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米国のネット薬局、85%が要処方箋薬を「処方箋なし」で販売


 米コロンビア大学の全米薬物常習濫用センター(CASA)がこのほど発表したネット薬局に関する調査の結果によると、2008年上半期において、向精神薬などの処方箋が必要な医薬品に関する広告を出しているネット薬局が365件存在していることが明らかになった。2007年の581件から大幅に減っているものの、連邦薬事委員会連合(NABP)の認証ネット薬局実施サイトとして承認されているのはわずか2件と、前年と変わらなかった。

 CASAの報告によれば、地元の薬局で記入できる処方箋を販売するサイトも出現。また、オンラインで「医療相談」を行うサイトも出現しており、適切な処方箋なしでの販売につながっているという。このような処方箋なしでの販売は、習慣性のある医薬品を簡単に入手する抜け道となっており、問題化している。当局が対策に乗り出し、2008年上半期ではサイトが激減することにつながっているという。ただし、新形態のサイトが出現しており、今後はこれらの動向も注意することが必要になってきた。

 処方箋を要求するサイトでも、違法とされるファクスでの処方箋送付を認めているサイトがほぼ半数存在しており、問題があるとしている。違法薬物としてはベンゾジアゼピン系の向精神薬がトップを占め、90%以上のサイトで販売されていた。これに続きアヘン系の麻薬系鎮痛薬が続き57%となっており、次いで覚醒剤の27%となった。

 処方箋のうち、ネット薬局が関与したものが80%を占めており、米国における処方薬販売においてネット薬局の果たす役割が増大していることが明らかになった。このような動きの中、ネット薬局消費者保護法案が提出されており、2008年4月に上院を通過している。下院では現在、司法委員会の犯罪テロ国土安全保障小委員会において6月にヒアリングが行われたところで、下院通過も間もなくであろうとの観測が高まっている。また、産業界では、クレジットカード会社が違法な医薬品販売においての使用拒否をしており、効果を上げつつあるとされている。

 CASAでは今後、米国外の政府当局との協力で一層の不法な医薬品取り引きを取り締まっていくべきとしている。


関連情報

URL
  ニュースリリース(英文)
  http://www.casacolumbia.org/absolutenm/templates/PressReleases.aspx?articleid=531&zoneid=66

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( Gana Hiyoshi )
2008/07/22 14:19

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