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EU、携帯データ通信/メールのローミング料金大幅値下げへ


 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は23日、携帯端末でのデータ通信およびメール通信のローミング料金を2009年7月1日から60%値下げする案を欧州議会に提出したと発表した。

 ローミング料金は現在、SMSが1通あたり平均して0.29ユーロかかっているところ、来年の値下げ後は0.11ユーロになる予定だという。同様の値下げを、携帯端末でのWeb閲覧などに用いられるデータ通信の料金に適用する案も同時に提出されている。

 EUでは、域内での通信環境を整備するため、また、統一市場の形成と育成のため、ローミング料金については以前から引き下げの圧力を強めている。事実、2007年夏には通話料金のローミング料金を平均して60%引き下げている。

 EUは、GSMを事実上の標準にした実績がある市場を有しており、携帯電話の通話市場ではその優位性を現在でも保っているといえる。しかし、携帯電話からのデータ通信やメールの分野については、日米やアジア諸国での普及もあって優位性は崩れている。その要因の1つとしては、ローミング料金の高さから域内での国境を越えた携帯端末でのデータ通信/メールの普及が進んでいないことが背景にあるようだ。この状況を打破し、真の単一通信市場を実現するためには、この分野での環境整備が必要であると欧州委員会は判断した。

 ローミング料金の設定の問題については、例えば料金設定が秒単位ではなく分単位となっている結果、平均して24%もの料金が過剰に請求されていると消費者担当委員のKuneva氏は指摘する。そのため、秒単位でのローミング料金の課金システムの導入も今回の柱の1つにしたという。また、ローミングサービスが適用される地域に入国した場合は、そのメッセージが自動受信されるよう義務付ける予定であるとしている。

 2007年の統計によれば、EUではSMSが25億通送信されており、これは8億ユーロの市場に相当するという。しかし、最もSMSを使用する年代である15~24歳の層でも、ローミング料金の高さから38%しか国外からSMSを送信しないという。

 欧州委員会では、通話料金同様の成果がデータ通信やメール市場でも現れ、今後の市場が活性化することを期待している。


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URL
  ニュースリリース(英文)
  http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/08/1386&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en

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( Gana Hiyoshi )
2008/09/24 16:08

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