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「Wolfram|Alpha」トップページ
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「Wolfram|Alpha」による回答結果の例
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Wolfram Alpha LLCは18日、世界初となる計算知識エンジン「Wolfram|Alpha」を無料で公開した。同社は、科学計算ソフト「Mathematica」で知られるWolfram Researchの子会社。
「Wolfram|Alpha」は15日より断続的にサービスを公開し、テストを続けていた。Googleのようなサーチエンジンと比較されてきたが、公開されてみると、その実態は大きく異なる。実際、「Wolfram|Alpha」ではサーチエンジンという言葉を使わず、“計算知識エンジン”という名称を与えている。
「Wolfram|Alpha」は、数テラバイトの知識の集積をもとに、計算アルゴリズムによって答を導き出そうとする。この基礎データは、各分野の専門家が収集し、コンピュータが理解できる形式に変換されて保存されている。「Wolfram|Alpha」がユーザーからのクエリを受け取ると、まずクエリを理解しようと分析し、その後、基礎データから数千のアルゴリズムをもとに、答を導き出すための計算を行う。計算結果は、グラフィカルなユーザーインターフェイスデザインによってユーザーの前に提示される。
例えば、「Google,Microsoft」というクエリを入力すると、GoogleとMicrosoftの株価や財務指標、株価の推移、投資パフォーマンスの比較など、さまざまなデータが導き出され、グラフを交えて表示される。また、「Fujisan」に対しては富士山の位置や高さなどの基礎データが表示される。
「Wolfram|Alpha」は、バックエンドにおいて1万のプロセッサコアで科学計算ソフト「Mathematica」を動かしてサービスを提供している。そのため、こうした実際的知識だけではなく、科学計算も極めて優れている。数式処理ソフトで行うような積分計算や物理学、化学、エンジニアリングの計算などを容易に行うことができる。特にこうした分野では、「Wolfram|Alpha」は電卓代わりに今すぐにでも役立つだろう。
そのほかにも気象、医療、歴史、教育、スポーツ結果、音楽などさまざまな分野の知識を集積しており、答を導き出すことができる。
「Wolfram|Alpha」は正式公開されたとはいえ、開発者のStephen Wolfram氏は「その名前の通り、アルファ版であり続けるだろう」と説明している。つまり、完成することなく絶えず開発が続けられるということだ。現に、さまざまなクエリに対して現時点では答を導き出すことができないことが多い。したがってGoogleのようなサーチエンジンとは全く異なった使い方がユーザーの側にも求められるだろう。
Googleで得られる答は、かつて誰かが質問したことがあるもので、しかもその答がインターネットに存在しなければならない。一方、「Wolfram|Alpha」は、世の中で初めて問われるようなことであっても、知識に基づいて計算して答を導き出そうとする点で、サーチエンジンと大きく異なっている。
「Wolfram|Alpha」では新たにコミュニティサイトを立ち上げ、利用方法に関するアイデアや興味深い質問、疑問を投稿できるようにしている。ここに投稿される内容を参考にしながら、新機能開発や改良を行いたい考えだ。
関連情報
■URL
Wolfram|Alpha(英文)
http://www.wolframalpha.com/
使用例(英文)
http://www23.wolframalpha.com/examples/
ニュースリリース(英文)
http://www.wolfram.com/news/wolframalpha.html
■関連記事
・ 知識発見型サーチエンジン「Wolfram|Alpha」5月18日公開予定(2009/05/11)
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2009/05/19 13:13
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