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GARMIN、オフライン地図を見られるGPSウォッチ「fenix 5X」発売、日本詳細道路地図と登山地形図を収録

オフライン地図が見られる「fenix 5X」

 GPS機器やアクティビティトラッカーなどの製品を提供する米GARMINの日本法人であるガーミンジャパン株式会社が4月1日、同社子会社でGARMIN製品の国内正規代理店である株式会社いいよねっとと統合し、新生ガーミンジャパン株式会社としてスタート。4月25日に記者発表会を開催し、4月から5月にかけて発売する新製品として、オフライン地図が見られるGPSマルチスポーツウォッチ「fenix 5X」、トライアスロンやウルトラマラソンに対応するGPSマルチスポーツウォッチ「ForeAthlete 935」、子ども向けアクティビティトラッカー「vivofit jr.」、スマートアクティビティトラッカー「vivosmart 3」などを発表した。

 「fenix 5X」は、フルカラーのオフライン地図が内蔵されたウォッチで、日本詳細道路地図(City Navigator Plus)と登山地形図(TOPO10MPlus V4)の両方を収録。登山などで現在地や軌跡ログを地図上で確認できる。また、道路地図上でナビゲーションを行う機能も搭載している。このほか、スキーなどのアクティビティの際に、仲間の位置などを把握できる「Group Track」という機能が追加されたほか、スマートフォンを使わずにインターネット接続が可能となるWi-Fiダイレクト通信機能にも対応した。さらに、希望する距離を入力することで、その距離を走ってスタート地点に戻るルートを提案する「ラウンドトリップラン」「ラウンドトリップライド」機能も搭載する。

 傷付きにくいサファイヤレンズを採用するとともに、バンド交換を簡単に行えるQuickFitバンドに対応している。本体サイズは51.0×51.0×17.5mm、重量は98.0g(バンド含む)。価格は9万9800円(税別)で、4月27日発売。

 オフラインの地形図を使えるスマートウォッチと言えば、カシオ計算機が4月21日に「WSD-F20」を発売したが、GARMINにも地図を見られるGPSウォッチがラインアップに加わったということで注目される。

「fenix 5X」Sapphireエディション
「ForeAthlete 935」(全2色)

 「ForeAthlete 935」は、ランナー向けシリーズ「ForeAthlete」の最新モデルで、トライアスロンやウルトラマラソンにも対応する。49gという軽さを実現しており、付属の小型デバイス「Running Dynamics Pod」を背面や腰の中央部に装着することで、ピッチやストライド幅、接地時間バランス、上下動、上下動比などを計測してフォーム改善に役立てられる。さらに、最近の運動履歴やパフォーマンスレベルを自動的に評価して、効率的なトレーニングを行えているかを確認できるパフォーマンスツール「トレーニングステータス」も搭載している。サイズは47×47×13.9mm。5万7800円(税別)で、5月中旬発売。

「vivofit jr.」(全3色)
「vivosmart 3」(全2色)

 「vivofit jr.」は、GARMIN初の子ども向けアクティビティトラッカー(ライフログバンド)で、対象年齢は3~10歳。1日の歩数や睡眠時間、運動時間などを計測することが可能で、活動状況は専用アプリにアップロードされる。設定した“お手伝い”を完了するとコインを獲得できる機能や、家族の中で誰が1日に最も多く歩いたかを競争できる「ファミリーチャレンジ」、1日60分間の運動目標を達成するとアドベンチャートレイルを探検できる機能、歯磨きの時間や読書などタスクごとに設定された時間をカウントダウンしてくれる「タスクタイマー」などの機能と搭載している。本体の長さは145mm、重量は17.5g。価格は9241円(税別)で、4月下旬発売。

 「vivosmart 3」は、有機ELディスプレイを採用したアクティビティトラッカーで、光学式心拍計を搭載する。心拍数変動(HRV)を解析してストレスの増減を確認できる機能を搭載するほか、歩数や消費カロリー、上昇階数、睡眠時間、睡眠中の動きなどを計測することが可能。計測したデータはクラウドサービス「Garmin Connect」上で確認・分析できる。また、VO2max(最大酸素摂取量)やフィットネス年齢、筋トレ時にレップやセット数、休憩時間を計測できるレップカウンティングなどの機能も搭載する。サイズは幅18.5mm、厚さ9.8mm、スモール/ミディアムサイズの長さは197mm、ラージサイズの長さは223mm。重量はスモール/ミディアムが20.4g、ラージが21.5g。価格は1万8334円(税別)で、5月下旬発売。

ガーミンジャパン株式会社の岩田元樹氏(コンスーマーディビジョン・ダイレクター)

 記者発表会では、ガーミンジャパンのコンスーマーディビジョン・ダイレクターを務める岩田元樹氏が登壇した。電機メーカーの海外セールスおよびマーケティングを20年経験し、2016年にガーミンジャパンに入社した岩田氏は、GARMIN製品の特徴は、航空や船舶、自動車業界などへのOEM供給で求められる厳しいBtoB製品の品質を、コンシューマー製品に転用している点であると説明した。

 また、GARMIN製品のシェアについては、2016年のウェアラブル端末世界出荷台数(IDC調べ)において、ウェアラブル端末市場ではFitbitやXiaomiに次いで第3位であり、アジア市場と日本市場ではシェア1位であると説明した。「2015年度から2016年度にかけて170%の伸び率を達成しており、ウェアラブル端末の市場にはまだまだ可能性がある。日本のお客さまには、GARMINの製品について、特に品質を評価していただいている」(岩田氏)。

GARMINが扱っている製品
ウェアラブル端末世界出荷台数
日本とアジアでのシェア

 さらに、日本の市場については、「GARMINが貢献できる市場領域はとても広く、今後はヘルスケア分野や医療分野の需要が高まると考えている。日本では健康志向が高まっており、データを活用していかに健康管理をするかが課題となってくる。健康に関するいろいろなソリューションを提供したいと考えている」と語る。

 締めくくりとして岩田氏は、「今後、日本ではスポーツ、健康、美容、安全の4つをキーワードに、日本の社会に貢献し、リーディングブランドとしての認知を確立したいと考えており、それは今回、いいよねっと株式会社を買収した最大の目的でもある」と語り、その手段としては、「セールス&マーケティング、サービスネットワークの強化」「日本マーケットに適合した商品企画」「大胆な広告投資やブランドアンバサダー、カテゴリーアンバサダー起用によるブランド価値の最大化」の3点を挙げた。

 岩田氏の発表の後には、ブランドアンバサダーに就任したモデルの道端カレンさんが登場。トライアスリートとしても活躍している道端さんは、以前からGARMINの商品をトライアスロンのトレーニングや普段の生活でも愛用しているという。さらに、カテゴリーアンバサダーに起用された、オーシャンアスリートの金子ケニー氏、国際山岳ガイドの近藤謙司氏、トレイルランナーの奥宮俊祐氏、マラソンランナーの八木勇樹氏も登場し、GARMIN製品との出会いや感想などについて語った。

ブランドアンバサダーの道端カレンさん(中央)とカテゴリーアンバサダーの4人

片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。