第247回:UPA同士の互換性をチェック
UPA規格に準拠したネットギアの高速PLCアダプタ「HDX101」



 ネットギアからUPA規格に対応した高速PLCアダプタ「HDX101」が発売された。その実力を検証するとともに、同じくUPA規格に対応するロジテック「PlugLink」との互換性もチェックした。





価格競争力のあるPLCアダプタが登場

ネットギアのPLCアダプタ単体モデル「HDX101」

 ネットギアの「HDX101」の発売により、国内の高速PLC市場の争いは今後一層激しくなりそうだ。

 現状、国内の高速PLC市場は、先行するHD-PLC陣営と、それを追いかけるUPA陣営という図式になっている。これまでは、松下電器産業の製品を中心にアイ・オー・データ機器、バッファローなど、市場に存在する製品のほとんどがHD-PLC規格のものだったが、この5月からロジテックの「PlugLink」、そして今回紹介するネットギアの「HDX101」などのUPA規格対応製品がようやく店頭に並ぶようになった。国内でのシェアは現在のところHD-PLC製品が高いが、PLC市場が始まったばかりということもあり、今後の競争が注目されるところだ。

 特に価格面での競争が、今後は激しくなると予想される。これまでの高速PLC製品は、HD-PLC製品はほぼ横並びであり、UPA規格に対応したロジテックの「PlugLink」は2台セットで実売24,000円前後と、HD-PLC製品に比べると若干高かった。

 これに対して、今回登場したネットギアの製品は2台セットの「HDXB101」で実売15,000円前後となっている。HD-PLC製品とほぼ同じ価格帯のUPA製品が登場したことで、ようやく価格的な競争力が互角になった。今後、低価格路線が予想されるHomePlugの登場なども控えており、今後は価格が製品選びのポイントの1つともなりそうだ。


HDX101が2台セットになった「HDXB101」LANポート×1のシンプルな構成アダプタの他にLANケーブルが付属




つなぐだけで利用できる、が……。

 それでは、実際にネットギアのHDX101を見ていこう。まずは外観だが、同じくUPA規格を採用したロジテックの「PlugLink」がルータサイズの大きさだったことを考えると、こちらは手のひらサイズで非常にコンパクトだ。松下電器産業の「BL-PA100」と比べても、若干、奥行きが短くコンパクトな設計になっている。

 デザインもシンプルで、上部に動作状況を示すランプが3つ、側面に10BASE-T/100BASE-TX×1ポート、後部に電源ケーブルがあるのみ。スイッチ類などは存在しない。

 使い方も簡単で、基本的には1台をルータなどの既存のネットワークに接続し、もう1台をPCに接続したら、あとはそれぞれのアダプタをコンセントへとつなぐだけで良い。特別な設定は不要で、つなぐだけで利用できるようになっているのが特徴だ。

 ただし、本製品の場合、環境によっては標準設定のままで利用することはお勧めできない。なぜなら、機器の接続に利用するネットワークIDとデータの暗号化に利用するキーがすべての商品で共通となっているからだ。

 共通の設定のおかげで、セットモデルだけでなく、単体モデルを購入して増設する場合などでも設定が一切不要というメリットはあるのだが、逆に言うと通信可能なコンセントさえ見つければ、購入した単体モデルをそこにつなぐだけで、誰でもネットワークに参加できてしまうことになる。戸建て住宅のように、電力線が自宅内のみで完結している場合であれば問題なさそうだが、集合住宅の場合、配線状況によっては、もしかすると他の部屋のコンセントからも同じネットワークに参加できてしまう可能性がある。


HDX101の設定には付属のユーティリティソフトを利用する。ネットワークIDや暗号キーは全製品で共通となっているので、購入後に変更しておくことをお勧めしたい

 高速PLCアダプタはそもそも集合住宅での利用自体に適していないが、出荷時設定のままで利用することは避け、独自のネットワークIDを自分で設定してから利用することを強くお勧めする。ネットワークIDの設定などは、付属のユーティリティを利用することで設定することが可能だ。





性能は他のPLCアダプタとほぼ同等か

 筆者宅(木造3階建ての戸建て住宅)で実際に利用した際の速度は以下の図の通りだ。ただし、この値は参考程度に考えて欲しい。


筆者宅の構成

サーバーにはアイ・オー・データ機器 HDL-GT1.0を使用。クライアントにはCore Duo T2400、RAM1.5GB、HDD160GB、Windows Vista搭載ノートを使用。コマンドプロンプトからFTPを起動し、3回計測した平均を記載。アダプタはすべてコンセント直付けで、家庭内の家電製品の電源も可能な限りオフにした状態で計測

 というのも、基本的なテスト方法は、以前に本コラムで採り上げた高速PLC製品(HD-PLC、UPAとも)と同じで、家庭内の家電製品などもなるべく同じ稼働状況にそろえたつもりなのだが、全体的に若干低い値となっており、さらに他の製品では高いパフォーマンスが出ていたコンセントで極端に低い速度となっている。

 時間の関係ですべてのコンセントで比較することはできなかったのだが、一部のコンセントではHD-PLCの製品を接続した場合でも、ほぼ同程度の速度低下が見られたため、HDX101自体の性能が低いわけではなく、当日の筆者宅の状況が悪かったと考えられる。家電製品を1つずつ電源オフにするなど、可能なかぎりの調査はしてみたが、どうしても特定のコンセントで速度が低下する原因を突き止めることはできなかった。





UPA規格同士の相互接続も可能

 HD-PLC製品の場合、保証やサポートの問題はあるにせよ、現状、各メーカーの製品ともに松下電器産業のOEM品となるため、異なるメーカーの製品同士でも相互接続が可能となっている。

 では、UPA規格の製品の場合はどうであろうか? UPA規格の状況もほぼ同じだ。UPAはスペインのDS2社が主導する規格であり、同社製のチップが採用されている。このため、UPA製品同士の互換性は基本的に確保されると考えられる。

 そこで、ロジテックのPlugLink(LPL-TX)とHDX101の接続が可能かどうかを実際にテストしてみた。前述したようにUPA規格製品の場合、接続には共通のネットワークIDと暗号キーが必要になる。ブラウザを利用してPlugLinkの設定ページを表示し、そこにHDX101のネットワークIDと暗号キーを設定してみたところ、問題なく、PlugLinkとHDX101を相互接続できた。


ロジテックのPlugLink(LPL-TX)にHDX101のネットワークIDと暗号キーを設定。HDX101のネットワークに接続できた

 もちろん、基本的には同一メーカーの製品を利用することが前提となるが、何らかの理由で製品が混在する場合でも、現状はUPA同士なら相互接続できる可能性が高いと考えて良いだろう。





今後、さらに増える高速PLCに向けて

 以上、ネットギアのUPA規格採用高速PLCアダプタ「HDX101」を実際に利用してみたが、複数の規格、複数のメーカーが参入してきたことで、相互の関係が実に複雑になってきたという印象だ。

 HD-PLCとUPAというように異なる規格が与える影響も大きいが、今後は同一規格の相互接続性などもきちんと検討していかなければならないだろう。また、無線LAN製品と同様に、セキュリティをいかに確保するかという点も問題になりそうだ。特に今回のHDX101のように全製品でネットワークIDが同一というのは、そのリスクを利用者にきちんと説明しないと、大きな問題に発展しかねない。

 このあたりはメーカーとしての対処を望みたいのはもちろんだが、業界団体や第三者機関によるガイドラインの策定なども急ぐ必要があるだろう。


関連情報

2007/6/5 11:21


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。