よりスリムで使いやすくなったURoadシリーズ最新モデル
シンセイ WiMAXモバイルルーター「URoad-SS10」


 シンセイコーポレーションから、WiMAXモバイルルーターの新モデル「URoad-SS10」が登場した。スリムでスタイリッシュなデザインが特徴だが、使いやすさも向上している注目製品だ。

品のあるデザイン

 WiMAX対応に限らず、現状のモバイルルーターの中では、もっとも品のあるデザインと言っても良いのではないだろうか。シンセイコーポレーションのWiMAX対応モバイルルーターは、単にコンパクトなだけでなく、その見た目にも気を配ったスタイリッシュな製品だ。

シンセイコーポレーションのWiMAX対応モバイルルーター「URoad-SS10」



正面側面

 今回試したのはレッドのモデルだったが、よく見ると、表面側と背面側の材質が異なっており、表面は光沢のあるクリアな赤を基調に、よく見ると二種類の模様を組み合わせたモノグラム柄になっている。一方、背面側は、アルミパネルのような質感の塗装となっており、実に凝ったデザインになっている。側面も金属を思わせるシルバーで塗装されており、よくもここまで手を入れたものだと感心する。

 同社製の従来モデル「URoad-8000」は、曲線を多用したユニークなデザインであったが、トイっぽいというか、カジュアルすぎる印象があったが、今回のURoad-SS10は「品」があるという表現がまさにピッタリなデザインだ。

表面側はよく見ると細かな模様が入っている

 サイズも非常にコンパクトで、特に厚みは11.8mmと現時点でモバイルルーター史上最薄となっている。現状、WiMAX対応モバイルルーターは、各メーカーが小型化と高性能化を競っている最中だが、厚さで一歩抜け出たことになる。

 重量も従来モデルのURoad-8000に比べて12gほど軽量化されており、手のひらにのせても重さをさほど感じない。個人的には、普段、AtermWM3600Rを利用しているが、これと比べてもサイズ、重さともに一回り小さい印象だ。鞄などに入れて持ち歩くことを考えると、このサイズと軽さは大きなメリットだ。

 とは言え、以下の表のように、サイズという点では、容積、重量ともにネットワークコンサルティングの「Mobile Cube」がまだ一歩上の存在となっている。単純なサイズだけでなく、デザインに気を配りつつ、小型化を目指した製品といったところだろう。

基本スペック比較
URoad-SS10URoad-8000AtermWM3600RMobile Cube
サイズ(mm)
幅×奥行き×高さ
90×63×11.891×57×20.495×70×12.867×67×14.2
重量(g)869811069
連続通信時間約9時間約9時間約10時間約10時間
最大接続台数1010128


素早い復帰と最大250時間の待機時間

 凝ったデザインに対して、機能面は、良い意味でシンプルな印象だ。目新しい機能と言えるのは、後述するスマートフォンなどのモバイル機器向けのWebUIが用意されているくらいで、特殊な機能は搭載されていない。ハードウェア的にも、クレードルなどは用意されず、電源ボタンやLED、USBポート(microUSB)などが淡々と配置されている印象だ。

 モバイルルーターに何を求めるかは人によって異なることを考えると、本製品は外出先で通信するという基本的な使い方をしたい人に向けて、なるべくシンプルに機能を提供しようという発想なのだろう。

 この発想は、電源管理系の機能にも現れている。具体的には休止状態からの復帰が速い。速いといっても、15秒ほど(完全電源オフからの起動は約1分)なので、上で比較した最新機種と互角と言えるが、一世代前のモバイルルーターと比べると、この復帰の速さは断然に使い勝手が良い。

 しかも、この休止状態での待機時間は最大で250時間(約10日)と非常に長いうえ、休止状態に移行するための専用のボタンも側面に配置されている。他の製品では、休止状態に手動で移行させるためのボタンが電源ボタンと兼用になっているケースが多く、長押しなのか? LEDがどうなるまで押せばいいのかが迷うことがある。

 もちろん、前面にある大きなボタンのみで操作できる方がシンプルという考え方もあるが、電源のオンオフと休止のハードウェアスイッチを分けることで、誰にでも使いやすくしたのは高く評価できるポイントだ。

側面の休止ボタンを使うことで休止状態への移行と復帰が行なえる

 なお、本製品では、休止状態に加え、ウェイティングモードも備えている。通信状態から、一定時間無線LAN機器が接続されていない状態が続くと、自動的にウェイティングモードへと移行し(この状態で連続20時間待機可能)、さらに休止ボタンを押すと休止状態へと移行する。

 ちなみに、設定によって、ウェイティングモードから一定時間経過後に電源オフにすることは可能だが、ウェイティングモードから自動的に休止モードに移行することはできない。基本的に休止モードはボタンによる操作で利用するしくみだ。

一定時間通信がない状態が続いて時に自動的に電源をオフにすることも可能


連続通信時間は9時間

 気になる連続通信時間だが、いつものように筆者宅で一定時間おきにpingとHTTP GETを実行するバッチファイルを動作させ続けたところ、15:48の測定開始から、0:47の終了まで、合計8時間59分の通信ができることを確認した。カタログスペックの稼働時間が9時間なので、ほぼ公表通りと考えてよさそうだ。

 パフォーマンスについては、東京都西部の筆者宅では下りで8~9Mbps、上りで0.7~1.5Mbps前後となった(iPhone 4からSpeedtest.netで計測)。速度は計測する地点によって異なるが、筆者宅では他社製とほぼ同等の結果となった。なお、本製品は、WiMAXハイパワーに対応しているため、一世代前のモバイルルーターに比べて特定地点でのパフォーマンスが高くなるケースもある。

 前述した休止状態の復帰が速い点と併せて考慮すると、そろそろ一世代前のモバイルルーターからの乗り換えを検討しても良いタイミングと言えそうだ。

筆者宅でのSpeedtest.netでの速度計測結果。おおむね下り8~9Mbps、上り0.7~1.5Mbps前後であった


スマートフォンから状態をチェック

 最後に、モバイル端末向けのWebUIを紹介しよう。といっても、特別な準備が必要なわけではなく、iOSやAndroid端末から設定画面(標準ではhttp://192.168.100.254)にアクセスすれば、専用のUIが表示される。

 6段階+圏外の電波強度表示に加え、1%単位でのバッテリー残量を確認できるうえ、この画面から電源オフや休止状態への移行も可能だ。このため、鞄の中に入れておいた状態で、使い終わったら、スマートフォンから休止させるといった運用が可能だ。休止状態からの復帰は本体のボタン操作が必要だが、手軽に休止状態にできるので、よりバッテリーを長持ちさせることができるだろう。

モバイル端末用のWebUI。ここから休止状態に移行することも可能

 もちろん、PCからも設定画面にアクセスすることが可能で、通常の設定変更などはこちらから実行した方が簡単だ。とは言っても、機能がシンプルなので、特に設定を変更する部分もない。強いて言えば、必要に応じてVPNパススルーを有効にしたり(標準では無効)、前述した一定時間経過後に自動的に電源をオフにする設定をするくらいだろう。

PCでの設定画面。VPNパススルーが無効になっているので必要に応じて有効にするといいだろう

 以上、シンセイコーポレーションのWiMAX対応モバイルルーター「URoad-SS10」を実際に試してみたが、外出先でインターネットに接続するという基本的な機能の使いやすさをシンプルに追求した製品と言える。

 公衆無線LAN連携やクレードルなどの付加機能が必要ないのであれば、使いやすく、しかもスタイリッシュなので、高い満足度を得られることだろう。モバイルルーターの入門用としてオススメできる製品と言えそうだ。



関連情報

2012/4/24 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。