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「検索サービスの適法化」などを知財推進計画に提言、知財制度専門調査会


「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」の第3回会合
 内閣の知的財産戦略本部に設置された「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」は29日、今後の知財制度のあり方についての検討経過報告をまとめた。

 報告では、1)検索サービスの適法化、2)通信過程における一時的蓄積の法的位置付けの明確化、3)研究開発に関わる著作物利用の適法化、4)コンピュータプログラムのリバースエンジニアリングの適法化――の4点を「早急に対応すべき課題」として、6月に決定する「知的財産推進計画2008」に盛り込み、2008年度中に法的な措置を講じるよう提言している。

 内閣総理大臣を本部長とする知的財産戦略本部では、近年のデジタル技術の発展やネットワーク化の進展に対応した知財制度の課題と対応のあり方に関して調査・検討を行なうため、3月13日にデジタル・ネット時代における知財制度専門調査会を設置。専門調査会では、5月29日に開催した第3回の会合で、これまでの検討経過を報告としてまとめた。

 検討経過報告では、現行の著作権法は1970年の制定以来、時代の変化に合わせて改正を行なってきたが、近年のデジタル化・ネットワーク化の進展により、法の制定当時には予想できなかった新しい状況が生まれていると指摘した。

 その上で、改革が必要な課題として、1)単一の利用方法を前提としておりマルチユースに対応していない、2)デジタル・ネット上の豊かな情報を活かした新しい利用方法に対応していない、3)リバースエンジニアリングなど技術的過程に付随する行為の取り扱いが明確でない、4)投稿サイトやブログなどで他人の創作物を相互に利用しあいながら創作するケースなどの新しい創作形態への対応が明確ではない、5)新たな技術やビジネスモデルの出現に際して、柔軟に対応しうる規定がなく、新たな動きが萎縮しがちである、6)ネット上の違法な利用に対する対策が不十分である――という6点を挙げ、著作権制度の見直しを含めて検討を行ない、早急に解決の方向性を示す必要があるとしている。

 また、特に早急に対応すべき課題としては、「検索サービスの適法化」「キャッシュなど通信過程における一時的蓄積の法的位置付けの明確化」「研究開発に関わる著作物利用の適法化」「リバースエンジニアリングの適法化」の4点を挙げ、この4点については知的財産戦略本部で6月に決定する「知的財産推進計画2008」に反映し、2008年度中に必要な法的措置を講じることが必要だとしている。

 専門調査会ではさらに今後の検討課題として、インターネットを活用した新しいビジネスにおけるコンテンツの二次利用を進めるための流通促進方策や、「日本版フェアユース規定」の導入、ネット上に流通する違法コンテンツへの対策の強化について検討を進め、2008年度中に全体の報告をまとめるとしている。


関連情報

URL
  デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会
  http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/digital/index.html


( 三柳英樹 )
2008/05/30 11:13

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