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楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長
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楽天は7日、2008年第3四半期決算の説明会の中で、医薬品のネット販売規制の問題をあらためて説明し、反対していく姿勢を示した。同社の三木谷浩史代表取締役会長兼社長は「全くロジカルでない規制を厚生労働省がやろうとしている」と述べ、ユーザーの不満の声などを伝えながら、この規制を阻止していきたいとした。
この規制は、改正薬事法を受けた省令により、一般医薬品のうち第1類と第2類のネット販売が全面禁止されるというもの。2009年6月1日の施行予定となっている。楽天では8月、ヤフーや医薬品のネット販売に携わる事業者100社と連名で、規制反対の意見書を厚生労働大臣宛に出している。また、10月には省令改正案についても厚労省にパブリックコメントを提出している。
規制対象となる第1類には、「ガスター10」などのH2ブロッカー含有薬、「リアップ」などの発毛薬、「ウィンダム」などの水虫薬などが該当し、一般医薬品における市場規模は4%だという。一方、第2類には、「ルル」などの風邪薬、「コーラック」などの主な便秘薬、「ボラギノールA」などの痔薬をはじめ多数の種類が該当し、市場規模比率は63%(いずれも富士経済の調査による2007年の構成比)。
楽天によれば、「楽天市場」で一般医薬品を扱っている出店者は地方を中心とした薬局がほとんどで、ほぼすべての種類の一般医薬品をネットで販売しているという。前述の数値から、ネット売上額のうち第1類・第2類合計で67%が減少することになると説明し、ネットが重要な販路となっている中小の薬局にとって、甚大な影響を及ぼすと訴えている。
また、楽天では、ネットで医薬品を購入した経験のある人を約852万人と推計。病気で外出が困難な人や妊婦、地理的に近隣に薬局がない人、多忙で薬局の営業時間中に購入できない人、人目が気になる商品を買う場合といった利用者のニーズも無視しているとし、消費者のネット購入という重大な権利を制限するものだと指摘する。
このほか、10月7日に開かれた政府の規制改革会議と厚労省の公開討論では、ネット販売に起因する健康被害の実例は1件も把握していないと厚労省が回答したこと、また、省令でネット販売を禁止する法律上の根拠がない点も指摘している。
三木谷社長はまた、処方せんを必要とする薬品ではなく一般医薬品であることから、「薬剤師が丁寧に説明して販売していく分には、対面販売よりもネット販売のほうがむしろ向いている」とも述べ、「あらゆることに関して、厚労省にもしっかりと現状を認識していただけるように、いろいろな意味で努力していきたい」とした。
関連情報
■URL
楽天市場
http://www.rakuten.co.jp/
富士経済による調査結果(PDF)
http://www.group.fuji-keizai.co.jp/press/pdf/080725_08056.pdf
■関連記事
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( 永沢 茂 )
2008/11/10 15:29
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