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特別編

地図好き目線で「iPhone 6」レビュー、iOS 8では「地理院地図3D」利用可能に

 スマートフォンとして過去最高の予約注文数を記録し、いよいよ19日に発売となった「iPhone 6」および「iPhone 6 Plus」。今回は本連載の特別編として、地図好き目線オンリーでiPhone 6をチェックしてみた。もちろん、恒例のGPSログ実測レポートも記事後半でお届けする。

iPhone 6

「WebGL」のサポートで「地理院地図3D」が利用可能に

 地図好きとして歓迎したいのはなんといっても大画面化だ。5.5インチのiPhone 6 Plusはもちろん、iPhone 6についてもiPhone 5sと画素密度は変わらないまま4.7インチと大画面化し、地図アプリやカーナビアプリの視認性が向上した。薄く持ちやすいボディも好印象だ。

大画面化で視認性が向上

 標準搭載されるiOS 8は、“地図”という切り口で見て従来と大きな違いは見られないが、細かい部分ではいくつか変化が見られる。1つめの注目ポイントは、ウェブブラウザー上で3Dグラフィックスを表示させるための技術「WebGL」に対応したことだ。今年の3月に国土地理院が提供開始した「地理院地図3D」は、このWebGLをJavaScriptライブラリ「three.js」を利用して構築しており、iOS 8がWebGLに対応したことによって、この「地理院地図3D」がSafari上で利用可能となった。

 MacやWindowsのブラウザーと同様に、iOSのSafariでも日本全国の好きなエリアを切り取って立体地図を生成し、指1本でさまざまな角度に動かすことができる。ピンチイン/アウトによる拡大・縮小も可能で、その動きも実になめらかだ。SafariだけでなくiOS版Chromeなどでも同じように利用できる。

地理院地図3Dが利用可能に

 一方、標準の地図アプリ「マップ」には、「Flyoverツアー」という機能が加わった。これは世界の主要都市の名所を、3Dビューの「Flyover」で自動的に見て回れる機能だ。マップで「東京」「パリ」「ニューヨーク」など都市名で検索するとピンがドロップされるので、ピンをタップして詳細画面を表示させる。詳細画面の中段にある「Flyoverツアー」という項目をタップするとツアーが始まる。

 この機能を利用できるのは、ニューヨークやパリ、ローマ、マドリード、サンフランシスコ、サンノゼ、グラスゴー、ロンドンなど。東京も対応しており、東京タワー→赤坂離宮→国会議事堂→江戸東京博物館を順に見て回れる。各スポットにたどり着くと施設名が大きく表示されるのも分かりやすい。ちなみにニューヨークの場合は自由の女神→フラットアイアンビルディング→エンパイアステートビル→タイムズスクエア→マディソンスクエアガーデンの順、パリの場合はエッフェル塔→ルーヴル美術館→ノートルダム大聖堂→グラン・パレ→エトワール凱旋門という順となっている。iPhone 6/6 Plusの大画面を活かせる楽しい機能だ。

詳細画面の「Flyoverツアー」をタップすると開始
東京タワー
サグラダ・ファミリア
ルーヴル美術館

 さらに、「マップ」で経路検索する際に、「車」「徒歩」と並んで、別の地図アプリや乗換案内アプリを呼び出す機能も搭載された。「App」を選ぶとインストール済のアプリのリストが表示されるので、ここで選択するとほかのアプリが起動して経路検索を行える。iOS版Google マップに切り替えることも可能だ。

他のアプリに切り替えられる

 また、iOS 8では「メッセージ」において位置情報を共有できるようになった。メッセージの連絡先の詳細画面において、「位置情報を共有」を選択すると、「1時間」「明け方まで」「無期限」という3つの選択肢が表示される。この中からどれかを選ぶと、選んだ期限までメッセージ上で相手と現在地を示した地図画面を共有することが可能となる。また、「位置情報を共有」の上にある「現在地を送信」をタップすれば、メッセージのやりとり中に位置情報を送信できる。

共有する時間を設定可能

 このほか位置情報に関係した機能としては、iBeaconを利用してロック画面の左下に近隣の店や施設のアプリをおすすめする機能が追加されている。スターバックスやマクドナルドなどの店が対応しており、ユーザーが近くまで来るとアイコンが表示されて、アイコンを上にスワイプすると、その店のアプリが立ち上がる。また、アプリがインストールされていない場合はApp Storeのダウンロード画面が表示される。この機能を使いたくない場合は、[設定]−[プライバシー]−[位置情報サービス]−[システム・サービス]の中の「位置情報に基づく通知]をオフにする。

ロック画面の左下にアプリのアイコンが表示

GPS軌跡ログレポート

 次に、iPhone 6を使ったGPSロガーアプリのログを見てみよう。ログの取得方法はいつもの通り、自転車にRAMマウントで端末を固定し、市街地にて走行しながら記録した。使用したのはiPhone 6およびGARMINのハンディGPS「eTrex20J」。iPhone 6の軌跡ログ取得にはログアプリ「iTrail」を使用した(ログの取得間隔は5秒おきに設定。地図上の赤線がiPhone 6、青線がeTrex20Jとなっている)。

 スタート地点は東京都台東区の銀座線田原町駅付近で、そこから西に向かってJR上野駅に向かい、上野駅前の交差点にて左折して国道4号を御徒町方向へと南下する。御徒町駅でさらに左折して春日通りを東に向かい、国際通りで左折して北へ向かって元の位置に戻るルートとなる。つまり、軌跡ログが描く長方形の右上の角から左回りに進んで1周している。

 なお、自転車で走行する際は交通法規に則り、原則として車道左側端を走行し、路上駐車を避ける時だけ一時的に車道中央寄りを通った。ログの一部で車道の反対側の車線や歩道に入り込んでしまっている部分があるが、これはGPSの誤差によるものであり、実際の走行軌跡とは異なる。

RAMマウントを使って自転車に固定

 iPhone 6のログを見ると、ブレが少なく実に安定した軌跡を描いている。スタート後に西へ向けて走っている時の軌跡についてもeTrex20Jより誤差が少なく、実際の走行軌跡に近い位置を示している。上野駅周辺についても、わずかにカーブ内側にずれるものの、eTrex20Jに比べて実際の走行軌跡に近く、車道左側端に沿って進んでいる。

 ときおり信号による停止時にわずかに左右にブレる時があるが、ブレの大きさはわずかでほとんど気にならない。全体的には、歴代iPhoneの中では最も誤差の少ない良質なログといえるだろう。ディスプレイの大画面化・高画素化と相まって、iPhone 6は精度面においても地図好きな人には魅力的なデバイスに進化したと思う。Appleは今後、2015年初頭にスマートウォッチ「Apple Watch」の発売も予定しており、今回のiPhone 6との組み合わせによって、どのような地図サービスや位置情報サービスが実現されるのか実に楽しみである。

片岡 義明

IT・家電・街歩きなどの分野で活動中のライター。特に地図や位置情報に関す ることを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから法 人向け地図ソリューション、紙地図、測位システム、ナビゲーションデバイス、 オープンデータなど幅広い地図関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報ビッグデータ」(共著)が発売中。