欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会はこのほど、欧州議会と欧州評議会および欧州経済社会評議会(EESC)に対して、司法の分野においてIT技術を本格的に導入する措置を適用すると発表した。
EUでは、経済分野では比較的統一が進んでおり、国境は事実上ないといってもよいほどに統合・融合が進んでいる。しかし司法の分野では、各国の司法独立の程度が高く、各国の裁判所が独自の法制度のもとで裁判を行なっているのが現状といえる。
すでにEU内では、いくつかの加盟国では相互に司法の分野でも交流・交換が進んでおり、「e-Justice」のイニシアティブも始まっている。今回の措置は、これら加盟国でバラバラに始まっている試みをEU全体として取り組むことを明らかにしたものであり、司法の分野でのEU統合に向けた大きな一歩といえる。
今回のe-Justiceプログラムでは、刑事に加え民事でも統合することが予定されており、これによりビジネス上での訴訟も国境を越えての提起がスムーズに行なわれるものと期待されている。そのために、全領域での情報を一堂に集めたポータルサイトを早期に開設すること、および司法分野での相互協力を本格的に行なうことを目指している。実務家の相互交流も促進するプログラムも検討されているという。
e-Justiceは2006年から2010年までの「e-Commision」政策の一環として位置付けられているが、ようやく本格化したといえ、今後の展開が注目される。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/08/821&type=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
( Gana Hiyoshi )
2008/06/02 14:04
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