PCもタブレットもまるごとおまかせ! QNAPではじめるデータ管理術

Part.5:QNAPならHDD交換だけで手軽に上位機種に
TS-220→TS-470へのアップグレードに挑戦

 HDDの容量が足りなくなったり、NAS本体の処理能力がもっと欲しくなくなっても、QNAPのNASなら安心だ。現在利用している機種のHDDは、基本的にそのまま他のモデルに装着可能となっているため、上位モデルへのアップグレードが簡単にできる。実際にTS-220からTS-470への移行に挑戦してみた。

NASの移行は頭が痛い問題だが、QNAPのNASならHDDを交換するだけで新しい機種でもそのまま稼働させることができる

QNAPなら機種変も簡単

 2TBから12TBに。2ベイから4ベイモデルに。RAID1からRAID5に。もしも、現在使っているNASの容量や性能にハードウェアの限界が訪れたとしてもQNAPのNASなら安心だ。より大容量で、高性能な上位のモデルへのアップグレードが驚くほど簡単にできてしまう。

 現在、企業、個人を問わず、データの肥大化に頭を悩ませている人は少なくないことだろう。事業規模の拡大や人員増加、ビックデータのニーズなどによってデータが加速度的に増えつつある上、個人でも写真や映像の高画質化などによって、扱うデータが増えてきている。数年前に「十分だろう」と考えて導入した容量のNASが、すでにその空き容量がわずかとなってしまったというケースも少なくないはずだ。

 もちろん、最近のNASであれば、容量を増やすのはさほど難しいことではない。RAIDの構成が柔軟に可能な機種が増えてきたおかげで、たとえば1TB×2本の構成をHDDの交換によって3TB×2本に変更するといったことも簡単にできるようになってきたからだ。

 しかし、ある一定のレベルを超えると、これにも限界が訪れる。NASに搭載可能なHDDの台数は本体のベイの数が上限となるため、各ベイに現状最大の4TBのHDDを装着してしまえば、それ以上の拡張は難しくなってしまう。

 機種によってはUSB 3.0やeSATA、拡張ユニットで容量を拡張することもできるが、容量の問題はクリアできたとしても、処理性能が問題になってくるケースもある。社内の利用者が増え、アクセスが増加してきたことで、NAS上のデータを読み込むのに時間がかかったり、NAS上で動作させているグループウェアなどのパフォーマンスが低下するケースも少なくない。

 このような場合、NASをより高性能なモデルに交換する必要があるが、一般的なNASは本体をまるまるリプレイスするのは、かなり大がかりな作業となる。新NASに旧NASと同じユーザーや共有フォルダーを登録し、適切にアクセス権を設定。数時間から十数時間かけてネットワーク経由でデータをコピーしてから、データが漏れなく存在するか、適切にアクセス権が設定されているかを確認。さらに、バックアップを設定し直したり、NAS上で稼働させているアプリを設定し直したりと、数日かかりの労力がかかってしまう。

 しかし、QNAPのNASなら、このような苦労とは無縁だ。旧NASからHDDを取り外し、新しいNASに装着するだけで、すぐにNASの機種変が完了してしまう。具体的にどのように移行できるのかを見ていくことにしよう。

HDD交換で即アクセス可能に

 今回、実際に検証したのは、TS-220からTS-470への移行だ。以下の表のように、2ベイと4ベイというベイの数の違いだけではなく、CPUのアーキテクチャまで異なる構成への移行となってる点に注目だ。一般的なNASでは、同一アーキテクチャの同一モデルにディスクを移行することはできても、このように異なるモデルへの移行はサポートされていない。

2ベイのTS-220(左)から4ベイのTS-470(右)への移行に挑戦してみた
【TS-220とTS-470主な仕様の比較】
TS-220 TS-470
ベイ 2 4
CPU Marvell 1.6 Intel 2.6GHz Dual-core Processor
RAM 512MB 2GB
LAN 1000BASE-T×1 1000BASE-T×4
USB USB2.0×1/USB3.0×2 USB2.0×3/USB3.0×2
eSATA 2 2
テストHDD構成 2TB×2(RAID1) 2TB×4(RAID5)

 実際の移行作業は、前述したように、驚くほど簡単だ。稼働中のTS-220をシャットダウン後、フロントベイに装着されているHDDを取り出し、TS-470のマウンタにHDDを固定。本体に記載されているベイの番号を確認し、TS-220に装着されていたときと同じ順番でTS-470に装着して電源をオンにするだけ。これだけでかまわない。

 少し乱暴なようにも思えるが、これまで別の機種で使われていたHDDをそのまま装着したとしても、TS-470は何事もないようにブート処理を開始し、起動完了を知らせるビープ音とともにデータにアクセスできる状態にまでしてくれる。電源の投入ができなくなるなど、万が一NAS本体側に障害が発生した場合にも、別のNAS筐体にシステム移行を行うことで、データのロスなくシームレスに運用を再開できるというわけだ。

 TS-220には、あらかじめ数百MBのデータをさまざまなフォルダに保存しておいたほか、ユーザーを数名追加しておいたが、実際、ネットワーク上のPCからNASを参照すると、以前と同じユーザーでアクセスできたううえ、これまでと同じ共有フォルダーから以前に保管したデータに問題なくアクセスすることができた。

 また、QNAPのNASでは、Wordpressなど、さまざまなアプリケーションを追加してサーバー上で稼働させることができるが、これらも問題なく移行可能だ。試しに、Google Driveとの同期アプリケーションや写真共有アプリ、MySQLの管理ツールなどをインストールしたうえ、MySQLのデータベースも稼働させてみたが、これらも何も設定せずとも移行後に稼働し続けていることを確認できた。まさに、拍子抜けしてしまうほどの簡単さだ。

QNAPのNASなら、TS-220から取り出したHDDをTS-470に装着するだけ。これで移行が完了してしまう
データはもちろんのこと各種設定、さらには追加されたアプリケーションなどもすべて移行でき、そのまま稼働させることができる

2つの警告メッセージを確認

 念のため、設定ページにアクセスして、各種設定も確認してみる。すると、エラーではなく、ユーザーに注意をうながす黄色い警告メッセージが2つほど表示された。1つはNICが交換されたというメッセージ。もう1つはファームウェアのバージョンが不一致だというメッセージだ。

 前者は、TS-220とTS-470に搭載されているNICのベンダーが異なることが原因だ。しかしながら、ブート時に自動的にドライバがインストールされており、ネットワーク経由でのアクセスについては何の問題もない状態となっている。このため、ユーザーが特に何かアクションを起こす必要はない。

 ただし、以前のNASでIPアドレスを固定していたような場合は、ドライバが更新されたことでIPアドレスも標準のDHCP構成に戻ってしまっているので、必要なら後からIPアドレスを設定しておくといいだろう。

移行後に確認すると2つの警告メッセージが表示されていた。NICについては自動的にドライバーがインストールされるため、問題なく稼働させることができる

 もう1つの警告は、NAS本体のフラッシュ領域にインストールされているファームウェアとHDDにインストールされているファームウェアのバージョンが一致しないという警告だ。今回のテスト実施時点でTS-220のファームウェアの最新版は4.0.2、TS-470の最新版は4.0.3となっていたため、この不一致が警告されたことになる。

 この状態でも問題なくシステムを稼働させることはできているが、メッセージによるとファームウェアの再更新が推奨されるとのことなので、最新版にアップグレードすることにした。ちょうど、4.0.xシリーズのファームウェアの脆弱性の問題が公開されており(http://www.tekwind.co.jp/faq/QNA/entry_206.php)、これを解消するためのファームウェア4.1(TS-470は2014年1月14日時点ではベータ版)が公開されていたので、4.1へとアップデートした。

 これで、警告はすべて解消され、TS-470で問題なく、従来のHDDを稼働させることができたことになる。

ファームウェアに関しては、もう一度、アップデートし直すことで、システムとHDD側のバージョンを一致させることできる

RAID1からRAID5に移行

 続いて、RAID構成を移行してみた。TS-220は2ベイのNASとなるため2台のHDDでRAID1で構成されていたが、TS-470は4ベイとなるため、さらに2台のHDDを追加し、合計4台でRAID5の構成で利用することができる。今回は、RAID5へと移行してみた。

 TS-470の空いているベイに、2TBのHDDを追加する。TS-470はホットスワップに対応しているため、RAID1構成で稼働させている状態でも問題なくHDDを追加することができた。

 HDDが認識されたら、設定画面からRAID構成を移行する。TS-470では「ストレージプール」(こちらの記事を参照)という新しい概念でHDDを管理することも可能だが、TS-220から移行したHDDは従来のRAIDで構成されているため、通常のボリューム管理画面から、管理メニューを開き、「移行」を選択する。

 すると追加したHDDが表示されるので、2台を選択する。これで自動的にRAID1からRAID5への移行となるので、「適用」ボタンをクリックして移行を開始する。すぐに移行が開始され、しばらくすると移行作業が完了する。

 RAIDの再設定時に数分ほどアクセスができない状態になるが、移行中でもNASには問題なくアクセス可能だ。物理的なHDDの入れ替えやファームウェアのアップグレードなども必要となるため、基本的には業務時間外に作業すべきだが、作業中に急にNAS上のデータが必要になっても慌てずに済むだろう。

2台のHDDを追加してRAIDの構成を移行することができる
ボリュームを選択後、管理画面から「移行」を選択する
追加したディスクを選択してRAID構成を移行。自動的にRAID1からRAID5への移行が選択される
2TB×2のRAID1構成から、2TB×4のRAID5構成への移行が完了し、容量も5.4TBに増加した

必要なときに最適なハードウェアを利用できる

 以上、QNAPのTS-220からTS-470への移行を実際にテストしてみたが、基本的にはHDDを入れ替えるだけという非常に手軽に移行できる点に感心した。これまで、NASやサーバーの入れ替えに苦労してきた経験があるユーザーにとっては、まさに救世主のようにも思える存在と言えるだろう。

 また、このように手軽に移行できることがあらかじめ分かっていれば、導入時に「背伸び」をして無理に上位機種を購入しなくても済むようにもなる。数人の小規模な環境からスタートするようなベンチャー企業では、初期投資をあまりかけたくない一方で、急速な成長もある程度見込んで設備投資を考えなければならないが、QNAPのNASであれば最初は2ベイの低価格モデル、次に4ベイ、さらに8ベイと、企業規模に合わせてNASも簡単にステップアップさせることができる。こういった柔軟な運用ができるあたりもQNAPのNASならではの魅力と言えそうだ。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ