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IPv4アドレスの枯渇、「むしろ武者震い」と村井純教授


 インターネット/通信関連13団体と総務省による「IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース」の発足式で5日、村井純氏(慶應義塾常任理事/慶應義塾大学環境情報学部教授)と、総務省総合通信基盤局長の桜井俊氏があいさつした。


村井純氏(左)と、総務省総合通信基盤局長の桜井俊氏(右) タスクフォースの参加団体には、活動趣旨を記した盾が配られた

IPv6への移行は、いよいよ日本の腕の見せ所

IPv6普及・高度化推進協議会の会長を務める村井純氏(慶應義塾常任理事/慶應義塾大学環境情報学部教授)

総務省総合通信基盤局長の桜井俊氏
 村井氏は、タスクフォースの結成を呼び掛けたIPv6普及・高度化推進協議会の会長を務めている。「IPv4アドレスの枯渇対策にこれだけの関係団体が集結したということで、いよいよ怖い時がやって来るのかとお考えになるかもしれないが、我々は、基本的には計画された(IPv6への)移行だと思っている」とコメントし、その意味で重要なことが3点あるとした。

 まず、1点目として、インターネットが社会基盤となっている現在では「IPv4を残しながらマジョリティをIPv6に移行していくことが、すべての人、すべてのモノ、すべての社会基盤にかかわってくる。いろいろなステークホルダーの方に広く理解していただきながら、進める体制が必要」とした。

 2点目は、「インターネットはグローバルなスペースであり、日本がうまく対応することの大きな貢献を世界は待っている」という。「その役割を果たししていくのと同時に、目を世界に向けながら日本の問題を考えることが、これからの日本には大事。力を合わせる意義はそこにある」とした。

 3点目としては、1990年代後半にIPv6の開発が行われた際に、日本がその研究、開発、準備面で期待されて進めていたことを振り返り、「いよいよ本当にその腕の見せ所が来た」と強調する。村井氏は「高度化された携帯電話やサービスを使いこなす利用者がいる日本のマーケットは素質がいい。この中で新しい情報基盤とは何であるかということを見せられる。世界に対して大きな貢献ができるのではないか」と述べた。

 村井氏はまた、「枯渇」という表現についても触れ、「言葉使いとしては怖かったり心配なこともあるが、むしろ武者震いというか、大きな役割を果たしていこうとして集まっている」との意気込みを示した。


総務省、IPv6移行のテストベッドを全国3カ所に設置へ

テストベッドの概要
 桜井氏は、「インターネットは紛れもなく国民生活や企業活動に必要不可欠なインフラになっている。地域の活性化など日本が抱える問題にも貢献してきている」として、「IPv4アドレスの枯渇問題に適切に対応することが、インターネットが継続的に発展することに不可欠」とした。

 また、「IPv6に移行することによって、インターネットをよりセキュアなネットワークに、あるいは人と人、人とモノ、モノとモノがつながるユビキタスなネットワークに発展できる」とした。

 総務省では2007年8月より「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」を開催し、アクションプランをまとめている。桜井氏は、「その柱は、多くのプレーヤーが移行に向けてそれぞれの役割を果たしていくこと」だとし、「タスクフォースは、その関係者の連携の核になるものと思ってる」と述べた。

 なお、総務省では、IPv6運用技術習得のためのテストベッドを整備する計画だ。実ネットワークと同等の環境を持つ「IPv6運用訓練センター」を全国3カ所に設置し、インターネットをIPv6で構築・運用できるエンジニアを育成する。設置場所は今後調整するが、すでに2009年度予算で要求しているという。


関連情報

URL
  IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース
  http://www.v6pc.jp/v4exh/index.phtml

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( 永沢 茂 )
2008/09/05 19:01

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