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趣味のインターネット地図ウォッチ

第124回:東京の街歩きが楽しくなる、大人向けの都内散策地図アプリ特集


 秋が深まり都内でも紅葉を楽しめる季節となってきたが、本格的な寒さが訪れる前に気ままな街歩きを楽しんでみてはいかがだろうか? 折しも今年は古写真や古地図、有名建築など知的好奇心を満たせる大人向けの都内散策アプリが次々と登場してきており、この手のアプリは“豊作”とも言える状況だ。今回はその中から、特におすすめの3本をご紹介しよう。

古写真と現在の写真を同じアングルから見比べられるiPhoneアプリ「TimeTours」

 明治から昭和初期にかけて撮影された古写真と現在の写真とを見比べられるアプリ。価格は無料。起動すると東京および横浜の過去の写真が並んだサムネイルが表示される。収録されている画像は国立国会図書館や横浜市中央図書館などの提供によるもので、東京編として56枚(28地点)、横浜編として53枚(26地点)の画像が用意されている。

 サムネイルは年代順または現在地からの距離の近さ順に並べ替えることが可能で、右上のボタンで選択できる。年代順に並べると、最も古い写真は1888年(明治21年)のもので、新しいのは1940年(昭和15年)の写真が収録されている。

 各写真をタップすると拡大画像と写真の説明を読める。ここで「撮影地点」をタップするとGoogle マップが開いて撮影地点が表示される。おもしろいのは単にピンポイントで場所を示すだけでなく、撮影方向までわかるようになっていること。また、このアプリには古写真だけでなく現在の景色を撮影した写真も収録されており、古写真と同じアングルから撮影している。

 地図上で撮影方向が表示されることにより、どちらの方向から見た写真かがすぐにわかるし、さらに現在の写真を組み合わせることによって、実際にその場所を訪れたときに昔と今の状況を簡単に見比べられる。もちろん自分の現在地を地図上に表示させることも可能なので、撮影地点までの道で迷うこともない。

 アプリの開発元によると、現在の写真のほうは都内や横浜を巡り歩いて1枚1枚撮影したというから、その労力は大変なものだったろう。この内容で価格は無料というのもうれしい。

 同アプリは今後も写真や機能の追加を予定しており、現在、京都や関西エリアの写真も準備中だという。また、ユーザーから所有する古写真を募集しているほか、掲載希望の街やエリアのリクエストも受け付けている。貴重な古写真を持っている人は、ぜひ連絡してみてはいかがだろうか?

起動時の画面 年代順のサムネイル 距離順のサムネイル
隅田川にかかる厩橋の昔の写真 現在の厩橋 明治43年の新橋
現在は橋が撤去されている 東京と横浜の写真を収録 東京は東京駅や有楽町駅、皇居周辺の写真が多い

TimeTours(iTunesプレビュー)
http://itunes.apple.com/jp/app/timetours/id473164308?mt=8

都内の有名建築の写真と詳細データを収録したiPhoneアプリ「東京建築ナビ」

 東京には世界的に有名な建築が数多く存在するが、これらの建築物を数多く収録したアプリが登場した。賃貸住宅の紹介サイト「R-STORE」を運営する株式会社アールストアがリリースしたiPhoneアプリ「東京建築ナビ」だ。価格は600円(11月30日まで期間限定で350円)。

 都内の有名建築のデータ約1000件、写真約3000枚を収録。各建築には所在地や建築家、用途、竣工年、延床面積などの詳細データが載っており、住所が詳しく載っている建物については、Google マップ上で正確な位置を調べることも可能だ。ちなみにこのアプリには個人宅や集合住宅も一部収録しているが、プライバシーを配慮して地図上には位置を掲載していない。

 検索方法も多彩で、GPSで取得した現在地をもとに周囲にある有名建築を検索できる「Location」や、建築家名から検索できる「Architect」、建物名から検索できる「Building」、竣工年から検索できる「Year」と4種類が用意されている。例えば、Architectで「安藤忠雄」と入力すれば、「安藤忠雄建築研究所」が手がけた有名建築のリストが表示される。

 写真が豊富なのも特徴のひとつで、各建築物について3〜4点の写真が用意されており、現地を訪れたときに探している建物をすぐに見つけ出せる。iPhoneの言語設定を英語にすれば英語表記にもなり、外国人の旅行者の観光ツールとしても使える。

 今後は毎年最新の建築データを追加していく予定で、Android版のリリースも予定している。建築ファンはもちろん、普通の東京歩きに飽きた人は、このアプリをインストールしたiPhoneを片手に有名建築を見て回ると、また新たな発見があるだろう。

 なお、このアプリのヘルプには有名建築を見学する際のマナーについての注意書きも記載されており、居住者や利用者に配慮してマナーやルールを守るよう呼びかけている。実際にこのアプリを利用して現地を訪れる場合は十分注意しよう。

起動時の画面 現在地の周辺を検索 詳細データ
1建築につき2〜3枚の写真を収録 表参道ヒルズの写真 「安藤忠雄」で検索した結果のリスト
建物名でも検索可能 年代別のリスト 個人宅や集合住宅以外は地図上で場所を確認可能
見学にあたっての注意

東京建築ナビ(iTunesプレビュー)
http://itunes.apple.com/jp/app/id469612306?mt=8

明治時代の貴重な古地図を閲覧できるAndroidアプリ「東京古い地図」

 iPhoneに比べてAndroidは古地図アプリが少なめだが、そんな中でおすすめなのが「東京古い地図」だ。このアプリは、PCのGISソフト向けにウェブサイト上で提供されている「歴史的農業環境WMS配信サービス」(データ作成:歴史的農業環境閲覧システム)に収録されている地図にアクセスできるアプリだ。1883年(明治16年)に作成された「東京図測量原図」および1880年(明治13年)から1886年(明治19年)にかけて作成された「関東平野迅速測図」という2種類の地図をAndroidスマートフォンで閲覧できる。価格は無料。

 東京図測量原図は東京中心部の地図で、縮尺は5000分の1。関東平野迅速測図は縮尺2万分の1となっており、Googleマップと切り替えながら閲覧できる。もちろんGPSで取得した位置情報をもとに地図上に現在地を表示させることも可能だ。

荒川および江戸川(関東平野迅速測図) 荒川および江戸川(Google マップ)
吉祥寺駅周辺(関東平野迅速測図) 吉祥寺駅周辺(Google マップ)
御茶ノ水駅周辺(東京図測量原図) 御茶ノ水駅周辺(Google マップ)

 歴史的農業環境WMS配信サービスのウェブサイトでは、両地図を「WMS(OpenGIS Web Map Service)」に対応したデスクトップGIS(地理情報システム)のソフトウェア上で利用できるサービスを提供しているほか、Google マップ上に重ねて閲覧することもできる。Google Earth用のKMLファイルも用意されており、GISの知識がない人にはこのKMLファイルをGoogle Earthで開くのが最も簡単な方法だろう。

 さらに、歴史的農業環境WMS配信サービスの地図の元データを作成した「歴史的農業環境閲覧システム」のサイトでは、両地図のデータをGoogle マップのような使い勝手で閲覧することが可能だ。ここでは古地図の上に現在の道路を赤線で、河川を水色の線で、鉄道を灰色の線で描いており、1997年の土地利用図と比較しながら地図を見られる。古地図の上に現在の住所などを表記することも可能だ。1880年代に農地だったところが現在では市街地に変わっていることがよくわかる。

 関東平野迅速測図とは日本の明治の初期から中期にかけて作成された簡易地図で、予算と時間が限られていたために、現在の測量で用いられている「基準点測量」を省いた方式によって作成された。この貴重な地図をスマートフォンやPCから無料で閲覧できるのは地図ファンにとっては実にうれしい限り。都内を散策しながら、今いる場所がかつてはどんな土地だったのか、昔に思いを馳せてみてはいかがだろうか。

Google Earth上で関東平野迅速測図を表示 浅草付近
Google Earth上で東京図測量原図を表示 汐留付近
古地図と建物の3D表示を重ね合わせることも可能 「歴史的農業環境閲覧システム」トップページ
道路や鉄道の線と重ね合わせて見ることが可能 迅速測図の凡例も掲載

東京古い地図(Android Market)
https://market.android.com/details?id=com.gmail.boiledorange73.app.TokyoMapOld
歴史的農業環境WMS配信サービス
http://www.finds.jp/wsdocs/hawms/index.html
歴史的農業環境閲覧システム
http://habs.dc.affrc.go.jp/


2011/11/24 06:00


片岡 義明
 地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。書籍「パソ鉄の旅−デジタル地図に残す自分だけの鉄道記−」がインプレスジャパンから発売中。