趣味のインターネット地図ウォッチ

第156回

PM2.5や黄砂の状況が地図上で分かる大気汚染情報サイト特集

 花粉や黄砂が気になる季節となったが、今年の春はそれらに加えて「PM2.5」による大気汚染が話題となっている。PM2.5とは大気中に浮遊する粒子径2.5μm以下の微粒子のことで、喘息や気管支炎など人体への影響が心配されている。そこで今回は、PM2.5をはじめとした大気汚染の状況を地図上で調べられるサイトやアプリを紹介したい。

大気汚染粒子や黄砂の飛来予測を見られる定番サイト「SPRINTARS」

 九州大学応用力学研究所が提供しているサイト。「SPRINTARS(Spectral Radiation-Transport Model for Aerosol Species)」とは、大気浮遊粒子状物質(エアロゾル)による気候システムへの影響や大気汚染の状況を地球規模でシミュレートするために開発された数値モデルで、地表付近から高度約1kmまでの平均質量濃度から算出した結果をもとに、日本各地の当日から1週間先までの大気汚染の予測を試験公開している。

 週間予測の簡易版では、エリア別の大気汚染粒子(すす・有機物・硫酸塩エアロゾルの合計)および黄砂の量について「多い」「少ない」「やや多い」といった分かりやすい言葉で紹介している。当日および次の日の予測では6時間ごとの予測を見られるほか、週間予測の一覧表も掲載している。

 また、地図上で飛散の予測を示した動画も公開しており、1週間先までの予測を動画で見られる。動画は3時間ごとの変化が分かるアニメーションで、再生速度を変化させたり、コマ送りで見たりすることも可能だ。週間予測の詳細版では日本だけでなくアジアや全球の状況も分かる。

簡易版の予測情報
1週間分の予測を見られる
大気汚染粒子の予測動画
黄砂の予測動画
週間予測(詳細版)の全球動画

 このSPRINTARSが提供する大気汚染情報を利用したAndroidアプリも登場している。進和電機株式会社がリリースしたアプリ「大気汚染予報」はSPRINTARSで公開されている情報をモバイル上で簡単に表示できるアプリで、アプリ特有の機能として、汚染物質の飛散量に応じてステータスバーに警告を出す機能を搭載する。また、PM2.5対応マスクが購入できるサイトのリンク集も掲載している。

Androidアプリ「大気汚染予報」
アプリ上で動画も見られる

 このほか、携帯電話向け気象情報サイト「お天気ナビゲータ」でもSPRINTARSのデータをもとにした「PM2.5大気汚染予測」コーナーが公開されている。スマートフォン向けサイトにおいてメニューをタップすると予測動画が表示され、画面下で地域を選択すると各地の週間予報の一覧が表示される。SPRINTARS本家サイトよりも見やすいデザインとなっているのでおすすめだ。

「お天気ナビゲータ」トップページ
地域ごとの指数

大気汚染の測定値を地図上で見られる「そらまめ君」

 環境省が提供する大気汚染物質の情報提供サイト「環境省大気汚染物質広域監視システム(そらまめ君)」では、汚染物質ごとに各地の測定時報値を見られる。表示項目は二酸化硫黄(SO2)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、光化学オキシダント(OX)、非メタン炭化水素(NMHC)、浮遊粒子状物質(SPM)、微小粒子状物質(PM2.5)などのほか、風向き・風速(WD・WS)、気温(TEMP)なども分かる。

トップページ

 各項目にチェックを入れると右側の地図上に測定局の場所が表示される。各地点は濃度別に色分けされており、クリックするとその地点を含むデータの一覧表が表示される。測定局や表示日時の選択も可能で、1週間前までさかのぼってデータを見られる。

 また、光化学オキシダントの注意報・警報発令状況や測定局の詳しい位置などが地図上で見られるほか、国設局の詳細情報なども掲載している。

 地図の拡大・縮小などができないのは残念だが、情報量が多く、地図上で測定局の場所を確認できるのは便利だ。現在アクセスが集中しているためか、サイトが全体的に重いことがあるが、早朝などにアクセスすると快適にデータを閲覧できる。

二酸化硫黄(SO2)の測定時報値地図
PM2.5の関東地方の測定時報値地図
時報値表
光化学オキシダント 注意報・警報発令状況
測定局一覧
測定局配置図
国設局
国設局の詳細情報

地球規模の大気汚染物質の動きが分かる「全球化学天気図」

 「大気組成変動予測研究プログラム」の研究の一環として、「化学天気予報」というサイトが試験公開されている。日本付近の大気汚染の様子を見られる「都市スケール化学天気図」と、地球全体の大気汚染の予報を見られる「全球化学天気図」の2種類のメニューが提供されているが、「都市スケール化学天気図」は現在のところ利用できない。一方、全球化学天気図については利用可能だ。

化学天気予報

 全球化学天気図の表示項目は、温度、海面更正気圧、オゾン、成層圏オゾン、カラムオゾン量、対流圏カラムオゾン量、降水量、窒素化合物、硝酸、一酸化炭素、PAN、硫酸エアロゾル、オゾン変化速度、NO2光解離速度などで、これらの予報を項目別に調べられる。

 表示させたい範囲の緯度・経度および高度、日付を指定して決定ボタンをクリックすると、地図上に汚染の予報を示した画像が生成される。この際、風向きの矢印を入れることも可能だ。表示エリアの指定方法が少々面倒だが、地球規模でさまざまな大気の予報を調べたい時には便利だ。

緯度・経度・高度などを指定
生成された画像

東京エリアの大気汚染状況が分かる「東京都・大気汚染常時監視測定局の測定結果」

 東京都が提供する大気汚染の測定結果発表サイト。エリアは東京都に限られるが、都内各地のきめ細かい大気汚染状況を地図上で見られる。

トップページ

 測定地点は住宅地などに設置してある「一般環境大気測定局」47局と、道路沿道に設置してある自動車排出ガス測定局」35局。測定項目は二酸化窒素、浮遊粒子状物質、光化学オキシダント、二酸化硫黄、一酸化炭素、PM2.5、一酸化窒素、窒素酸化物、メタン、非メタン炭化水素などのほか、風向、風速、温度、湿度、日射量も調べられる。

 これらの測定値は測定局ごとに表で見られるようになっており、この測定値をもとに汚染物質の濃度を色で示した地図を掲載している。いずれの地図も風向と風速が掲載されているので、どのように拡散するかが分かりやすい。さらに、1週間分の地図情報を時系列に並べて見られるコーナーも用意されている。

 残念ながら項目ごとに別々の地図が用意されているだけで、複数の項目を重ねて1つの地図の上で同時に見ることはできない。画像の大きさが2段階しか用意されていないのも物足りないが、都内各地の状況を細かく見られる点は便利だ。東京エリアの大気汚染状況が気になる人はブックマークに登録しておくことをおすすめする。

測定局の一覧
光化学オキシダントの地図情報
PM2.5の地図情報
時系列図

片岡 義明

地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。書籍「パソ鉄の旅−デジタル地図に残す自分だけの鉄道記−」がインプレスジャパンから発売中。