第312回:無線LAN対応でオンラインアルバムを表示
Bluetoothにも対応したマイアルバム「ワイファイフォトフレーム」
マイアルバムの「ワイファイフォトフレーム」は、オンラインアルバムの写真を無線LAN経由で表示したり、PCや携帯電話の写真をメールやBluetooth経由で受信できるデジタルフォトフレームだ。同社のサービスと組み合わせて利用した。
●IEEE 802.11b/g準拠の無線LANを搭載
お気に入りの写真をリビングなどに飾って楽しみたい。そう考えたことがあるとしたら、そろそろデジタルフォトフレームの購入を検討してみてはいかがだろうか?
デジタルカメラの普及と共に、さまざまな製品が登場してきたデジタルフォトフレームだが、ここにきて通信機能を搭載した高機能な製品が徐々に登場してきた。以前、本コラムで紹介したソニーの「Canvas Onlie VGF-CP1」もそうだが、マイアルバムから発売された「ワイファイフォトフレーム(W0710B128JP)」もその1つだ。
マイアルバムの「ワイファイフォトフレーム」。IEEE 802.11b/g準拠の無線LANを内蔵したデジタルフォトフレーム | 正面 |
側面 | 背面 |
このワイファイフォトフレームは、6インチ、720×480ピクセルの液晶を搭載したデジタルフォトフレームで、一般的な製品と同様に128MBの内蔵メモリ(うち75MBが保存用、25MBが同期用)に保存された写真と、本体に搭載されたSDカードスロット(SDHC非対応)やUSBポートに接続した記憶媒体の写真を表示することができるようになっているが、何と言っても最大のポイントとなるのはその通信機能だ。
IEEE 802.11b/g準拠の無線LANを内蔵しており、同社が提供しているオンラインアルバムサービス「マイアルバム」との連携が可能となっている。これにより、オンラインに写真を無線LAN経由で手軽に再生できる。
デジタルフォトフレームは、7インチクラスで1万5000円前後、8~10インチで2万5000円前後となっており、6インチで2万5800円という価格は若干高い印象があるが、この通信機能による使い勝手の良さを考えると、むしろお買い得とも言える製品だ。
●USBメモリ経由で無線LANを設定可能
早速、使い勝手を見ていこう。まずは設定だが、これはなかなか手軽にできるように工夫されている。
前述したとおり、本製品はIEEE 802.11b/gの無線LANを搭載しているため、通常はこの設定が最大の難関となるところだが、実際には手軽に設定を済ませることができる。
具体的にはUSBメモリに記録した設定情報を利用して自動的に無線LANの設定を行うことができる。自動的と言っても、元となるSSIDや暗号キーなどはアクセスポイントの情報を参照して自分で入力しなければならないが、この入力と設定ファイルの生成をWebページから行うことができるのだ。
購入後、PCを利用してオンラインから会員登録をすることで、メンバーページにアクセスできるようになるが、ここで各種設定画面を選択すると、無線LANの設定画面が表示される。
ここにSSID、暗号方式、暗号キーなどを入力してファイルを生成すると、「dpf.conf」というファイルをダウンロードできる。中身は単に設定情報が記載されたテキストファイルなのだが、これをUSBメモリのルートに保存後、ワイファイフォトフレームの本体に装着すると、自動的に設定情報が読み込まれ、設定を適用できるわけだ。また、ファイルは設定後自動消去されるため、設定情報が漏れる心配も少ない。
もちろん、本体の液晶画面を見ながら、上部の矢印ボタンなどで設定を入力することもできるが、正直、本体での文字入力は非常にストレスがたまる操作だろう。
初心者にとってははそもそもSSIDなどの情報を参照することが難しい可能性もあり、できればWPSやAOSS、らくらく無線スタートなどの方法を採用して欲しかったところだが、少なくとも手入力の手間を省いている点は高く評価したいところだ。
オンラインで会員登録するとメンバーページから各種設定が可能に。自宅の無線LAN設定を入力すると設定用のファイルを自動生成できる |
作成した設定ファイルをUSBメモリに保存後、ワイファイフォトフレームに装着すると自動的に設定が行われる | 設定した情報は本体の画面で確認可能。本体で直接設定することもできるが、文字入力は極めて面倒 |
●オンラインアルバムやメールと連携して写真を表示
では、無線LANを利用して何ができるのかというと、大きく分けて2つの機能がある。
1つはオンラインアルバムとの連携だ。同社のマイアルバムに登録し、あらかじめ写真をアップロードしておくことで、任意のアルバムとの同期を設定することができる。これにより、オンラインアルバムの写真が無線LAN経由で本体の液晶に表示されるようになる(リアルタム通信ではなく内蔵メモリに一時的に保存される)。
もちろん、一度同期の設定をすればあとは自動的に写真の更新が行われるため、後からオンラインアルバムに写真を追加するだけで、多少のタイムラグはあるものの、その写真をワイファイフォトフレームにも表示することができる。
なお、同期対象はアルバム単位での選択となるため、複数のアルバムで写真を整理している場合は、そのうちのどれか1つのアルバムをワイファイフォトフレームに表示することになる。
オンラインアルバムの同期設定をすると、写真が自動的にワイファイフォトフレームに表示される |
続いて、もう1つの機能となるのは、メールを利用したフォトフレームへの写真の転送だ。
サービスに登録すると、「xxxxx@wifiphotoframe.jp」というメールアドレスが発行される。このメールアドレスは、ワイファイフォトフレームが送受信に利用する専用のアドレスとなっており、ここに写真を添付してメールを送ることで、本体に写真を転送できるわけだ。
たとえば、携帯電話で写真を撮影し、「xxxxx@wifiphotoframe.jp」へと写真をメールで送る。しばらくすると、ワイファイフォトフレームの画面右上にメールのアイコンが表示されるので、本体のボタンを操作して受信するかどうかを選択する。受信を選択すれば、その写真が本体のメモリへと保存され、スライドショーで表示可能となるわけだ。
この機能は単純な転送だけでなく、コミュニケーションにも利用できるというのがポイントだ。たとえば、友人宅、実家の両親宅などのワイファイフォトフレームのアドレスを聞いておけば、自分が撮影した写真を他の人に手軽に渡したり、見せることなども可能。さらに、これとは逆に、ワイファイフォトフレームから写真をメールで送るということもできる。
なお、標準では誰からのメールでも受信できるようになっているが、フィルタ機能によってメールをやり取りできる相手を制限することもできる。
●Bluetoothでの送信にも対応
このほか、Bluetoothでの写真の受信に対応しているのも、他の製品にはないワイファイフォトフレームの特徴だ。
残念ながら内蔵ではなく、市販のUSB Bluetoothアダプタを装着する必要があるが、これによりBluetooth対応携帯電話などからワイヤレスで写真を転送することもできる。
動作確認機種については同社のホームページで確認する必要があるが、今回、プラネックスの「BT-MicroEDR」を利用してみたところ問題なく本体側で認識させることができた。
Bluetoothのため、あらかじめペアリングの設定は必要になるが、一旦ペアリングしてしまえば後は携帯電話側から転送したい写真を選んでBluetoothで転送すれば、自動的にワイファイフォトフレーム側で写真を受信してれる(本体メモリに自動保存)。
これにより、大量の写真はメモリカードやUSB経由で、十数枚程度の転送はBluetoothで、1~2枚の写真を外出先から転送したいときはメールでと、用途によってさまざまな方法で写真を転送することができるだろう。
本体のUSBポートにBluetoothアダプタを装着。Bluetooth対応携帯電話から写真を転送することができる |
●一家に1台デジタルフォトフレーム
以上、マイアルバムのワイファイフォトフレームを実際に利用してみたが、豊富な通信機能を備えていながら設定など使い勝手も良く、なかなかの完成度を持った製品だ。
このほか、Webページからの設定により、動作時間(バックライト点灯時間)を指定することも可能となっており、毎朝指定した時刻に点灯、夜になったら消灯と、自動的に運用することもできる。
バックライトの点灯時間を設定することで朝起動し、夜停止するなどの自動起動も可能 |
デジタルフォトフレームの場合、基本的には飾って楽しむというものであり、ユーザーの操作というのは普段は必要ない。この点、電源のオン、オフさえもユーザーが気にする必要ないというのはありがたいところだ。
欠点を挙げるとすれば、ハードウェアとしての高級感に少々欠けるイメージがあることだろうか。クリアフレームなどで工夫はされているのだが、プラスチックの質感に好みが分かれる可能性がある。
とは言え、機能と価格を考えれば、十分に納得できるレベルとも言える。いずれにせよ、単純に写真を表示できるだけのフォトフレームよりは、数段面白い製品となっており、買って損のない製品と言うことができるだろう。
関連情報
2008/9/30 11:08
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