イベントレポート
マストドン会議
「mstdn.jp」「friends.nico」開発者ら、マストドン界隈の著名人が集結した「マストドン会議」
2017年5月2日 18:50
株式会社角川アスキー総合研究所主催の「マストドン会議」が4月28日に開催された。当日は「mstdn.jp」インスタンス運用者であるぬるかる氏をはじめ、遠藤諭氏(角川アスキー総合研究所)、江添亮氏(株式会社ドワンゴ)、鷲北賢氏(さくらインターネット株式会社)、津田大介氏(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)、石森大貴氏(ゲヒルン株式会社)、清水亮氏(株式会社UEI )らが集まり、マストドンについて語った。
ぬるかる氏(「mstdn.jp」インスタンス運用者)
- 遠藤氏が書いた記事でマストドンを知った。実際に見ると「GNU social」っぽいと思ったが、GitHubのリポジトリを見たらGNU socialと互換性があると書いてあったので、気になって試しに自宅サーバーに設置した。アニメ「けものフレンズ」に影響されて読んだ動物の分類学の本にマストドンが載っていたことも始めた理由。
- 実家に置いていたサーバーのスペックはCore i7-3770、メモリ32GB、HDD 2TB×2。ITmediaにmstdn.jpの記事が掲載された後にサーバーの負荷が重くなった。
- 支援としてAmazonギフト券が大量に送られたてきたものの、どれを登録したか分からなくなった。そこで「Enty」へ移行したが、一括で100万円を寄付する人が現れて驚いた。
- 自宅サーバーからさくらインターネットのクラウドへ移行するとき、約4万人ほどのアカウントやデータを削除した。さくらインターネットのAmazon S3互換サーバーに画像を移行しようとしたが、URLが変わるため画像を含むトゥートがおかしくなる。そういう中途半端な状態になるくらいなら、リセットをかけてやり直すほうがいいと思った。
江添亮氏(「friends.nico」開発者、株式会社ドワンゴ)
- 「Gmail」「Google Docs」などのSaaSは、ユーザーがサーバーを所有しておらず、支配権もないので自由がない。スマートフォンも不自由なコンピューターで、AppleやGoogleなどのアプリストアは利用者に不自由なEULAの同意を求めるのでGPLと互換性がない。それに対してマストドンはAGPLなので、ソースコードを公開しなければいけない。これはとても良いこと。
- TwitterではTwitter社に誰も逆らえないし、アカウントが削除されても仕方がない。だが、自分の思想が受け入れられなければ、マストドンでは自前のインスタンスを立てることができる。
津田大介氏
- 何かに特化したインスタンスが盛り上がるほど、そこで行われたことが現実社会と衝突したとき、誰が責任を取るのかという問題に直面するのでは。欧米の価値観からすると受け入れにくい絵が(Pawooに)大量に投稿され、連合からから外された件もある。例えば、「公園で騒いでるから面白そう」と集まり、そこから広がる面もあれば、「公園で騒いでうるさいから規制しよう」という衝突みたいなものが起きる。
- 出会っちゃいけない人同士で出会うのが今のTwitter。昔はネットリテラシーがあり、ツールを使いこなせて切り分けできる人が多かった。しかし、スケールが大きくなることで不幸な出会いと情報の衝突が起こり、過激な人が残って普通の人が退場する、そんな流れがある。
早くも第2回「マストドン会議」開催が決定
マストドンが国内で話題になり始めてから数週間程度で開催された今回のマストドン会議。「全然何も準備できていない、とりあえずイベントの体裁を整えたみたいなイベントだった。その感じを含めて、最初のころのTwitterのイベントっぽいと懐かしく思った」と津田氏は振り返る。
司会を務めた遠藤氏は、マストドンが「久々にネットの世界に落ちてきたおもちゃ」だと例える。「おもちゃだからこそ遊べて、新しい物を生み出すのではないか」と今後のマストドンの展開に期待を寄せた。
なお、5月17日には2回目となるマストドン会議が角川第3本社ビル(東京都千代田区)で行われる予定。申し込み期間は5月16日17時まで。