにも安定性と信頼性が増す。今回の取り組みが成功して儲かっていただければ、JASRACへの使用料にも反映される」と期待を寄せた。

 なお、ラジオキー局のネット配信が進んでいない理由について木村氏は、「あくまで想像」と前置きした上で、地上波の番組を全国にインターネット配信することで、ネットワーク各局と競合してしまうためと指摘。さらに、地域を対象にした有力企業のCMを全国配信することについても、広告代理店や広告出稿主から見て好ましくないためとした。「我々は不幸にも、ネットワークがない。また、CMも有力企業や大手代理店から頂戴するCMはないので、了承してもらった上で放送している」。

 一方、木村氏に水を向けられた菅原氏は「ビジネスの面では今の通り」と同意。その上で、キー局ではサイマル放送を行なっていないことを指摘。ただし、一部のキー局では独自に番組のインターネット放送を行なっており、これについては各社と協議を進めていたと説明した。


関連情報

URL
  サイマルラジオ
  http://www.simulradio.jp/
  ニュースリリース(フリービット)
  http://www.freebit.com/press/pr2008/20080527_01.html


( 増田 覚 )
2008/05/27 15:16

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