イベントレポート

ワイヤレスジャパン2014

GPSの精度を高める「準天頂衛星システム」

 「ワイヤレスジャパン2014」の併催イベント「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2014」では、準天頂衛星システムに関する展示が行われている。

準天頂衛星システム

 準天頂衛星システムは、GPSなど従来の衛星測位システムを補完し、測位精度を向上させることを目指して、日本が独自に開発したシステム。地球の自転軸に対して傾いた軌道を地球の自転と同じ速度で周回する衛星(準天頂軌道衛星)を用いる点が特徴で、日本の上空に長時間とどまる軌道に複数の衛星を配置する。

 会場では、準天頂軌道衛星がどのように地球を回るのかを説明する模型を準天頂衛星システムサービス株式会社が展示しており、地球から見ると衛星が「8の字」の軌道を描く様子などを確認できる。

準天頂軌道衛星の模型

 準天頂衛星システムは、2010年に初号機となる「みちびき」が打ち上げられている。現在は1機のみのため、日本で利用できる時間が限られているが、2016~2017年にはさらに追加の3機を打ち上げ、2018年度から4機体制での運用を行うことが決まっている。これにより、日本上空で利用できる衛星の数が増え、測位時間の短縮や測位精度の向上が期待できる。

2018年度には4機体制での運用が開始

 既に、「みちびき」に対応するカーナビなどが販売されており、会場でも製品が紹介されている。一方で、日本が独自に開発したシステムのため、グローバル端末が主流になってきているスマートフォンやタブレットでの対応は進むのかという疑問があるが、説明員によるとその点についてはあまり不安はないという。

 まず、準天頂衛星システムは、日本だけでなくアジア・オセアニア地域で広く利用できるシステムであること。また、準天頂衛星システムはGPSと同じ周波数の信号を配信するため、両方を1つの衛星群として扱うことができるメリットがある。現状でも、グローバルモデルであるNexus 7が準天頂衛星システムの信号受信に対応しているように、今後、対応端末はさらに増えていく見通しだという。

(三柳 英樹)