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Kaspersky Labsの創設者でCEOを務めるEugene Kaspersky氏
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 ロシアのモスクワで4日、Kaspersky Labの創設者でCEOを務めるEugene Kaspersky氏がサイバー犯罪事情について講演した。Kaspersky氏は、サイバー犯罪者とセキュリティ業界の戦いが、他国の軍備よりも優位に立とうとする「軍拡競争」の局面にあると指摘。利益の3割を研究開発費に割いているというKaspersky Labsでは、技術革新でサイバー犯罪に対抗する姿勢をアピールした。
 
  サイバー犯罪の特徴についてKaspersky氏は、セキュリティが甘い開発途上国のサーバー経由でインターネットに接続するなどして身元を割れにくくすることで、大半のケースで逮捕を逃れていると説明。「ローリスク」なだけでなく、サイバー犯罪目的のソフトウェアを活用したり、物理的な接触をせずに被害者にアプローチできる容易さもあり、採算の良い“ビジネス”になっているという。
 
  こうした採算の良さからサイバー犯罪者は組織化され、マルウェアを開発したり配布する分業化が進んでいるほか、組織間で個人情報を売買するなどの「エコシステム」が構築されていると指摘。また、攻撃手法についても洗練され、セキュリティソフトに検知されないようにするために、マルウェアを圧縮・暗号化したりルートキットの活用のほか、ブートセクターへの感染が試みられているとしている。
 
  サイバー犯罪が洗練される一方で、セキュリティソフトでは従来の検知方法に代わる新たなアプローチを提供するとともに、システムリソースへの負担を減らすことが重要だととKaspersky氏は語る。具体的な対策方法としては、ブラックリストとホワイトリストを併用してアプリケーションをフィルタリングしたり、ユーザーから検体をリアルタイムに集めてウイルス定義ファイルへと反映させることなど、同社のセキュリティソフトが搭載する技術が有効だと説明した。
 
  「サイバー犯罪組織とセキュリティ業界の争いは『軍拡競争』の局面を迎えている。こうした状況ではマーケティングよりも技術開発に注力すべきだが、セキュリティ業界の大手企業は困惑している。これに対してKasperskyは、競合他社が『セキュリティソフトは日用品』と(マーケティングを重視)する数年前から『軍拡競争』を認識し、研究所への投資を怠らなかった。現在では利益の3割を研究開発に注いでいる。この事実こそが我々を成功に導くだろう。」
 
  Kaspersky氏はこのほか、Macを狙う脅威についても言及。Macのセキュリティをめぐっては、かつてAppleがWindowsとの比較広告の中で、「Windowsユーザーはウイルスに悩まされるが、Macは心配しないで済む」といった主張をしていたが、Kasperskyは「Macユーザーは安全だと信じているかもしれないが、Macを狙う脅威は実際に出回っている」として、ウイルス対策の必要性を訴えた。
 
 
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サイバー犯罪者とセキュリティ業界は「軍拡競争」の局面に入っているという
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マーケティングよりも技術を重視すべきという「軍拡競争」に、Symantec、McAfee、Trend Microは困惑しているという
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  関連情報
 
 
■URL 
  Kaspersky Labs 
  http://www.kaspersky.com/
 
 
■関連記事 
・ マルウェアは「エコシステム」でビジネス化進む、Kasperskyが分析(2008/04/30) 
 
 
( 増田 覚 )
 
2008/12/05 11:42
 
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