第228回:Skypeで050番号通知での発信が可能に
Skype向けの新サービス「フュージョンでSkype」を検証



フュージョン・コミュニケーションズが、Skypeを利用して050番号で発着信できる新サービス「フュージョンでSkype」を開始した。その実力を検証してみよう。



SkypeIn/Out以外の050ソリューション

ウェルトーンから発売されている「フュージョンでSkype」のスターターパック。Skypeを利用した050番号の発着信が可能

 Skype(スカイプ)を利用した電話環境が、より一層便利になりそうだ。今回、フュージョン・コミュニケーションズが開始た「フュージョンでSkype」により、Skypeを利用した050番号の発着信が手軽にできるようになった。

 050番号を利用したSkype向けのサービスは、すでにSkypeのオプションサービスであるSkypeInですでに提供されている。また、フュージョン・コミュニケーションズでも2006年9月からIP電話サービス「FUSION IP-Phone」にて、050番号宛ての着信を転送してSkypeで着信できる「Multi-Gateway for Skype」を開始している。では、今回のサービスは既存のサービスと何が異なるのだろうか?

 最大の違いは、050による発信が可能な点だ。前述した「Multi-Gateway for Skype」は050番号による着信のみをSkypeで可能にするサービスだったが、これに加えて050番号を利用した発信が新たに可能となった。また、Skypeによる一般加入電話や携帯電話への通話はSkypeOutによっても可能だが、SkypeOutの場合、発信者番号が「表示圏外」と相手に表示される。これに対して、今回の「フュージョンでSkype」ではフュージョンから割り当てられた050番号を発信者番号として相手に通知できる。

 「表示圏外」という表示はなかなかインパクトがあるようで、電話をかけた相手がSkypeのサービスを知っている場合はわかって出てもらえるが、知らないユーザーに電話をかけるとあやしい電話と勘違いされ出てもらえない場合が多い。これが解消されるのは大きなメリットだろう。

 また、もう1つの特徴として、料金の後払いが可能になった点にも注目だ。SkypeInやSkypeOutなどのオプションサービスはプリペイド方式になっているが、フュージョンでSkypeはクレジットカードによる後払いとなっている。その代わりと言っては何だが、基本工事費525円と月額料金は399円が必要だが、使った分だけ後から支払うという方がわかりやすい。企業ユースなどでも決済が明確になることは好ましいだろう。





専用ソフトウェアで発着信を制御

イヤホンマイクが付属したスターターキット「WBKIT-1003」。イヤホンマイクとサービスの登録に必要なシリアル番号が同梱されている

 というわけで、早速利用してみたが、使い方は若干複雑だ。簡単な流れを紹介すると以下のようになる。

  1. スターターキット購入
  2. ウェルトーンのページで登録&050番号取得
  3. フュージョンのページでMulti-Gateway for Skype設定
  4. 2種類の専用ソフトのダウンロードと設定
 今回のサービスは、Multi-Gateway for Skypeを利用中のユーザーにも提供されるが、はじめて利用する場合はスターターキットが必要だ。USB接続型ハンドセット「WB-2001」が付属したモデル(5,980円)とイヤホンマイクが付属したモデル(980円)の2種類が存在するので、いずれかを購入する必要がある(現在、キャンペーンで3,000円分の利用料金を割り引く特典付き)。

 このスターターキットには、シリアル番号が記載されたシールが同梱されており、これを利用してホームページから利用登録する。ウェルトーンのホームページにシリアル番号、クレジットカード番号などを登録すると、ユーザーIDや050番号が発行されるので、これを控えておく。

 続いて、Multi-Gateway for Skypeの設定を行なう。フュージョンのホームページでアカウントIDと転送先に設定するSkype名を登録し、専用のソフトウェアを2本ダウンロードする。この専用のソフトウェアが今回のサービスのポイントだ。「オートフォワード設定ソフト」と「FUSION IP-Phone for Skype」の2種類の専用ソフトによって、「フュージョンでSKype」のサービスが実現されている。


利用開始にはウェルトーンとフュージョンの両方のホームページからの登録作業が必要。ウェルトーンで050番号の発行、フュージョンでMulti-Gateway for Skypeの設定を行なう

 まずはオートフォワード設定ソフトだが、これは着信を制御するためのソフトウェアだ。050番号による着信をSkypeで受け付けるためには、SkypeがPC上で起動し、オンラインになっているかどうかの判断が非常に重要になる。これをコントロールするのがオートフォワード設定ソフトだ。SkypeのAPIを利用して状態を確認し、それをセンター側とやり取りしてSkypeに着信させるのかどうかを制御する。

 一方、「FUSION IP-Phone for Skype」は発信を制御するためのソフトウェアだ。Skypeで一般加入電話や携帯電話の番号をダイヤルした場合、そのままではSkypeOutでの通話になってしまう(契約している場合)。しかし、「FUSION IP-Phone for Skype」をPCに常駐させておくと、同様にSkypeのAPIを利用して発信制御をインターセプトし、ダイヤルされた番号をSkypeOutではなく「FUSION IP-Phone for Skype」で発信する仕組みとなっている。このように、着信、および発信を専用ソフトウェアで制御することによって、Skypeによる050番号の発着信が可能となるわけだ。


利用には2つのソフトウェアが必要。オートフォワード設定ソフトで着信、「FUSION IP-Phone for Skype」で発信が制御され、Skypeで050番号の発着信が可能となる




設定してしまえば手軽だが手続きや設定は若干複雑

 実際に使ってみた印象としては確かに悪くはない。取得した一般加入電話や携帯電話から050番号に電話をかければSkypeが呼び出され、Skypeから一般加入電話などに電話をかけた場合もきちんとこちらの050番号が相手に通知される。相手から見れば、こちらがSkypeを使って通話しているとは想像もできないことだろう。それほど自然にSkypeで050番号を利用できる。

 通話料が後払いとなるため、Skypeクレジットがあとどれくらい残っているかも気にしなくて良い。月額料金がかかるのが気にかかる人もいるかもしれないが、個人的には取得したSkypeInの番号が期限切れにならないように気を配る必要がなくなるため、こちらの方がありがたいと感じた。

 ただし、使い始めれば便利なのだが、前述したようにその手続き、設定は若干複雑だ。特に2つのホームページでの登録、2つのソフトウェアでの設定というのが煩雑でならない。いずれか一方のホームページで登録可能にし、さらにソフトウェアも1本に統一してくれればよりシンプルでわかりやすくなるだろう。

 また、PCでSkypeを利用する分には良いのだが、最近では無線LANを搭載したSkype専用の通話端末なども登場しつつある。電話として考えると、やはり専用端末を使った方が便利なのだが、専用ソフトを使う関係上、このような端末ではフュージョンでSkypeのサービスを利用できないのが残念だ。将来的に、フュージョンでSkypeに対応した専用端末なども登場することも期待したいところだ。


関連情報

2007/1/16 10:51


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。