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実用化時の利用イメージ
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情報通信研究機構(NICT)、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、富士通、沖電気工業は4日、60GHz帯を用いた伝送速度が3Gbpsの超高速無線LANシステムを開発したと発表した。
NICTなどによると、現在のIEEE 802.11a/b/g/nの無線LANで使われている2.4GHz帯や5GHz帯では利用できる周波数帯域幅は限られており(2.4GHz帯で83.5MHz、5GHz帯で455MHz)、高速化には限界があるという。
これに対して今回のシステムに用いたミリ波の60GHz帯には、日本では無線局免許不要の7GHz(59GHz~66GHz)という広い帯域が割り当てられているため、Gbpsクラスの無線通信の実用化が期待されているという。ただしミリ波は、現行の2.4GHz帯や5GHz帯に比べて波長が短いため、回折が小さく直進性が強い、距離による減衰が大きいなどの性質もある。
今回開発したシステムは、NICTの委託研究「超高速ギガビット無線LANの研究開発」の支援を受けてATR、富士通、沖電気工業が要素技術を組み合わせて構築した。室内環境において1対多の通信を行える。
60GHz帯でのOFDM(直交周波数分割多重方式)技術を富士通が担当、アンテナのセクタ切り替え管理と時間管理を統合した「時空間メディアアクセス制御(MAC)技術」を沖電気が担当した。ATRは、MACからの指令によりビーム方向を切り替える「セクタ切り替え型アンテナ技術」と、電波のゆらぎを利用した鍵生成・共有技術を担当している。セクタ切り替え型アンテナは、空間を複数のセクタに分けて複数のアンテナを切り替えるもので、アンテナビームを絞れるために高利得なアンテナが可能だという。
今後、2008年度末まで各種実証試験を行い、性能を評価していく。ミリ波を用いた3Gbpsの無線LANの実証試験は国内初だとしている。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www2.nict.go.jp/pub/whatsnew/press/h20/081104/081104.html
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( 永沢 茂 )
2008/11/04 18:14
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