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EUが通信関連法を改正へ、Cookieのプライバシー保護など


 欧州議会は6日、通信関連法の改正案について、欧州委員会が提出した案を1つを除いて賛成多数で可決した。

 法案には、番号ポータビリティに関する改革、欧州の電気通信に関するEUレベルの新たな規制当局となるBERECの創設、競争法のいっそうの改革、規制当局の独立強化、競争法促進のための強制処分の導入、単一市場化促進のための周波数管理改革、第3世代携帯電話の普及政策、次世代ネットなどの普及、表現の自由、eプライバシーやユニバーサルサービス関連の促進などが含まれている。これらの法改正によって、16億ユーロの節約が見込まれるという。

 圧倒的多数で可決したというBERECは今後、関係各局と連携して、単一市場化や競争促進、次世代技術・ネットワークなどの普及に努める予定。現在、ENISAという組織があるが、今後、BERECは各加盟国の承認を経てENISAと統合していく予定としている。旧国営通信会社が独占的地位を利用してサービス提供を継続する場合は、強制的にネットワークを他のサービスから分離することを命ずることができる処分も導入された。

 番号ポータビリティについては、現在変更手続きに平均8.5日かかっているところを、1日にすることを義務付ける。通信会社を変更した場合に長い場合には3週間もかかることがある状況を改善し、競争環境を整備する。

 ブロードバンド環境については、現在EU域内でアクセス可能な地域が70%程度にとどまっている。これを改善し、全域に安価なブロードバンド環境が提供されるようネット格差解消に向けて活動する。第3世代携帯電話の普及や、次世代ネットワークの普及についても取り組んでいく予定だ。

 今回の法改正の目玉の1つに、ユーザーの人権の確認が挙げられる。ネット上の表現の自由が明示的に表現されたほか、プライバシー保護なども盛り込まれる。ユーザーの氏名、住所、銀行口座、プロバイダー名、通信履歴などは、機密情報として保護対象になることが明示される。スパムや詐欺行為の防止のためCookieに関するプライバシー保護についても、明示される。すなわち、Cookieによって個人情報が無意識のうちに利用される場合に、事前通知を義務付けることとした。さらに、ユーザーに対して緊急情報を提供するための番号「112」を創設。不明児童のためのホットライン「116」も導入される。

 なお、人権関連では、欧州議会の修正提案があり、委員改定案から補正されたという。補正案については、今後審議が継続され、それ以外の可決された法案については、各加盟国が受容するかの段階に入る。


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URL
  ニュースリリース(英文)
  http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=MEMO/09/219&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
  ニュースリリース(英文)
  http://www.europarl.europa.eu/news/expert/infopress_page/058-55086-124-05-19-909-20090505IPR55085-04-05-2009-2009-true/default_en.htm


( Gana Hiyoshi )
2009/05/07 16:37

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