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NICTと東大、翻訳支援・共有サイト「みんなの翻訳」公開


みんなの翻訳
 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)と東京大学は、翻訳者支援サイト「みんなの翻訳」を8日に一般公開する。オンライン翻訳エディタなどを備えており、無料で利用できる。

 「みんなの翻訳」は、日英・英日の翻訳を行う翻訳者向けに便利な機能を提供するサイト。ブラウザ上でサイトの翻訳作業が行えるツール「QRedit」や、翻訳文の公開・検索、Q&A投稿コーナーなどを用意する。開発はNICTと東京大学が行い、三省堂が辞書を提供している。

 「QRedit」は、翻訳したいサイトのURLを入力し、原言語・翻訳言語を指定して起動する。画面の左に原文、右に翻訳文を記入するテキストエディタを表示。原文では、用語や熟語を強調表示するほか、中間語や複合語はマウスオーバーで反転表示する。アンダーラインのある語句をクリックすると辞書をミニウィンドウで参照できる。


ユーザーのログイン後のページ QRedit、辞書の語句をクリックするとテキストエディタに入力される

 辞書では、三省堂の「グランドコンサイス英和辞典」、フリーの和英辞書「EDICT」、およびWikipediaの情報を閲覧できる。ミニウィンドウの「L」を選択し、調べたい語句をクリックすると別ウィンドウで詳しい内容を閲覧できる。また、「S」を選択すればGoogleのWeb検索、「R」を選択すれば用語をマイページに登録できる。原文・訳文・辞書情報の画面表示を切り替えることも可能だ。

 翻訳が完成したら、「みんなの翻訳」のサイト上に保存するか、ローカルPCにテキスト形式でダウンロードするのかを選べる。サイトに保存する場合は、公開・非公開設定が可能。公開する際は、クリエイティブコモンズを適用できる。なお、「QRedit」の対応ブラウザはFirefoxのみ。用語登録や検索、翻訳の保存を行うにはユーザー登録(無料)が必要。ユーザー登録なしでも利用できる機能制限付きの体験版も用意する。


公開情報の確認画面 クリエイティブコモンズの設定

 東京大学の影浦峡氏(大学院教育学研究科図書館情報学研究室准教授)は、インターネットの普及により、翻訳ニーズが増大したことや、プロではないボランティア翻訳者は数千人(潜在規模は数十万人)に上ることなどを説明。しかしながら、クオリティコントロールの欠如や、翻訳者として定着する人が少ないという。そこで、翻訳者の支援を目的に、「みんなの翻訳」を開発した。「Web上のリソースをリサイクルできる点が特徴。エディタ上で辞書検索とWeb検索が一緒にできるほか、他の人の翻訳も参照できる」とした。

 NICTの内山将夫氏(知識創造コミュニケーション研究センター言語翻訳グループ主任研究員)は、翻訳をしてみたい人は誰でも無料で利用でき、「エディタにより翻訳時間を20〜30%短縮できる」と説明。サイトで翻訳を公開する利点については、「他の人の翻訳を参考にして自分の翻訳作業に生かせるほか、翻訳しない人にとっても外国語学習に役立てられる」とした。将来的には、日英・英日以外の翻訳対応、オープンソースやNPO/NGOの翻訳コミュニティとの連携を考えており、「みんなの翻訳」であらゆる翻訳が読めるようにしたいとアピールした。

 「みんなの翻訳」では、他人が著作権を有する文書の翻訳を公開することを禁じている。公開された翻訳は随時チェックし、違反があれば削除するという。また、翻訳の正誤判断をNICTが行うことはなく、「ユーザーの判断に委ねる」。今後は、ユーザーの行動を解析し、例えば、「より多くのユーザーが閲覧した翻訳=正しい翻訳」とみなすシステムなども検討。「“正”のフィードバックをシステムに反映させることで、質の向上を図る」とした。


みんなの翻訳の概要 翻訳に費やす時間の半分は調べ物

エディタの効果 NICT、東大、三省堂がボランティア翻訳者を支援し、「言葉の架け橋に」

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www2.nict.go.jp/pub/whatsnew/press/h21/090406/090406.html

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( 野津 誠 )
2009/04/06 20:14

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