欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は5月30日、前科などの犯罪記録の電子データ交換のために「欧州犯罪記録情報システム(ECRIS)」を設立し、これを欧州評議会への提案として採用したと発表した。
EUでは、加盟国の拡大や人的交流の拡大とともに、セキュリティへの不安が高まっている。一方で、セキュリティおよび司法の分野での情報強化のための犯罪記録の情報交換は、従来のシステムでは満足な結果を得ることができていなかったという。これまでのシステムでは、すでに発生した犯罪への処断という意味では一応適切に作動しているが、今後の犯罪の予防には役に立っていないのが現状であるという。
これに対して欧州委員会は2006年に調査を行なったが、各国の裁判所は自国における犯罪記録のみに基づいて処断を行なうため、他国での記録を参照することができず、総合して低く処断される傾向にあるとしている。また、特定の職業においては犯罪記録は大切な資料となるが、これが適切に利用されていないとされている。
欧州委員会による今回の提案は、犯罪記録について統合的なデータベースを構築し、各国で適切な利用を図るほか、欧州市民に対して各国における刑法制度の簡単な説明を整備することが予定されており、市民に優しい法制度を目指すという。
現在、データベースの開発は遅れ気味とされているが、2009年はじめには各加盟国に対して配布ができるよう準備を進めていく予定であるとしている。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/08/823&type=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
( Gana Hiyoshi )
2008/06/02 15:15
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