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第419回:auのスマートフォン「IS03」でSkype auの動作を検証する


 auからAndroidを搭載したシャープ製のスマートフォン「IS03」が発売された。1台持ちを目指して設計されたスマートフォンに仕上がっているが、注目はやはりSkype auだろう。その動作を検証してみた。

あまりあきらめなくていい

 「普通に使える」。これまでの携帯電話から機種変更して、2週間ほどが経過した今、auのIS03の感想を問われれば、素直にそう答えるだろう。

 いや、もちろん、言いたいこともそれなりにある。もうちょっとバッテリー駆動時間が長いと助かるし、動作ももうちょっと機敏だとうれしい。

 しかしながら、これまでのスマートフォンに比べると、はるかに完成度は高い。なぜなら、普通の人が普通に使うことができるようになっているからだ。

auから発売されたIS03。これまでの携帯電話とスマートフォンの機能を併せ持った「普通」に使えるAndroid端末

 これまでのスマートフォンは、いわゆるフィーチャーフォンと呼ばれる通常の携帯電話と、機能的に重なる部分があまり多くなかった。

 メールを使い分ける必要があったり、携帯電話で当たり前となっているおサイフケータイなどの機能なども使えなかった。このため、多くのユーザーが、通常の携帯電話とスマートフォンの2台持ちするか、スマートフォンの利用をあきらめるしかなかった。

 しかし、IS03では、完全にとは言えないまでも、かなりケータイの世界とスマートフォンの世界の重なる範囲が広がっている。

 従来のauの携帯電話で利用できたEzWebのメールアドレスやCメールをスマートフォン上から意識せずに使えるうえ、まだ対応は少ないが電子マネーなどのサービスを利用することもできるし、ワンセグの視聴も可能だ。

通常の携帯電話のメールサービスが普通に使えるうえ、ワンセグやおサイフケータイなどの機能も利用できる

 このため、既存の携帯電話からの機種変更という選択肢が無理なく検討できるようになっており、筆者もそうだが、実際に機種変更して、携帯電話+スマートフォンという2台持ちから1台持ちへと移行しても、あまり多くのものをあきらめずに済むようになっている。つまり、「普通」に使えるわけだ。

 おそらく、これまでのスマートフォンは、先進的な世界を体験したいという積極的なユーザーに支持されてきた製品であったが、今回のIS03は、もう少し保守的な層、スマートフォンに興味はあるが、実利を失ってまでも手に入れたくはないという層の人にも、受け入れやすい製品になっている。

 そういった意味では、今回のauのIS03は、非常に画期的なスマートフォンと言えるだろう。

シームレスに連携するSkype

 とは言え、保守的な層に向けた機能だけでなく、先進的なユーザー層の心をつかむ機能もしっかりと搭載している点が、このIS03の面白いところだ。

 具体的には、Skype auの搭載だ。今までのスマートフォンであっても使えなかったわけではないため、あまり目新しさを感じないという人もいるかもしれないが、IS03のSkypeは、あたかもネイティブの機能であるかのように、非常に端末にうまく組み込まれているのが印象的だ。

 具体的には、ユーザーがSkypeの存在をあまり意識しなくて済むようになっている点に感心した。

 もちろん、最初に利用する際はSkype IDを登録してサインイン必要があるうえ、自分から他の人にIMを送ったり、電話をかけるためにはアプリを起動する必要がある。

 しかし、着信に関しては、まったく意識しなくて済む。IS03の電源を入れてさえおけば、他の人からの呼び出しが、通常の携帯電話の着信と同じように、自動的に着信するようになっている。

 もちろん、バックグラウンドでプログラムが起動しているのだが、これはユーザーには見えないようになっている。Skypeのオプションにも起動時自動的に開始するオプションは存在するが、このれがオフになっていても着信が可能だ。このため、一度、Skype IDを設定してサインインしておけば、後は自動的に着信するようになる。

Skypeを使って通話やIMの送受信ができる 普通の電話と同じように着信する
Skypeが起動しているかどうかはユーザーは意識する必要はない

 着信の音や動作も通常の電話と同じであるうえ、音質も通常の電話とほとんど差がないため、極端な話、画面をよく見ずに、かかってきた電話を受け、通話が終わって切った場合でも、それがSkypeだったかのどうか気づかない場合すらある。

 残念ながら着信相手のSkype IDまでは表示されないが、通常の携帯電話と同じ着信履歴に、Skypeからの着信日時も記録されるので、本当に普通の電話と同じように利用できる。

 IMの着信も画面上部のステータスバーに表示されるので、ちょっとした連絡をしたい場合にも便利だ。文字、音声を問わず、1対1のコミュニケーションは、これからはSkypeで良さそうな印象だ。

Skypeからの着信も普通の電話と同じように履歴で管理されるが、相手は「Skype Call」と表示される

Skype auの動作を探る

 このようなSkypeだが、ユーザーが意識しなくて済むだけに、その動作もいまひとつはっきりしない点が多い。無線LANで使えるのか、au ICカード(いわゆるSIM)なしでも使えるのか、音声のデータはどこ経由で流れているのか、といった点が気になるところだ。

 そこで、いろいろなケースで実際に通話ができるのかを試してみたのが以下の表だ。

au ICカード 3Gデータ通信 無線LAN Skypeの動作
あり ON OFF 利用可能
あり OFF ON 利用可能
あり OFF OFF サインイン不可
なし ON 電話番号検出できず終了
なし OFF 電話番号検出できず終了

 

au ICカードがないとエラーで終了する。つまり、無線LANだけでは利用できない

 結論から言うと、Skype auでは、音声を回線交換(1x網)でやり取りするが、サインインやコンタクトリストでのステータスの表示などのために、3Gデータ通信、もしくは無線LANのいずれかの接続が必要になることになる。

 IS03の製品情報ページなどを見ると、無線LANでは使えないという記載がある一方で、実際に端末で3Gデータ通信を無効にして無線LAN経由でデータ通信を利用している場合でも、Skypeが利用できるので不思議に思うかもしれないが、この場合、無線LAN経由でSkypeへとサインインしているものの、音声は1x網でやり取りできるので問題ないことになる。

 実際、iPhone版のSkypeと比べてみると、この違いははっきりする。以下の表は、無線LANで接続したiPhone 4とIS03(3Gデータ通信オフ設定)で、Skypeの音声通話を20秒ほどした際に、アクセスポイント上でどれくらいのパケットがやり取りされたかを計測したものだ。


送信 受信

測定前 測定後 増加パケット数 測定前 測定後 増加パケット数
iPhone 1641 3023 1382 754 2011 1257
IS03 4647 4938 291 3033 3107 74

 

バッファローの無線LANルーターでSkype利用中のパケットをチェックしてみた

 バッファローのWZR-HP-AG300Hの設定画面から確認できる値を使用したため、Skype以外のパケットも計測されている可能性はあるが、この単純な計測でもIS03上のSkype利用時の方がケタ違いにパケット数が少ないことがわかる。

 このことからも、音声が無線LANではやり取りされていないと考えられる。だからこそ、音声で一定の品質が確保されているとも言えるが、これはこれで面白いしくみと言えそうだ。

Skypeとしてもうひと工夫ほしい

 以上、簡単ながら、auのIS03に搭載されたSkype auについて、その動作を検証してみた。

 個人的には、シームレスに連動し、音声の品質も気にならないので、かなり実用的な印象だ。実際、最近はIS03を利用している相手とは、Skypeで通話することが多いうえ、簡単な連絡もSkypeのIMで済ませることが多い。

 ただ、個人的には2点ほど、今後の改善を望みたい。1点は、前半で紹介した電話帳との連携の強化だ。せっかく着信履歴などが残るのに、相手の名前がわかららないと意味がない。これがわかるようになってくれると非常にうれしい。

 auとSkypeのシステムの連携が必要になりそうだが、実際、名前がわからないと困るので、ぜひ実現してほしいところだ。

 もう1点は、Skype側の課題になりそうだが、ログイン状態の切り替えがもっと手軽にできるようになるとうれしい。位置情報サービスと連携して、電車の中だったら、移動中と表示してくれるようになるのが理想だが、マナーモードにしたら自動的に取り込み中になるといった機能でもいいし、もっと単純にワンタッチでログイン状態を変更できるウィジェットがあるだけでもありがたい。

 でないと、いつでもログイン状態なので、四六時中、通話を受け付けなければならず、気が休まらない。今後のアップデートを期待したいところだ。


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2010/12/7 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ