ジャストシステムとキーエンスは3日、資本・業務提携契約を締結したと発表した。ジャストシステムが第三者割当増資を実施。新たに発行する普通株式2823万4300株を、キーエンスが1株につき160円で引き受ける。発行価額は総額45億1748万8000円。これによりキーエンスはジャストシステムの43.96%を保有することになり、ジャストシステムはキーエンスの持分法適用関連会社となる。
ジャストシステムでは、調達した約45億円のうち、20億円を運転資金として、15億円を営業・マーケティングの強化に、10億円を債務の返済に充てる。
ジャストシステムによると、2004年に発表したXMLドキュメントの作成・編集技術「xfy」を欧米市場で事業展開すべく、この数年間大きな経営資源を投入して営業網を整備してきたが、当初見込んでいた市場の立ち上がりが見られず、撤退を余儀なくされた。その結果、2006年3月期から3期連続で営業損失を計上。2008年3月期末には、それまでの事業拡張を維持するだけの資金残高の十分な確保が困難になったとしている。
そのような状況を受け、システム製品を国内に絞って展開するとともに、コスト削減などによる財務体質の改善などを図った結果、2009年3月期の第3四半期までの売上高は当初の事業計画をほぼ達成できる水準で推移したが、世界的な不況により第4四半期の業績が低迷。3日には、2009年3月期の連結業績予想について、売上高を前回予想の149億3000万円から142億6000万円に、営業利益を9100万円の黒字から11億3500万円の赤字に、当期純利益を7億円の赤字から19億円の赤字に、それぞれ下方修正する発表を行っている。ジャストシステムでは、昨今の経済状況から収益が直ちに改善することは困難であるとともに、銀行からの借り入れなどによる資金調達も難しいとの判断から、第三者割当増資を決定した。
キーエンスからはジャストシステムに対して打診があり、協業の可能性を協議してきたのだという。充実した経営基盤と強い製品企画力、販売力を持つキーエンスと資本・業務提携することで、ジャストシステムでは抜本的な事業構造の見直しなどを進め、早期の業績回復を目指すとしている。キーエンスからは取締役3名、監査役1名を派遣。キーエンスのビジネスモデルやビジネスノウハウの導入を図るほか、キーエンスが持つ市場情報をベースに、ジャストシステムのソフトウェア技術を付加した新商品の開発・販売を行う。
払込期日は4月20日の予定。現在23.96%を保有して筆頭株主であるジャストシステムの浮川和宣代表取締役社長の出資比率は増資後13.43%に、現在20.26%の浮川初子代表取締役専務は11.35%へとそれぞれ低下。キーエンスが43.96%で筆頭株主となる。
関連情報
■URL
ジャストシステムのニュースリリース(PDF)
http://www.justsystems.com/jp/just/finance/j0904031.pdf
キーエンスのニュースリリース(PDF)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120090403044300.pdf
( 永沢 茂 )
2009/04/03 18:23
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