NECと千葉大学は14日、無線LANで映像や音質の品質を向上するQoS技術として、ダイナミック・パケット通信制御方式を開発したと発表した。同技術は11月13日に福岡で開催された電子情報通信学会情報ネットワーク研究会で発表されている。
この技術は、無線LANでデータを受信したアクセスポイントや端末が送信元に対して送る受信確認パケット(ACKパケット)を利用したもの。アクセスポイントは端末からデータパケットを受信した際、決められた優先度に応じた確率でデータパケットを廃棄して受信を拒否し、受信拒否された場合はACKパケットが送信されないために端末側は送信失敗と判断してデータを再送する。無線LANの基本プロトコルでは一定時間経たなければデータを再送できず、再送を繰り返すほど待ち時間が多くなるという。
NECと千葉大学ではこの仕組みを利用し、データ伝送を優先しない端末に対して高い確率で受信拒否を行うことでパケット衝突頻度を抑え、優先したいデータの音質や画質を向上できるとしている。
QoS技術としてはIEEEによってIEEE 802.11eが標準化されているが、NECと千葉大学は、IEEE 802.11eでは通信の優先度差異が音声、映像、文字データ、さまざまなファイルの4つしか定義されておらず、同じ優先度の場合は同じ品質になる、機器もIEEE 802.11e対応に買い換える必要があると指摘。今回の技術はアクセスポイントの機能変更のみで対応でき、優先度の数も任意に設定が可能なほか、端末やスループットに応じて優先度を動的に変更できるとしている。
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■URL
ニュースリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0811/1402.html
( 甲斐祐樹 )
2008/11/14 19:44
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