米Yahoo!の株主総会が8月1日に開催されることが決定し、経営陣の総入れ替えを訴えている著名投資家のCarl Icahn氏とYahoo!側が取締役候補リストを提示したのを受けて、ついに委任状争奪戦が開始された。
Icahn氏は6月4日に引き続いて6日にもYahoo!経営陣を批判する新たな公開書簡を発表し、同日、Yahoo!がこれに応酬した。
Icahn氏は、Yahoo!が採用した企業防衛策に強く反発し、批判している。Icahn氏によると、Yahoo!従業員は、同社の経営陣が変わった場合に2年間にわたって退職する権利を持ち、2年分の年収相当額など多額の補償を受けられるとしている。この結果として、もしMicrosoftが1株あたり35ドルで買収提案した場合に、最大で24億ドルを支払わなければならなくなると主張している。
そこでIcahn氏は、もし経営権を握った場合にはこの退職プランを廃止し、才能と経験を持つCEOを新たに雇い、現CEOのJerry Yang氏を「Chief Yahoo!」の役割に戻すことなどの経営策を発表した。
これに対してYahoo!側は、Icahn氏がこの退職プランについて「間違って解釈している」とした上で、「我々は、Icahn氏がYahoo!を経営する確かな計画を持っていないということを、もう一度記しておきたい」とコメント。さらに、何度も繰り返しているとした上で、「我々は、Microsoftへの売却を含め、株主の最良の利益となるいかなる取り引きに関してもオープンである」と再び主張した。
また、Yang氏は全従業員にメールを送り、委任状争奪戦が始まったこと、この期間中には会社の取締役会と経営陣に対して賛成・反対を含むさまざまな言説が飛び交うことを説明した。さらに、従業員こそが同社の最重要資産であり、この期間中も懸命に働いてくれるよう要望した。
関連情報
■URL
Carl Icahn氏の公開書簡(英文)
http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/921669/000092847508000204/dfan14a060608.txt
Yahoo!のコメント(英文)
http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1011006/000089161808000299/f41347a3defa14a.htm
Yahoo!従業員宛のメール(英文)
http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1011006/000089161808000300/f41347a2defa14a.htm
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/06/09 12:52
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