|
豊富なグラフ機能や、約100種類の関数を収録。計算結果や途中式、グラフなどはMS Wordに貼り付けることができるため、レポート作成やテスト問題作成にも利用できる
|
マイクロソフトは19日、数学学習を支援するソフト「Microsoft Math 3.0日本語版」を発表。19日から4700円でダウンロード販売を開始した。また、マイクロソフトダウンロードセンターで30日間試用版と、Microsoft Wordとの連携を可能にするアドインも同時公開した。
「Microsoft Math 3.0日本語版」はグラフ機能や関数機能、解法の説明機能などにより、数学学習を支援するソフト。日本では今回初めて販売開始するが、すでに米国をはじめ世界50カ国以上で販売されている。
「Microsoft Math 3.0日本語版」は、入力はキーボード入力のほか、「√」や「∫」などの記号も入力できる電卓パッドを装備、手書きペン入力にも対応する。数式をボタンひとつでグラフ化でき、空間グラフなど豊富なグラフ機能を持つ。また、解法はステップごとにていねいに説明が付いて理解を助ける。約100種類の関数を収録、基礎的な算数から微積分などの高度な数学まで幅広く対応するという。連立方程式では6連まで対応可能だ。
なお、「Microsoft Math 3.0日本語版」はダウンロード販売のみで、パッケージ販売は行わない。ボリュームライセンスとしてアカデミック版もオープン価格で用意、こちらは「ライセンス数にもよるが、(1000円までいかない)100円単位の価格での購入も可能」という。
● 「理数教育をテクノロジーの面から支援したい」MS石坂氏
|
マイクロソフトディベロップメント株式会社 エデュケーション製品グループ シニアマネージャーの石坂芳実氏
|
マイクロソフトディベロップメント株式会社 エデュケーション製品グループ シニアマネージャーの石坂芳実氏は、開発の背景について、「学力低下、理科離れが言われ始めて久しい。これは日本だけの問題ではなくて、ある程度先進国に共通した問題なのだが、「PISA数学リテラシー」という調査では、OECD加盟国の中でも、日本は順位を下げている」と調査データを挙げて日本の理数系離れを説明。
「PISA数学リテラシー」の2003年調査では、とくに数学的な部分を重視して実施したが、「数学の授業が楽しみ」「数学で学ぶ内容に興味がある」「数学が得意だ」といった回答が日本はOECD各国に比べて低くなっているという。
石坂氏は、「Microsoft Math 3.0日本語版」の発売について、「式がすぐにグラフになるだけでも、数学との距離が近くなる」として、グラフ機能やステップバイステップで解法を説明する機能を、数学学習に役立てて欲しいと述べた。
「我々は教育の専門家ではないが、教育をテクノロジーの面から支援していきたい。このため、買いやすい価格を設定した。家庭や学校、あるいは研究所のような用途もあるかもしれない。さまざまな方に使っていただけることを期待している。」
|
|
2000年はOECD加盟国で1位だった日本の数学力は、2003年4位、2006年6位とずるずる後退している。このPISA調査はおもに応用力を見る調査だという
|
フル機能の関数電卓と同等の約100の関数計算が可能。キーボード入力、電卓パッド、手書きペン入力にも対応する
|
|
|
無償提供される「Math Word Add-in」を導入することで、Word 2007で数式や図が利用できる
|
ステップバイステップで、ひとつずつ説明がついて、数式を解く過程の理解を助ける
|
|
|
平面グラフ・空間グラフの表示が可能。多彩なグラフを瞬時に表示。数値を変えることでグラフがどう変化するかも簡単に見ることができ、理解を助ける
|
数学学習などでよく使う単位を変換する「単位変換機能」を搭載。また、よく使う公式・方程式のライブラリも収録する
|
● 「数学に親しむ裾野の拡大を」横浜国大 根上教授
|
日本語版を監修した横浜国立大学 教育人間科学部 根上生也教授
|
発表会には、日本語版を監修した横浜国立大学 教育人間科学部 根上生也教授も出席。根上教授は、技術・科学計算ソフトで定評のある「Mathematica」の日本語化を監修したほか、最近公開された東野圭吾原作の映画「容疑者Xの献身」の数学的な部分に関する監修も手がけている。
根上教授は、「Mathematicaも素晴らしいソフトだが、使いこなすには数学の知識が必要で、もともと数学を専攻している、あるいは数学が好きな人でないと使いこなせない。しかし、理系でない生徒も“数学もいいな”と思えるような世の中にしていかなくてはならない。そうでなければ裾野が広がらない」と、理数系離れを食い止めるには理数系の勉強に親しむ裾野を広げる必要があることを強調した。
また、根上教授は理数系離れの原因のひとつとして、現状の学校教育の問題を指摘。「現在の高校数学では、およそ8割がたの学校で受験指導の勉強をしている。しかし、実際に大学を受験するのは4割弱。4割くらいの生徒が不必要な受験勉強をさせられていることになる。これは、そもそも教える教師が受験勉強以外の勉強の仕方を知らないことから来ている」。
「数学ができない人は、ルートの中の数字の計算はどうやればいいかもわからない。数学ができない人にテキストのここからここまでやってこいと言われてもできない。先生がついてひとつずつ説明してくれればできるが、先生がいないときには数学の問題が解けない。これは、『Microsoft Math 3.0日本語版』ステップバイステップの解法を順を追って読むだけでも、かなり違ってくる。」(根上教授)
根上教授は、「単にこのソフトの日本語化の監修をしたというだけではなく、教育界のパラダイムを変えていこうと考えている」と述べ、今後教育の現場で活用していく考えだ。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3654
Word 2007用Microsoft Math アドイン 無償ダウンロードページ
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?familyid=030FAE9C-704F-48CA-971D-56241AEFC764&displaylang=ja
( 工藤ひろえ )
2009/03/19 16:11
- ページの先頭へ-
|