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ポータル復興へ、エキサイトが「原点回帰」の事業戦略


エキサイトの野田俊介代表取締役社長
 エキサイトは8日、2008年度(2008年4月~2009年3月)の通期決算を発表した。売上高は128億2600万円で前年度比2.6%の減少にとどまったが、営業損失が4億7200万円、経常損失が5億2900万円、当期純損失が23億600万円と、それぞれ赤字が拡大した。

 セグメント別に見ると、ポータルサイト運営によるネット広告を主な収益源とする「メディア事業」の売上高が36億4800万円と、前年度比で19.7%減少した。ディスプレイ広告の売上が27%減少したのが大きく響いた。リスティング広告も13%減少している。営業利益は、前年度の2億1300万円の黒字から、600万円の赤字に転落した。

 一方、コミュニティサービスやオンラインゲーム、音楽コンテンツ配信、インターネット接続サービスなどを含む「エンタテインメント事業」は、売上高が87億8300万円で前年度比8.8%増。内訳を見ると、音楽配信が増加しているものの、オンラインゲームは新タイトルの投入が遅れて減少、また、コミュニティサービスの「エキサイトフレンズ」と「エキサイト恋愛結婚」の売上も減少している。

 そのような状況の中で、インターネット接続サービスは2006年度の18億3000万円、2007年度の30億2100万円から、さらに2008年度は41億7600万円へと順調に増加。ただし、同サービスは原価率が高いため、「エンタテインメント事業」全体で見ると利益率は低下しており、同事業の営業利益は6億1500万円と前年度比で6.7%減少した。

 このほか、金融・その他の事業が売上高4億2700万円、営業損失が4億8500万円だった。


売上高の推移 営業利益の推移

収益性向上へ、モバイル含むポータル分野と、コミュニティ系に注力

 11日に行われた決算説明会でエキサイトの野田俊介代表取締役社長は、「選択と集中」による事業の見直しについて報告した。

 まず、撤退分野としては、アフィリエイト事業(株式会社クロスネットワークスの解散)、FX事業(エキサイトFX株式会社の譲渡)、クレジット事業(エキサイトクレジット株式会社の解散)がある。また、再編分野としては、Eコマース事業の物販型からプラットフォーム型への転換、音楽事業におけるコンテンツ配信からファンクラブソリューションへの移行のほか、オンラインゲームでは課金代行タイトルを取りやめ、自社運営タイトルへ注力することを挙げている。

 一方で強化したポイントとしては、ポータルの復興およびモバイル対応のほか、女性向けポータル「ウーマンエキサイト」との連携面で、ビューティーナビ株式会社の子会社化による美容院検索事業の強化を挙げた。

 ポータルの復興という「原点回帰」を掲げる背景には、同サービスを含む「メディア事業」が縮小していることがある。売上高の構成比を見ると、2年前の2006年度は「メディア事業」がほぼ半分を占めており、「エンタテインメント事業」と同規模だったのが、2008年度は4分の1程度にまで縮小。「エンタテインメント事業」が約3分の2を占めるまでになった。

 エキサイトは今後、「メディア事業」に経営資源を重点投下して再強化を図る。同社はこのところ、女性向けキラーコンテンツなどのターゲティングメディアを“深掘り”してきたが、それと同時に「トップページをもう一度伸ばす」(野田社長)という。

 このほか、「エンタテインメント事業」においては、利益率が高いというコミュニティサービスも重点投資分野とする。「エキサイトフレンズ」に代わる新サービスを投入するほか、婚活ブームで市場成長が見込まれる「エキサイト恋愛結婚」のプロモーションも強化する方針だ。

 2009年度の業績予想は、売上高を130億円としているほか、営業利益が1億5000万円、経常利益が1億4000万円、当期純利益が5000万円と再黒字化を目指す。


事業の見直しの概要 ビジネスユニット別の売上構成比

関連情報

URL
  エキサイト 投資家向け情報
  http://ir.excite.co.jp/

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( 永沢 茂 )
2009/05/11 20:52

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