欧州特許庁(EPO)長官はこのほど、欧州特許条約におけるコンピュータプログラムの特許性に関する取り扱いを統一するために、同条約における最高決定機関である拡大審判部の審判に付すると発表した。特許性の取り扱いが現在、不統一であることに鑑みたものだ。
今回の審判対象は、コンピュータプログラムそのものの特許を禁止する欧州特許条約(EPC)52条2項、同条第3項自体の適用に関するもの。すなわち、コンピュータプログラム自体が特許対象から除外されていることについてではなく、除外規定についての詳細な条件設定に関するものであるという。
請求項(クレーム)が全体としてコンピュータプログラム自体に該当して除外規定に該当するかどうかという問題もあるものの、個々のコンピュータに関連する特徴がいかに請求項の技術的特徴に寄与し、いかに関連付けられるかに関するものであり、かなり詳細なものになるとしている。特許性に関する限界が明確になるとともに、審査官が審査する指針ともなる。特許審査業務もスムーズになることが期待され、出願人側にも出願する対象が明確になるなど、メリットがあると指摘されている。
審判対象は、4つの分野になる。まず第1に、請求項のカテゴリーに関するもの。第2に、特許が不可能なものと可能なものの境界線に関するものであり、特に請求項全体としていかに解釈されるかというものだという。第3は請求項の個々の特徴に関するものであり、第4は審査において基準となる当業者の定義に関するものであるとしている。
拡大審判部は、個々の事件を審理するのではなく、法律・運用の問題を審理する部門であり、今回のような審査・審理において不統一となっている運用を統一するためにも審判に付される。
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■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.epo.org/topics/news/2008/20081024.html
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( Gana Hiyoshi )
2008/11/04 14:44
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