Mozillaのエンジニアは、次期Webブラウザ「Firefox 3.1」に搭載予定のJavaScriptエンジンについて、従来よりも最高で数十倍の高速化を実現できる可能性があることを明らかにした。
21日に、Firefox 3.1のデベロップメントツリーに新たなJavaScriptエンジンが組み込まれ、それに合わせて22日、MozillaのCTOやエンジニアリング担当バイスプレジデントらが、ブログで現時点でのベンチマークを公開した。
新しいJavaScriptエンジンは「TraceMonkey」と呼ばれるプロジェクトの成果によるものだ。JavaScriptのパフォーマンス向上のため、カリフォルニア大学アーバイン校で開発された「trace tree」と呼ばれる技術を使用しているという。
Mozillaでは、FirefoxのJavaScriptエンジンの改良を進めており、現時点で既に20%程度の高速化を実現しているという。しかし、TraceMonkeyではさらに高速化が図れ、現時点で公開されたベンチマークの結果によれば、1.83倍から最高で22.5倍の高速化が見られている。
現在のデベロップメントツリーでは、TraceMonkeyはデフォルトではオフになっているが、「about:config」から設定を変えることで利用が可能となっており、Mozillaでは開発者たちからのバグ報告などを募っている。
Mozillaのエンジニアリング担当バイスプレジデントMike Shaver氏は自身のブログで、「現在初期段階にあるTraceMonkeyプロジェクトの目標は、JavaScriptのパフォーマンスを次のレベルに持っていくことだ。そこでは、他のインタープリタと競争する代わりに、初めてネイティブコードと競争することになる」とコメントしている。
ただし、このプロジェクトはまだ初期段階でしかなく、Firefox 3.1で実際にどの程度の高速化が実現できるのかは確定したわけではない点に注意が必要だ。
関連情報
■URL
Mike Shaver氏の公式ブログの該当エントリー(英文)
http://shaver.off.net/diary/2008/08/22/the-birth-of-a-faster-monkey/
Mozilla CTO、Brendan Eich氏の公式ブログの該当エントリー(英文)
http://weblogs.mozillazine.org/roadmap/archives/2008/08/tracemonkey_javascript_lightsp.html
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/08/25 12:38
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