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代表取締役社長の加賀山進氏
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シマンテックは7月9日、同社2009年度の戦略説明会を開催。4月に代表取締役社長に就任した加賀山進氏が出席し、事業方針を説明した。
加賀山氏は、1952年生まれ。東京工業大学卒業後、日本IBMに入社。27年間在籍したのち、日本ピープルソフト、NTTデータジェトロニクスの社長を歴任。4月に同社代表取締役社長に就任した。
加賀山氏は同社の現状について、「2008年度のワールドワイドの売上高は約60億ドルと、ソフトウェアベンダーでは世界4位の規模にまで成長している。そのうち7割は法人向けビジネスが占めている」と説明。「しかし、国内ではセキュリティ製品などコンシューマビジネスのイメージがいまだに強いのが現状。法人向けビジネスも売上全体の5割程度であり、ワールドワイドとの差が大きい」と、法人向けビジネスの強化が必要であると説明する。また、成長率についても、ワールドワイドが14~15%と成長を加速しているのに対して、国内は数パーセント程度にとどまっていると指摘。「日本法人をグローバルの成長曲線にまで戻すのが最大の課題」(加賀山氏)とした。
国内での法人向けビジネスが弱い理由として、加賀山氏は、「これまで新製品を発表しても、シマンテック自らが責任を持って販売してこなかった」と説明する。「パートナー選びも販売・導入・サポートのすべてができるパートナーのみを選択してきた」と、販売モデルの変革が必要であると述べた。
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2009年度のビジネス戦略
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加賀山氏はこうした過去の販売戦略を大きく改めるべく、2009年度を「基礎固めの1年」にすると宣言。サービス・品質の向上、ビジネスのしやすさの向上、シマンテックの認知度の確立、の3つを柱に顧客満足度のさらなる向上を目指すとした。
サービス・品質の向上では、日本向けのホットパッチの提供など、国内での迅速な対応を強化すると説明。「2005年に設立したJapan Engineering Centerを拡充することで、ホットパッチの迅速な提供を行いたい。現在、NetBackupのみで提供しているが、今後他の製品でも提供できるようにする予定」(加賀山氏)。また、パートナーに対する技術情報の提供が不十分であったとの反省から、技術情報の提供や技術情報交換用のWebフォーラムの開設なども行う。また、今月末の予定でバーチャリゼーションラボを本社内に設立することも発表した。
ビジネスのしやすさの向上については、各種プロセスを改善することで、顧客およびパートナーにとってビジネスしやすい環境を提供する。
認知度の確立に関しては、「シマンテックというとコンシューマのイメージが強い。シマンテックがどんな会社であるかをもっと知っていただけるよう活動する」(加賀山氏)と述べ、エンタープライズでの認知度向上を目指すとした。具体的な方策として、「単体での製品販売モデルから、複数製品を組み合わせたソリューション販売を主軸にする。これを実現するためにも、新しい販売モデルを導入し、パートナーとの補完関係を構築していく」とした。
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新しい販売モデル。リスクの高いイノベータとアーリーアダプタに対してシマンテックが積極的に販売を行うとしている
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今回発表された新しい販売モデルは、新製品・新ソリューション投入時にパートナーが販売するのではなく、同社自らが販売を手がけるというもの。「当たり前とおもわれるだろうが、これまではまったくできていなかった。今後は立ち上げフェーズではシマンテックが担当し、市場が拡大してきたときにボリュームをパートナーにまかせるという販売モデルにしていく」とした。「とはいえ、日本市場はクオリティに厳しい市場。サポート体制ができていない製品を投入しても受け入れられないので、サポート体制の確立、導入支援環境の整備を済ませてから販売をしていく考えだ。これを実現するには現状の人員では足りないので、増員していく予定」とした。
加賀山氏は、「セキュリティやバックアップといったコアビジネスでは、シマンテックはシェア1位という実績がある。問題は成長ビジネス分野。この分野を伸ばすためにも、シマンテックがアーリーアダプタに積極的に販売していく」と、法人ビジネスを中心に新製品・新ソリューションの市場定着を目指す考えであることを示した。
関連情報
■URL
シマンテック
http://www.symantec.com/jp/
( 福浦一広 )
2008/07/09 20:08
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