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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿

中国で人気の日本アニメがついに正規配信を開始 ほか〜2011年11月


  本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国を取材拠点とする筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、中国のインターネットにまつわる政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、それに中国インターネットのトレンドなどをレポートしていきます。

中国で人気の日本アニメがついに正規配信を開始

土豆網の独占コンテンツ特設サイト

 ここ数年は、中国では「NARUTO」「ONE PIECE」「BREACH」の3作が大人気。日本で放映されるやいなや、録画データが中国に転送され、「字幕組」と呼ばれる有志の翻訳グループにより翻訳され、あっという間に中文字幕版が中国の動画サイトにアップされる。とくに、冒頭で紹介した3作はそれぞれが数百万回の単位で再生されている、多くの中国人が心待ちにしているコンテンツである。

 「NARUTO」「BREACH」を配信するテレビ東京は、中国の「優酷(YOUKU)」とならび2大動画サイトのひとつである「土豆(TUDOU)」と契約し、土豆が無料で独占ストリーム配信で行うと発表。12月から特設サイト(※http://www.tudou.com/dlord/jpanime)で「NARUTO」「BREACH」ほか、「銀魂」「侵略!?イカ娘」「SKET DANCE」「君と僕。」「プリティーリズム」が配信されている。テレビ東京のプレスリリース(PDF、http://www.tv-tokyo.co.jp/contents/ir/jpn/press/pdf/111124.pdf)では「現在放送中のタイトルについて、日本での放送直後に配信を行うほか、2,000話以上のアーカイブを揃えます」としており、今後様々なタイトルが投入されるだろう。

 過去に中国国内外のコンテンツについて、1動画サイトに独占配信権を与えると、他社が配信した際に損害賠償請求をするケースが一般的だ。従って、今後テレビ東京のアニメコンテンツについては、土豆が海賊版を配信するサイトを提訴することで海賊版が減っていき、連動して「字幕組」の仕事が激減することが予想される。

 一方で、中国で配信権が確定していないコンテンツについては海賊版が恐れずに配信されるため、各動画サイトは引き続き海賊版動画を配信するだろう。現に土豆自身も正規版の「NARUTO」や「BREACH」を配信しつつ、同時に海賊版の「ONE PIECE」「名探偵コナン」「クレヨンしんちゃん」などをも配信するというダブルスタンダードぶりを見せている。日本のテレビ局各局をはじめ、コンテンツホルダーが動き出せば、海賊版も減少していくことだろう。

 なお、正規版日本アニメの登場に対するネットの反応は、概ね歓迎ムードとなっている。


中国当局、芸術家の「艾未未」氏に圧力もネットユーザーが対抗

 芸術家であり、人権活動家・社会運動家としても知られている「艾未未(発音はアイ・ウェイウェイ)」氏に、中国当局が様々な圧力をかけ、それに対して彼を支持するインターネット利用者が対抗する図が、中国の体制が嫌いな人々や、海外メディアで取り上げられ話題となった。

 公安当局は艾未未氏に1500万元(約1億8000万円)もの追徴課税を命じたが、ネットでお金を借りようと募ったところ、わずか数日間の間に、合計およそ1億円が多くの人から寄せられた。その後当局は艾未未氏のヌードの作品がポルノだと指摘し難癖をつけ、艾未未氏が「芸術作品」だと反論したところ、支援者がヌード画像を次々に投稿する事態に。

 中国国内ではよほどアンテナを立てない限り、普通にネットを利用して生活している分には知るよしもないニュースではあるが、日本を含めた海外メディアでは中国国内よりも詳細に報道されている。詳細は「艾未未」と「追徴課税」や「ヌード」あたりを検索キーに検索してみるといいだろう。


ソフトバンクとアリババの日中連合がヤフー買収方針を固めたと報道

 蜜月の関係にあるソフトバンクと中国アリババホールディングスが、米ヤフーを買収する準備があると中国メディア、英文メディア、日本語メディアなど、様々なメディアが報じた。その後1株20ドル、計250億ドルでヤフーを完全買収を狙っていると報じられ、問題は資金面でなく政治面であると分析されている。

 ソフトバンクもヤフージャパンを配下にするが、アリババホールディングスもまた人気オンラインショッピングサイト「淘宝網(TAOBAO)」「淘宝商城(Tmall)」「阿里巴巴(Alibaba)」のほか、ヤフー中国(雅虎中国)も配下にしている。


「微博で市民と対話」を目指すも、7割以上の政府アカウント更新せず

北京市広報のアカウントが人気であることをアピールする記事

 本連載で前回も紹介したように、11月のニュース記事においても「ミニブログで市民と対話しようとする地方政府」がよく報道されていた。中国政府が、インターネット利用者に対して、対話の姿勢をメディアを通じてアピールした形だ。11月17日には、北京市政府と北京市の政府関連部門の公式アカウントが登録され、11月28日には上海政府関連の公式アカウントが登録された。いずれもすぐに万単位のフォロワーを集めたことがしばしばニュースで報道された。11月の時点で地方政府などの政府の微博アカウント総数は、人気の微博サービスのひとつ「新浪微博」だけで約1万、公務員のアカウント数も1万近くにのぼる。

 しかし一方で、「作るだけ作ってほったらかしの政府アカウントが散見される」とメディアが報じている。こうした政府広報の微博アカウントの中で、ツイート数が100以下のアカウントが全体の6割を占め、500以上ツイートしたアカウントはわずか8%しかないという。また、中国メディア「済南時報」の記者による調査では、7割が15日以内の更新がないとしている。

 中国のお役所体質が出たというべきか、しばしば見られる「出したらおしまい」の仕事の態度が出てしまったというべきか。地方には中央の目指そうとすることが正しく伝わっていないようだ。


2011年11月11日の「スーパー光棍節」にオンラインショップは大忙し

今年2011年の11月11日がすごかったと評する記事

 1が並ぶ11月11日は、ここ10年20年で突然できた中国の独身記念日こと「光棍節」。晩婚化がすすむ中、年までゾロ目ということで今年は例年以上に盛り上がり、モテない男女による中国各地の祭りの様子は様々なメディアが報じた。ますます近年盛り上がっているが、特に今年は年まで1並びということで、ネット界隈ではかなり盛り上がったように感じた。

 オンラインショッピングでも2009年あたりから、一部のオンラインショッピングサイトが試験的に光棍節に便乗したキャンペーンを仕掛けていったが、それが成功したのか2010年には光棍節商戦が一般化大衆化し、2011年には「参加しないと時代遅れ!」とばかりに著名なオンラインショッピングサイトが揃って光棍節キャンペーンを実施した。

 11日に日が変わり、深夜1:00までの1時間の間に、B2Cオンラインショッピングサイト最大手の淘宝商城(Tmall)での売上高は4億3900万元(約53億円)に、12日に日が変わるまでに33億6000万元(約403億円)、淘宝網をあわせれば52億元(約624億円)の売上げを記録。これは去年の同日の売上げの4倍にあたる。

 当日はネットを利用する若者の間で祭りの勢いがあったが、後日「半額大セールとは言っていたけど、そのときだけ半額前の価格がかなり高かった。オンラインショッピングサイトのキャンペーンに乗せられてしまった」と後悔や不満の声もチラホラ。


中国のモバイルインターネットユーザーはエンタメ目的がメイン

 大手ポータルサイト「新浪」、携帯電話向けポータルサイト「3G門戸」、人気の携帯電話向けブラウザを提供する「UC(優視)」は共同で中国における携帯電話によるモバイルインターネット利用実態の調査結果を発表。

 調査結果によると、携帯電話によるインターネット利用者は都市部の35歳以下がメインで、収入はこの年代のサラリーマンの平均から成功した2000〜8000元の収入が約半数強を占める。内陸の都市の若いサラリーマンがだいたい月収2000元前後で、外資系企業で働くと月収8000元いくところも。また利用者は都市の若者がメインであることから、携帯電話で毎日平均8回弱インターネットを利用し、特に「やる気が起きないとき(70.0%)」「地下鉄・バス・タクシーの車内(67.4%)」「寝る前(62.7%)」「待ち合わせのとき(59.9%)」といったときの利用されがち。

 利用用途は「ニュース(96.4%)」「チャット(91.1%)」「検索(88.1%)」が特に多く、以下「着信メロディや待ち受け画像や音楽
のダウンロード(73.5%)」「オンラインでの電子ブック利用(70.3%)」「ゲームのダウンロード(65.6%)」「メール(63.7%)」「ライブによるニュースやスポーツの視聴(62.5%)」「ブログや日記のアップロード(61.5%)」「地図・LBS(60.7%)」「電子ブックのダウンロード(58.6%)」「ミニブログ(55.9%)」は利用経験はあるが、いつも利用しているわけではないという用途となっている。「オンラインショッピング(37.4%)」や「オンラインバンキング(44.2%)」の利用率は高くはない。

 利用OSは「Symbian(47.4%)」が最も多く、以下「Android(26.1%)」「Windows Mobile(10.8%)」「iOS(8.5%)」と続く。アプリに関してはニーズの高い順に「ゲーム・エンタメ(66.55%)」「システム関連(64.8%)」「プレーヤー(63.33%)」「チャット(62.35%)」「入力変換(58.75%)」「ブラウザ(58.18%)」「地図(50.75%)」「画像・撮影(49.02%)」「辞典(48.33%)」「仕事ツール関連(41.23%)」と続いた。

 半数以上のモバイルインターネットユーザーが「データ通信費定額」を望んでいるが、実際に支払っている通信料は、「1カ月で10元以内」に抑えているユーザーが半数を超える。なお、このレポートには書かれていないが、3Gの利用者は1億人程度で、モバイルインターネットユーザーの半数以上が2GのGSMを利用している。

2台以上携帯電話を持つモバイルインターネットユーザーも珍しくはない 携帯電話で電子ブックを読む人は「毎日2時間以上」携帯で読書が基本のようだ


蘇寧電器、オンラインで書籍販売スタート〜ジョブズ伝は中国でも人気

 ラオックスやパイオニアのテレビ事業におけるブランド名を買収した蘇寧電器(SUNING)は、同社オンラインショッピングサイト「蘇寧易購」で本の販売を開始。販売点数は60万冊で、Amazon中国を越え、トップの当当網に続く。初日から3日間は買った分だけ同サイトで利用できる商品券がつく、実質無料お試しキャンペーンを展開した。将来は家電量販店ながら、同社サイトでは本だけでなくアパレルなどあらゆるジャンルの製品を販売していくという。

 オンラインにおいて値段競争が激しくなり、土地代も値上がりしていることから、店舗型の既存の書店は苦境に立たされ、いくつかの書店チェーンでは大都市を中心に一部店舗閉鎖などリストラが行われている。

 ちなみに中国での本の売れ行きの例として、スティーブ・ジョブズ伝は中国において発売第1週で60万部を売り上げたと報じられている。


本家グルーポン中国、ニセモノの腕時計を販売し苦情殺到

 まだまだ増えすぎたクーポンサイトの淘汰が続く中国クーポンサイト市場。後発で市場に参入したチャットソフト「QQ」が有名な「騰訊(Tencent)」と手を組んだ本家「高朋(グルーポン中国)」が、ニセモノのスイス「TISSOT」の腕時計を販売し、苦情が殺到した。

 そもそもは10月19日に購入者のひとりがニセモノではないかと疑い、ネットで同様の疑問を抱く購入者を見つけたことからはじまったこの騒ぎ。当初は「ニセモノを売ることはない」と強く否定したグルーポン中国も、卸売商がウソをついてニセモノを出荷していたことが後に発覚、11月7日に購入金額+200元を購入者に支払うことで事態は収束した。



関連情報

2011/12/16 06:00


山谷 剛史
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。著書に「新しい中国人」。