インターネット経由でテレビ番組を視聴できるサービスを不特定多数に提供するのは著作権法に違反するとして、NHKと民放5社が、永野商店の運営するサービス「まねきTV」の指し止めを求めていた訴訟で、東京地方裁判所は20日、テレビ局側の請求を却下した。
まねきTVでは、ユーザーが購入したソニーのAV伝送機器「ロケーションフリー」のベースステーションを都内にある永野商店のデータセンターで保管。ユーザーはインターネットを通じて、ロケーションフリーで受信したテレビ番組を視聴することが可能となっている。永野商店によれば、まねきTVの加盟者数は100人弱。
これに対してNHKと民放5社は、「放送対象地域外について放送が再送信されないようにすることは、著作権法によって保護されるべき著作者の正当な利益」として、まねきTVのサービスは著作物の送信可能化権の侵害にあたると訴え、まねきTVのサービス差し止めを求めていた。
東京地裁では20日、まねきTVについて「利用者がベースステーションにおいて放送波の受信を行なうための物理的な設備の単なる提供に過ぎない」などと指摘。「原告らの有する送信可能化権を侵害するものではない」として、テレビ局側の請求を棄却した。
テレビ局側が永野商店を相手取った訴訟では、2006年6月に東京地裁に仮処分申立書を提出したが、同年8月に棄却。テレビ局側は、知的財産高等裁判所に仮処分申立を抗告したが、2006年12月に棄却が決定。さらに2007年1月、知的財産高等裁判所に仮処分申立却下決定に対する抗告許可を申し立てたが、抗告を許可しない決定が下されていた。
今回の判決について永野商店では、「これで司法判断において全面的に当サービスの主張が認められた4度目の勝訴になる。当サービスが純粋にハウジングサービスであるという主張が認められた判決」とコメントしている。
関連情報
■URL
まねきTV
http://www.manekitv.com/
今回の判決に対するまねきTVの見解
http://www.manekitv.com/maneki/index.html
■関連記事
・ 東京地裁、番組転送サービスの中止求めるテレビ局側の申請を却下(2006/08/07)
・ 知財高裁、「まねきTV」のサービス停止を求めたテレビ局の抗告を棄却(2006/12/22)
( 増田 覚 )
2008/06/23 15:04
- ページの先頭へ-
|