総務省は28日、情報通信審議会情報通信政策部会の「インターネット基盤委員会」が取りまとめた報告書「21世紀におけるインターネット政策の在り方~新たなトップレベルドメイン名の導入に向けて~(案)」を公表した。新たに導入する日本語を用いた国別トップレベルドメイン名(ccTLD)を「.日本」とすることなどを盛り込んだ。6月3日までパブリックコメントを募集する。
アルファベットや英数字以外の文字を使える国際化ドメイン名(IDN)はすでに2001年に導入されており、例えば「総務省.jp」というように、セカンドレベルドメインに日本語などを使えるようになっている。一方、TLDについては、ドメイン名の資源管理を行う国際的組織のICANNにおいて、国際化および原則自由化の検討がなされており、早ければ2009年第2四半期にも新しいTLDが導入可能になる見込みだ。これを見据えてインターネット基盤委員会では、日本語ccTLDの文字列や運営方針について2008年11月から検討してきた。
● 「.日本」登録者は日本国内の個人・法人に限定
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2008年11月10日に開かれた「インターネット基盤委員会」の様子。村井純・慶應義塾大学教授が主査を務める(写真奥、向かって左側)
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報告書案によると、ccTLDを日本語化する際の文字列の候補としては「.日本国」「.にほん」「.ニッポン」などがあったが、覚えやすく短い方がドメイン名に適していることなどから「.日本」が適当としている。
運用業務の基本ルールとしては、すでに運用されている「.jp」との関係についても言及。「.日本」の導入当初は、「.jp」の登録者に対して同じ文字列を「.日本」でも優先的に登録できる期間を設けた上で、分離方式とすることが望ましいとした。すなわち、例えば「テスト.jp」と「テスト.日本」の登録者は必ずしも同一とは限らなくなる。
このほか、「.日本」導入後の一定期間は、日本に居所を有する個人・法人からの登録に限定することが望ましいとしている。海外からのフィッシング詐欺を防止する利用者保護の観点などを考慮した。その上で将来的には外国の居住者からの登録も検討することが適当としている。
「.日本」の管理・運営業務を行うレジストリ事業者については、民間主導で選定し、国がICANNにその結果を推薦することが適当とした。具体的には、インターネット協会や日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)、テレコムサービス協会などのインターネット関連団体や経済団体、消費者団体からなる民間協議会が「選定委員会」を設置。技術力や経営基盤、コンプライアンス体制などの面から審査する。
● インターネット版“ご当地ナンバー”も導入方針
「.日本」のほか、「.tokyo」「.大阪」など、“ご当地ナンバー”のインターネット版にあたる“ご当地ドメイン名”についても言及している。
ccTLD以外のTLDの原則自由化については、現在ICANNにおいて申請手続き案の詳細を検討中だというが、地理的名称に関するTLDの申請には、関係する自治体と国の支持が必要になる点がポイントだとしている。そこでインターネット基盤委員会では、その名称の自治体の対応方針や国の連携・支援策などについて検討課題を抽出した。
まず、地理的名称のTLDのレジストリは、自治体の意志によって選定することを基本とし、国はこれを最大限尊重することとした。また、自治体が地理的名称のTLDを検討する際に必要となる情報やノウハウをまとめた「対応の手引き」を策定するよう求めた。なお、「.関東」など複数の自治体を含む名称や、「.京都」「.大阪」など都道府県名と市区町村名が重複している名称、「.富士山」「.尾瀬」など自治体名以外の名称、「.陸奥」など過去に用いられた名称など、複数の自治体に関係する名称についても一定の合意形成ルールを示すことが求められるとしている。
このほか、自治体や国に無断で地理的名称のTLDが申請されていないかチェックする体制が必要とし、国と自治体が連携して異議申し立てを実施することとしている。
地理的名称のTLDの活用が想定される例としては、「hotel.tokyo」「ski.karuizawa」「おみやげ.大阪」「観光.広島」などが挙げられており、地域への愛着や一体感の醸成、インパクトのあるアドレスによる観光や名産品のアピールといった効果をイメージしている。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/090428.html
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( 永沢 茂 )
2009/04/28 21:01
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