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コンテンツ分野を総合的に取り扱う学会「コンテンツ学会」設立


「コンテンツ学会」設立呼びかけ人の1人で、初代会長に選任された一橋大学名誉教授の堀部政男氏

副会長には、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉氏(写真)ほか3名が選任
 コンテンツにかかわる学術的研究や人材育成、産官学の連携の推進を目的とした任意団体「コンテンツ学会」の設立総会が11日、東京・秋葉原で開催された。「産業」「政策」「技術」「表現」の4領域を中核とし、学際的志向性の強い学会を想定しているという。ただし、大学の世界だけに閉じないオープンな場だとしており、コンテンツ分野の実務家やクリエイター、政策担当者らの入会も歓迎するとしている。

 学会の設立趣旨によると、近年では社会科学、人文科学、工学などの各学術領域においてコンテンツに関連する研究の蓄積と公開が行われ始めている。しかし、現状ではコンテンツ分野を専門的に取り扱う中心的基盤が存在しないため、分散的な状況にあり、人材の交流や育成、成果の実社会への還元などの観点で十分な水準に達していないという。

 「今後、社会・経済全体の中でコンテンツの持つ重要性がさらに増大していくとすれば、コンテンツ分野を支える知的・人的基盤を継続的に強化していくことは不可欠」だとし、コンテンツ分野を総合的に取り扱う新しい学会を設立することにした。コンテンツ関連の学術的研究の推進、人材育成のほか、表現の創出、技術の開発、ビジネスモデルの設計、政策の立案などを通じて創造社会の実現に貢献していく考えだ。

 設立総会ではまず、設立呼びかけ人を代表して、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉氏があいさつした。中村氏は「コンテンツという言葉は1990年代の半ばごろから、経済産業的にも、文化的にも、社会的にも、技術的にも注目を集めてきたが、これを学術として考えると、文科系・理科系の総合的・融合的な領域であり、アプローチが非常に難しい面もある。学会だけではなく、産業界や官界、アーティストや教育関係者らの広いコミュニティを作って進めていかなければならない」と述べ、広く協力を呼びかけた。

 続いて、同じく設立呼びかけ人の1人でもある、一橋大学名誉教授の堀部政男氏がコンテンツ学会の初代会長に選任された。あわせて、中村氏はじめ、デジタルハリウッド大学学長の杉山知之氏、東京大学先端科学技術研究センター教授の玉井克哉氏、スクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏の4人が副会長に、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構准教授の金正勲氏が事務局長に選任された。

 理事には、久保田裕氏(コンピュータソフトウェア著作権協会専務理事)、國領二郎氏(慶應義塾大学総合政策学部教授/SFC研究所所長)、椎名和夫氏(日本芸能実演家団体協議会運営委員)、菅原瑞夫氏(日本音楽著作権協会常務理事)、津田大介氏(ジャーナリスト)、浜野保樹氏(東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)、古川享氏(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)、村井純氏(慶應義塾大学常任理事)、安田浩氏(東京電機大学未来科学部教授/東京大学名誉教授)はじめ、コンテンツや著作権のほか、インターネット分野での著名人も数多く名を連ねる。


 学会の活動内容としてはまず、コンテンツ分野の識者を講師とした「設立記念講演シリーズ」を10月から毎週1回ずつ計48本、東京都内の大学などで開催する。講演タイトルとしては「IPTVの目指す新しいサービスとは」「デジタル・ネットワークとコンテンツ規制」「ジャパニーズ・クールの現在(村上隆の活躍とその影響)」「ネットビジネスとフェアユース」など、テーマも多岐にわたる。

 今後は、著作権法制度やコンテンツビジネス、表現活動など幅広いテーマの分科会を設置するほか、学会誌の発行も予定。また、2009年5月ごろに第1年次研究大会の開催を予定する。


関連情報

URL
  コンテンツ学会
  http://contents-gakkai.org/

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( 永沢 茂 )
2008/10/11 19:04

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