東京国際ブックフェアが開幕、AR活用で“飛び出す”絵本も


第16回 東京国際ブックフェア

 日本最大の書籍の見本市「第16回 東京国際ブックフェア」が9日、東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した。世界30カ国から過去最大となる800社が出展し、6万3000人の来場者を見込む。入場料は1200円だが、Webで登録すれば無料の招待券を入手できる。開催期間は12日までで、一般公開日は11日と12日。一般公開日にはさまざまな書籍が割引価格で販売されるほか、サイン会やトークショーなどの各種イベントも行われる。

 会場に内は「デジタルパブリッシングフェア」「自然科学書フェア」「人文・社会科学書フェア」「児童書フェア」「編集制作プロダクションフェア」「学習書・教育ITソリューションフェア」の6つのゾーンが設置されている。

 デジタルパブリッシングフェアにある大日本印刷のブースでは、「AR(Augmented Reality:拡張現実)」を活用したデモを展示している。ARとは、現実の空間にデジタル情報を重ね合わせて表現する合成表示技術のこと。実物の商品や実際の空間に、付加情報として文字や音声、画像、映像などのデジタル情報を合成表示できる。

 デモでは、Webカメラでファッション通販雑誌を撮影することで、雑誌には掲載されていない付加情報をPCの画面上に表示。例えば、雑誌にはない洋服のアングルや色、コーディネートに加えて、ストールの巻き方を動画で紹介することなどが可能だ。PC画面上のコンテンツに触れると、商品購入ページに移動する機能も備える。

 また、紙面上に印刷したマーカーをWebカメラで撮影することで、PCの画面上に実写映像と3DCGを表示する「飛び出す電子絵本」のデモも行っている。ページをめくると、3Dアニメーションの魚が本の上に現れるなど、紙の本では伝えられない泳ぎ方などの情報を表現できるのが特徴だという。

 大日本印刷の説明員は、「1年前までは『ARって何?』という人が多かったが、最近ではテレビアニメ『電脳コイル』などの影響で、一般にも認知されつつある。Windows 7はタッチ操作をサポートすることもあり、ARにとっては追い風の状況。今後も、ARをコミュニケーションに活用するソリューションを開発・提供していきたい」と話していた。

通販雑誌にARを活用するデモ。雑誌未掲載のカットが浮かび上がっている紙面上に印刷したマーカーをWebカメラで撮影することにより、3DCGを表示する「飛び出す電子絵本」

 ARといえば、芸者東京エンターテインメントが開発した「電脳フィギュア ARis(アリス)」が有名だ。同社によれば、アリスはバーチャルなフィギュアを現実の空間に登場させる、ARを使った世界初のソフト。Webカメラで「電脳キューブ」を撮影することにより、PCの画面上に女の子が登場して動き回るというものだ。

 凸版印刷のブースでもARを活用したデモを行っている。デモでは、6月に発売された「電脳フィギュア・アリスオフィシャルガイドブック」の付録である電脳ジオラマ「ARisのお部屋」を展示。厚紙に記載されたマーカーをWebカメラで撮影することで、アリスの部屋が現れる。


厚紙に記載されたマーカーをWebカメラで撮影することで、「電脳フィギュア アリス」の部屋が映し出される6月に発売された「電脳フィギュア・アリスオフィシャルガイドブック」

 このほか、児童書フェアに設置されているセガのブースでは、昔話や童話をテーマにしたゲーム機「えほんのたまご」を展示。ゲーム機から出てくる絵本のバーコードをスキャンすると、ストーリーが画面上に映し出される。ストーリーの途中では、タッチペンでキャラクターの塗り絵をしたり、隠されたアイテムを探すなどのゲームも行える。

 ゲーム機から出てくる絵本は、「うさぎとかめ」「ももたろう」「ジャックとまめのき」など全10話。各話ごとに、通常の絵本「おはなしえほん」、ページからキャラクターが飛び出す「びっくりえほん」、シール付きの「ぬりペタえほん」の3種類が用意されているため、コレクター性もあるという。

 セガの説明員によれば、対象年齢は2~5歳とその家族。ゲームセンターに加えて、書店などに設置する予定だという。セガは、トレーディングカードを読み込んでプレイするアーケードゲームを手がけているが、「えほんのたまご」でもこうした仕組みを応用。今後は、キッズゲームの新規市場を開拓したいとしている。

昔話や童話をテーマにしたゲーム機「えほんのたまご」「えほんのたまご」から出てくる絵本

ゲーム機から出てくる絵本のバーコードをスキャンすると、ストーリーが画面上に映し出されるストーリーの途中では、隠されたアイテムを探すなどのゲームも行える

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(増田 覚)

2009/7/9 17:54